透明タペストリー

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「本日は、お日柄もよく」を読む

2023-11-16 | A 読書日記

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 原田マハの小説『暗幕のゲルニカ』を読み終えたので、朝カフェ、なぎさライフサイトのスタバで読む本を同所のTSUTAYAで買い求めた。

『たゆたえども沈まず』
『デトロイト美術館の奇跡』
『リーチ先生』
『リボルバー』
『風神雷神』

メモしていた5作品はどれも画家やアートを題材にした原田マハの小説だ。でも買い求めたのはメモにはなかった『本日は、お日柄もよく』(徳間文庫2023年6月20日 49刷)だった。

この書店では文庫を出版社別ではなく、作家別に並べている。出版社別の方が整然としているので気持ちが良くて好きだが、作家別の方が今回のような場合には探しやすい。

**OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。(中略)目頭が熱くなるお仕事小説。** カバー裏面の紹介文。

紹介文ではお仕事小説となっているけれど、これはスピーチがテーマの小説、そうスピーチ小説だ。このことを「本日は、お日柄もよく」という結婚披露宴のお決まりの(今では聞かれなくなったけれど)フレーズが書名になっていることが示している。

読み始めて、この作家はこんなライトな表現もするんだな、と思った。例えばこんな会話。**「おはよっ、こと葉。ねえねえどうだったぁ、昨日の披露宴?」(中略)「まあね。フツウだったよ」(後略)**(39頁)

主人公の二ノ宮こと葉は幼なじみの厚志君の結婚披露宴で、退屈なスピーチで睡魔に襲われ、スープ皿に顔を突っ込むというマンガチックな失態を演じてしまう。同じ披露宴でこと葉はスピーチライター、久遠久美のスピーチに感動して泣く。ぼくも泣いた。

こと葉が老舗製菓会社のOLからスピーチライターへ身を転じ活躍するまでのものがたり。

『暗幕のゲルニカ』のラストはびっくりした、なにせ主人公の瑤子が拉致されてしまうのだから。『この本日は、お日柄もよく』のラストにもびっくりした、なにせ・・・、いや書かずにおこう。 さて、次は何を読もうかな・・・。


67万部突破という人気小説