透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ハーモ美術館で素朴派の絵画を観る

2023-11-24 | A あれこれ


ハーモ美術館(諏訪郡下諏訪町)2023.11.19

 諏訪湖畔にあるハーモ美術館には前々から一度行きたいと思っていた。信濃毎日新聞にどの位の期間だったか覚えていないが、今年この美術館で収蔵・展示している素朴派の絵画を紹介する記事が何回か掲載された。その中の1点、ルイ・ヴィヴァンという画家の「ラングル駅の風景」という作品に惹かれ、ぜひ観たいと思った。で、先日(11月19日)出かけてきた。


※ 展示室内では個々の作品の写真撮影は許可されていない。

**「素朴派の画家は、見える通りにではなく、知っている通りに描く」とよく言われます。ビバンは、まさにこの言葉にぴったりとあてはまる画家でしょう。** 遠藤 望さん(下諏訪のハーモ美術館長)は5月23日に掲載された記事にこのように書いていた。

ビバンの「ラングル駅の風景」は美術館2階展示室の中央の独立した壁面に展示されていた(上掲写真)。遠くに立つ塔もその前の家並みも一番手前の駅舎や列車もどれも同じ密度できっちり描き込んでいる。

ビバンは生まれ故郷に近いラングル駅も周辺の様子もよく知っていて、その通りに描いたのだ。遠景、近景を粗密に描き分けることなく同じように、細かな部分まできっちり。黒く輪郭線を描き、丁寧に着色している。一所懸命描いたことが観ていて伝わってくる。

リアルに描かれた絵画を観て「上手い、写真みたい」と発する人がいる。確かに自分も上手いと思う。だが、「いいな」とはあまり思わない。やはり絵は描画力、テクニックではなく、その前段の描きたいと思う気持ち、その発露だ。そこに個性、人柄が出る。

同じ展示室にグランマ・モーゼスの作品も何点か展示されていた。モーゼスおばあちゃんはもともと絵が好きだったようだが、多忙な生活でなかなか描くことができなかったらしい。で、生活が落ち着いた晩年に何点も何点も描いている。上手いとは思わなかったが、やはり丁寧に描かれた絵に惹かれた。


1階展示室にシャガールの木版画が展示されていた。「ポエム」という一連の作品が何点も。シャガールに木版画の作品があることは知らなかった。シャガールは色彩の画家、だと思う。展示されていた木版画の魅力を言葉に出来ないが、やはり色彩に惹かれた。「いいなぁ」。