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■「ぼくはこんな本を読んできた」 今回は『死の棘』島尾敏雄(新潮文庫1981年発行)。奥付に発行が昭和56年1月25日と記されている。ぼくはこの本を発売直後の同年1月31日に大学生協で買い求めている。
例によってカバー裏面の本書紹介文から引く。**思いやりの深かった妻が、夫の〈情事〉のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻。ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?――ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。**
なぜ当時20代で独身のぼくが発売と同時にこのような内容で500頁を超える長編小説を買い求めて読んだのか、今となっては分からない。
再読? たぶんしないだろう・・・。