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■『アポロンの島』小川国夫(角川文庫1975年6版)も、倉田百三の『出家とその弟子』と同じく学生のときに読んだ本。だが、この本は青春の思い出を負うてはいない。
減冊後に書棚に並ぶ文庫は20代で読んだものが多い。なぜだろう・・・。
歳をとると昔のことを懐かしく思う傾向が強くなるのかもしれない。そういえば未来より過去を語ることの方が多くなったように思う。追憶に生きる、か・・・。
解説文から引く。**小川国夫の文学の特質は、すべて、この『アポロンの島』にその原型があり、埋れた鉱石のかがやきを放っている。その言語、その思想が一体となって、従来の日本文学に少なかった形而上的な文学をつくりあげている。(後略)**