透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

178 松川村の火の見櫓

2011-08-13 | A 火の見櫓っておもしろい


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 北安曇郡松川村、安曇野ちひろ美術館がある村に立っている火の見櫓です。 この火の見櫓の特徴は短い脚です。この下にアングル単材で脚が伸びているのはよく見かけますが・・・。

火の見櫓のフォルム。櫓の曲線は前稿の穂高の火の見櫓の方が美しいです。下図のように片持ちの棒状の構造物が等分布荷重を受ける時の曲げモーメント図(BMD)を立てて左右対称にした形と相似をなすフォルムが構造的に合理的で美しい、ということになるでしょう。東京タワーがその実例です。


(ネット検索で見つけた図を使わせていただきました。)

この火の見櫓の場合、下端から2段目の横架材くらいまでは目でみてはっきり分かる曲線になっていないと・・・。

屋根と見張り台。大きさのバランスは良いですね。飾りが無くて簡素なところも良い。ここに半鐘が無いのは残念です。

1 櫓のプロポーション ★★★
2 屋根・見張り台の美しさ ★★★
3 脚の美しさ ★★★



177 安曇野市穂高の火の見櫓

2011-08-13 | A 火の見櫓っておもしろい


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 長野県内の火の見櫓の数はおよそ2300基と推定されるという調査があるそうです。まだまだ観察していない火の見櫓がたくさんある、ということでこのカテゴリーはこれからも続きます。隣県にもたくさんありそうですし、全国にも・・・^^v。

この火の見櫓の特徴は大きな踊り場があることです。このように個性的でオンリーワンな火の見櫓はいいですね。

では、立ち姿の観察。 

櫓の上に向かっての絞り込みは美しい曲線を描いていて、なかなかグッドです。大きな踊り場もバランスを欠いているという印象ではありません。

次は屋根と見張り台。屋根の矢羽は大き過ぎ、もう少し小さい方がいいでしょう。手すりのデザインは踊り場も見張り台も同じですね。下半分は縦しげの手すり子、上半分は上向きと下向きの♡ハートの連続、リズミカルで好ましいです。半鐘も付いています。

脚部。ブレースの下半分が埋まっています。ちょうど環状バックルの半分から下、というふうに気を使っていますが、評価ではマイナスです。

1 櫓のプロポーション ★★★★★
2 屋根・見張り台の美しさ ★★★
3 脚の美しさ ★★ 


 


山形県 旧朝日村の茅葺き民家

2011-08-13 | A あれこれ


民家 昔の記録 山形県東田川郡朝日村大網(現 鶴岡市) 19800813撮影

 今から31年前の夏、山形県の旧朝日村に茅葺きの民家を訪ねました。当時はまだ茅葺きの民家がかなりあったのです。

茅葺きの民家の観察のポイントは屋根の棟です。ここをどのように納めるか・・・。雨漏りしやすく、腐朽もしやすい部位ですから、様々な工夫が凝らされています。雨漏りしにくく、腐りにくく、そして美しく、というわけです。

屋根棟を押さえるための「おもし」として太めの木材をX型に組んで棟に跨らせて据えたものを千木(ちぎ)といいますが、これも屋根棟納めの工夫のひとつです。

千木には自然木のままの丸太や角材に加工したものがあります。このような棟押さえは全国的に見られ、「馬乗」「馬木」「からす」「おさえ」「がっしょ(合掌)」など、様々な呼び名が文献に紹介されています。東北では千木を据えた棟を「鞍木ぐし」などと呼ぶと手元の資料にあります。

千木の数は奇数が一般的です(映画やテレビドラマのセットなどでは偶数のこともありますが・・・)。朝ドラ「おひさま」のセット、水車小屋の奥にある寄棟の茅葺き屋根も偶数ではなかったかと・・・。

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単行本と文庫本

2011-08-12 | A 読書日記

 カフェ マトカで行われた古本市で買い求めた『小川洋子対話集』幻冬舎(単行本)を読みはじめた。

読んだことがあるような気がする・・・。最初の田辺聖子との対話「言葉は滅びない」でそう思った。いや、この本を手にとって目次を見た時、既読感があったのだが、装丁が気にいって他の本とともに買い求めたのだった。やはり書棚に文庫本があった。



単行本で既読の作品を文庫本で再読するのは川上弘美の作品だけだが、小川洋子の作品では『博士の愛した数式』も単行本と文庫本が書棚にある。ともに単行本だけ書棚に残し、文庫本を誰かにあげよう、単行本がいいかな・・・。



『博士の愛した数式』は第一回本屋大賞を受賞し、映画化もされた。小川洋子の作品は『薬指の標本』新潮文庫や『やさしい訴え』文春文庫、『密やかな結晶』講談社文庫など、海外作品のような雰囲気のものが多い、というか、それが特徴だから、この作品は本流ではないように思うが。

今日(12日)の24会に顔を出しそうなおじさんたちには小川洋子ファンはいないだろうな・・・。お盆の33会に持って行って、Sさんに渡そう。


― 火の見ヤグラー

2011-08-10 | A 火の見櫓っておもしろい



 シャネル好きはシャネラー、マヨネーズ好きはマヨラー。で、火の見櫓好きは「火の見ヤグラー」。なるほどなネーミング。そうか・・・、思いつかなかった。さすがカフェ バロのKAKUさん。

サイエンスについて一般市民と科学者がカフェで語らうという試み、「カフェDEサイエンス」を知ってから、こういうことが出来たらいいだろうな、と思っていました。たまたまカフェ バロで始まった「週末のミニミニ講座」という企画、その4回目で「火の見櫓」についてプレゼンすることに。そう、カフェDE火の見櫓。どういう流れでこうなったのか・・・。

あちこちに立っている火の見櫓、風景に溶け込んでいて存在に気がつかない・・・。でも一度気がつくと、なぜか気になる存在に。観察してみると、みんなちがっていて、みんなおもしろい。


9月3日、火の見ヤグラーにひとりでもなっていただけたら、うれしいです。


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「ホモ・ルーデンス」

2011-08-09 | A 読書日記


『ホモ・ルーデンス』ホイジンガ/中公文庫

 先月末、松本市美術館で開催された松本安曇野住宅建築展、第5回目となる今回のテーマは「あそびごころ」だった。「あそび」という言葉からホイジンガの『ホモ・ルーデンス』が浮かんだ。

このような名著は学生時代にきっちり読んでおくべきだろうが、読んでなかった・・・。

今でも入手できるのだろうか・・・。中公文庫に収められていて今でも入手できることがネット検索で分かり、先日注文しておいたが、今日(8日)届いた。

数時間で読了できる新書もいいが、たまには読み応えのある本をじっくり読むのもいい。この本を秋の夜長に読むことにしよう・・・って、読みたい本は他にもあるからなぁ~。


にわかヤマガー

2011-08-08 | A あれこれ

  

 前回はケータイを忘れて仲間と合流できず、ひとりでヤマガーしてきたが、昨日(7日)は、一緒に応援できた。Hさんはなんと1時半にアルウィンに来ていたとのこと、山雅のサポーターは熱い!

今月4日に急逝した松田直樹選手を追悼した試合の相手は現在JFLのトップ、SAGAWAだった。雷雨で試合開始が1時間遅れの7時半となった。

試合開始早々先制された。後半10分過ぎに同点に追いつくも、その数分後にいとも簡単にゴールを決められて、残念ながら1:2で負けた。

SAGAWAは両サイドから、ゴール前に確実にボールを上げてくる。守備から攻撃に転じてからの無駄のないパスワークはさすが首位のチーム。一生懸命ボールを追う山雅の選手たちにはガッツを感じたが、相手が上と、私にわかヤマガーはみた・・・。

Kさん、また誘ってください。

 


時は建築をシビアに評価する。

2011-08-07 | A あれこれ







 松本の市街地を流れる女鳥羽川、その川沿いにできたブティック。こういう造形は松本のような地方都市には無縁だと思っていたのだが・・・。

はじめに白い直方体があって、あちこち鋭くカットして・・・、この斬新な建築の造形プロセスを想像してみる。建築を面で構成するという発想というか、方法からは生まれてこない形。周辺環境を・・・・・・、次の言葉をさがす、刺激。そう、周辺環境を刺激する建築。

各時代の建築や景観が重なり合う「歴史の重層性」。それがまちの魅力には欠かせない、とするならばこのような現代建築の出現も歓迎すべきかもしれない。30年後、50年後もこのまちの魅力的な構成要素として生き続けているだろうか・・・。

時は建築をシビアに評価する。



176 モダンアート

2011-08-05 | A 火の見櫓っておもしろい


176 東筑摩郡麻績村にて



 麻績村役場前にある消防団の詰所の屋根に据えられた真っ赤なオブジェ、よく見るとそこに半鐘が吊り下げられています。

火の見櫓の「櫓」というのは立体的な構造だと理解しています。構造的には櫓ではなくても、半鐘を叩いて火災の発生を知らせる機能のものをすべて火の見「櫓」とするなら、これも火の見櫓、ということになるでしょう。 構造的には櫓でなくても機能上、櫓というわけです。

鉄筋コンクリート製の櫓?、トンボのような赤い屋根、長方形の見張り台、これらは評価の対象にはなりません。


 


175 筑北村坂井の火の見櫓

2011-08-05 | A 火の見櫓っておもしろい


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1 櫓のプロポーション ★★★
2 屋根・見張り台の美しさ ★★★★
3 脚の美しさ ★★★


■ 今回は少し厳しい評価をしました。長野道麻績(おみ)ICからほど近い筑北村坂井(旧坂井村)の火の見櫓です。3角形の櫓に6角形の屋根と見張り台、よくあるパターンの火の見櫓です。

櫓がちょっと貧弱という印象を受けます。少し傾いているのも気になります。ということで櫓のプロポーションは★3つとしました。

屋根も見張り台も特に指摘するほどのマイナス要因はありませんが、両者の間が空きすぎていると思います。柱が長すぎてちょっと間延びしている、という印象です。で、★4つ。避雷針に付けられた飾りは丈夫そうです。


次は脚部です。2箇所にブレースが入っていますが、やはり3箇所ともアーチ状にして欲しかった、と思います。ということで★3つとしました。

 

櫓の中間に簡易な踊り場があって、半鐘が吊るしてあります。半鐘はやはり見張り台に欲しいところですが、撤去されていないことをプラスに評価しなくてはなりません。木槌が吊るしてあるのもうれしいです。 


 


鳥と鳩(改稿)

2011-08-04 | A あれこれ

 「小学校学習指導要領」が手元にあります。この中に学年別漢字配当表が載っています。それによると2年生で習う漢字は160字で、鳥や魚が入っています(平成元年版ですから現在は違っているかもしれませんが・・・)。



鳥や魚は総称で、抽象的ですね。小さな子どもたちにとっては、いや大人にも抽象的なものより具体的なものの方が分かりやすいし理解しやすいですよね。ですから、ものの名前の漢字だって具体的なものの方が抽象的なものより画数が多くても分かりやすいことだって少なからずあると思うのです。

鳩より鳥を、鯖より魚を先に習うのは、画数が少ないから覚えやすいはずだ、というきわめて観念的な考え方や、抽象化してものの総体を把握する能力のある大人の判断ではないのかな、と思います。

この「鳥と鳩」については、もう何年も前いや何十年も前になるのかな、取り上げた評論家がおられたと思うのですが、思い出せません。

鳩なら、例えば近くの公園でみることができるでしょうから、漢字にその姿を対応させて覚えることができると思うのです。いろんな鳥たちを「鳥」と抽象化できない小さな子どもたちにとって「鳩」はいても「鳥」はどこにもいないのでは。

仮に母や父より親という漢字の方が画数が少なければ、先に教わることになったかもしれません。母と父がともに親という言葉で括られるということを理解するのは少し先のこと、小さな子どもたちには難しいでしょう。

どのように教えれば子どもたちが理解しやすいのか、例えば認知心理学などいろんな観点に基づく議論がもっと必要ではないのかな、と思うのですが・・・。

(3日の記事を書き改めました。)