透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

540 須坂市須坂太子町の火の見櫓

2015-05-13 | A 火の見櫓っておもしろい


540  須坂市須坂太子町にて 撮影日150510

 高山村の火の見櫓巡りをしたいと前から思っていたが、ようやく10日の日曜日に出かけることができた。カーナビで高山村役場を目的地にセットして、朝7時半過ぎに家を出た。カーナビの音声ガイドに従って行けば難なく目的地に着くことができる。 

須坂長野東インターで上信越自動車道を下りて須坂市を通って高山村へ。途中、須坂市内でこの火の見櫓を見つけた。東北信でよく見かけるタイプの火の見櫓。

4角形の櫓、中間に櫓の中に納まっている踊り場があり、その上にカンガルーポケットが付いている。ここの手すりに消火ホースを掛けるフックがあり、消火ホースが1本掛けてある。消火ホースの長さは20mだから、高さの推測ができる。見張り台まで15mくらいか。



4角錘(方形)の屋根の頂部の避雷針には細い丸鋼の飾りがついている。4隅には蕨手。

櫓のブレースは下半分はリング式ターンバックル付きブレースで上半分は山形鋼をブレースとして用いている。なぜこのような使い分け? 両者の機能的な違いは櫓のゆがみ(変形)を調整できるかどうか。櫓上部は各構面が小さいので、ほとんど変形しない。だから調整機能付きのブレースは不要、という判断ではなかろうか。もっとも、よく観察しなかったからこの火の見櫓のリング式ターンバックル付きブレースが調整できるようになっているかどうかは定かではないが・・・。



脚部 柱脚部分に根巻きコンクリート(という理解でいいのかな)を施工してある。



櫓の中に入って上を見上げると、こんな感じ。梯子段に山形鋼を用いている。丸鋼と比べて昇り降りする際、足掛かりはよいが、手でつかみにくい。とすると、丸鋼と山形鋼のどちらがいいのだろう・・・。

ここを昇り降りするのは怖そう・・・。 


 


諏訪松尾神社の狛犬

2015-05-11 | C 狛犬



安曇野市豊科南穂高寺所の諏訪松尾神社(寺所地区の産土神) 鎮守の杜全景 ここが狛犬の棲息地だ。



石造の台輪鳥居



常盤橋越しに拝殿を見る。



社務所



本殿を風雨にさらすことを避けるために鞘堂内に納めている。このようにしている本殿も珍しくない。



摂社 右から若宮社(誉田別尊)、八王子社(五男三女之神)、天満宮(菅原道真)



この神社を守護している獅子・狛犬

 獅子に角無し、狛犬に角ありのはずだが・・・。ここは獅子に角あり、狛犬に角無し、宝珠を載せて、だ。

これはどうしたことか・・・。

先日読み終えた『狛犬誕生 神獣のルーツをたどる』塩見一仁/澪標 によると寛政7年(1795年)に発行された『諸職画鏡』という職人のための絵手本には一対の狛犬の絵も載せられていて、向かって右の阿形の頭に角があり、左の吽形の頭には宝珠を載せているそうだ。

このことについて塩見氏は**どう考えてもこの絵の左右は、伝統的な獅子・狛犬の姿から考えると間違っていると言わざるを得ない。しかし、この絵を手本にして、そのまま間違った獅子・狛犬を製作した石工がいたことも確かである。**(344頁)と書いている。

もしかしたらこのような事情に因るのかもしれない。





阿形の獅子は口の中に玉を入れているが、これは珍しいとのこと。





体の表面の表現がユニークだ。



  

尾はなかなか凝った造りになっている。これはよほど自信がないとできないのでは。尾が破損することだってあるだろう・・・。


  




台座に刻まれた文字により明治四十一年生まれの狛犬で、産みの親は諏訪神宮寺の北原柳太郎という石工だと分かる。また、明治三十七八年戦捷記念とあるから日露戦争の勝利を祝って建立したのであろう。東郷平八郎が揮毫したことも分かる。

台座寸法 400×900
像の高さ 約1000
像の長さ 約 800




 


537 高山村黒部の火の見櫓

2015-05-10 | A 火の見櫓っておもしろい


537  上高井郡高山村黒部の火の見櫓 昭和31年5月竣工 撮影日150510

 総じて長野県の東信、北信地区の火の見櫓は細身。4角形の櫓、等辺山形鋼のブレース。8角形の屋根、蕨手がないのはちょっと残念。円形の見張り台、飾りのないシンプルな手すり。

踊り場はカンガルーポケット。切妻の小屋根の下につるりんちょな半鐘を吊り下げてある。



にぎやかな脚元。


 


高山村の蔵

2015-05-10 | A あれこれ





路上観察  上高井郡高山村黒部にて 撮影日150510

蔵の小屋組に注目。唐破風のような形の梁の納まりが絶妙、隣の須坂市でも同じ小屋組を見かけたが、こんな小屋組は今まで見たことがなかった(と思う)。

妻壁に牛鼻(蔵ワッペン←藤森照信さん命名)がないと何だか変。

民家巡りをしていた昔が懐かしい・・・。





安曇野市豊科下鳥羽の大同神社の狛犬

2015-05-10 | C 狛犬


大同神社 鎮守の森全景

 狛犬について書く場合、神社に関する用語を知らないと表現に窮する。少しずつ神社用語を覚えていきたい。鎮守の森(杜)という言葉は耳にするが、社叢(しゃそう)という耳慣れない言葉も同義。神社用語の基礎知識として覚えておきたい。



権七堰(ごんしちせぎ)に架かる石橋の先に木造の大きな鳥居がある。鳥居にもいくつかのタイプがあって、それぞれ名前がついている。この鳥居は台輪鳥居。この神社用語も覚えておきたい。知らないことを知ることは楽しいが、なかなか覚えられない・・・。

柱の頂部にある円い部材を台輪という。家具にも台輪があるから既に知っている言葉だが、鳥居にも使われていることは知らなかった。「台」という言葉から、島木の下に設置した部材と見るべきかもしれない。この島木という言葉も知らなかった・・・。



拝殿の前に千度石が据えてある。



千度と刻んである。



拝殿に向かって右側に社務所



拝殿の奥の本殿。一間社流造。本殿には建築的な型式による名称が付いている。

この神社には地元下鳥羽地区の産土神が祀られている。産土神・・・、うぶすながみ。辛うじて知っていた。

この神社を守っている狛犬

 

右の獅子の台座に大正四年十一月起工、左の狛犬の台座に大正五年五月竣工とある。起工年月を記してあるのは珍しいのでは。この狛犬、台座からしてなかなか立派。

御即位記念とあるが大正天皇の即位を指すのかな。





獅子の肢元で子どもが遊んでいる。微笑ましい姿ではあるが、ちゃんと聖域を守れるの?と訊きたくなる。
でも親はちゃんと恐い顔をしている。



左の狛犬もやはり子どもがいる。



これはキャベツではなくて、牡丹。牡丹に意味があるのか、無いのか、気になる。



なかなか見事な立体造形。なぜこれほどまでにカールさせているのだろう・・・。



長くて流れるような尾がなかなか好い。

狛犬のタイポロジーにも取り組みたいがまだ先になりそう・・・。


台座寸法 720×1100 (黒みかげの台座)
像の高さ 約1200





 


536 安曇野市豊科の火の見櫓

2015-05-09 | A 火の見櫓っておもしろい


536 安曇野市豊科(豊科高校の南側)の火の見櫓 撮影日150509

 まだ身近な地域で未見の火の見櫓に遭遇することがある。長野県内のすべての火の見櫓を見つくそうなどという壮大なもくろみがあるわけでもないから当然だ。今朝、豊科まで狛犬に会いに行って、偶々この火の見櫓に出会った。分団詰所の横に火の見櫓の後継の防災行政無線柱と一緒に立っていた。 

3角形の櫓に6角形の屋根と同じく6角形の見張り台から成る火の見櫓。

踊り場の造り方がユニークだ。東信地区には細身の櫓の外側1面にカンガルーポケット(と勝手に名付けた踊り場)を付けていることが少なくないが、中信地区では過去に見たという記憶がない。初見かもしれない。

梯子は櫓の外側に設置してあり、踊り場から上は落下防止かごを付けている。 梯子段のピッチと数から、見張り台までの高さを約12mと推測した。この高さまで外付け梯子を登るのは怖いだろう・・・。



屋根のてっぺんにかわいらしい飾りを付けてある。こんな形の花があったような気がするが名前は思い出せない。ミニ噴水にも見える。





上下2枚の写真を目測で適当にトリミングしたら、割とうまく繋がった。

中間の踊り場のシンプルな構成はモダンな印象で、私好みのデザイン。鋼材の特性を考えると床を支えるのに、方杖ではなく引っ張り材として上方に吊る方がよいかもしれない。

脚部はアーチを構成しているが、その下に横架材を渡し、ブレースを入れている。外付け梯子だから、櫓の中に入れるようにする必要もないのでこのようにしても支障ないが、やはり無い方が見ためには好い。


 


白馬三山

2015-05-09 | A あれこれ


春のフォトアルバム  白馬岳 撮影日150508



山の名前の由来になっている雪形「代馬(しろうま)」 従って山の名前はしろうま岳。





白馬(はくば)鑓ケ岳(左)と杓子岳(右) 撮影日150508


 


535 八方の火の見柱

2015-05-09 | A 火の見櫓っておもしろい


535   白馬村の八方尾根スキー場の近くで見かけた火の見柱 撮影日150508



■ 鋼管柱から八方に(って別につまらんシャレではなく)角形鋼管の片持ち梁を出して円形の屋根を載せている。茸に見える。

見張り台も同様の方法を採り、エキスパンドメタルを床に使っている。赤く塗装した半鐘がよく目立つ。半鐘を叩く木槌が吊り下げてあり、消防信号板も設置してある。現役かどうかは不明だが、確認する機会があると思う。

柱に付けてあるタラップは昇り降りしにくいかもしれない。

消防器具倉庫と一体に整備した比較的新しい火の見柱。





松本市中山の道祖神

2015-05-05 | B 石神・石仏


双体道祖神 松本市中山にて 撮影日150503

■ 松本平には数多くの道祖神が路傍などに祀られている。安曇野(松本平の一部を成すエリア)に500~600基の道祖神が祀られていると聞くから、その総数は800基、いや1000基を超えるかもしれない。

道祖神を塞神、障神(さえのかみ)と呼ぶ地方もあるが塞(ふさ)ぐという漢字から分かる通り、集落に悪霊や厄病神、邪鬼が入ってこないように守る神様だといわれている。あるエリアを守るという役目は狛犬も仁王様も同じだ。

道祖神は他にも五穀豊穣、子孫繁栄などの願いを叶えてくれる神様として、地域の人びとの暮らしに最も身近な存在だ。

今月の3日、松本市中山にある埴原(はいばら)神社に偶々行きついたがその際、近くでこの道祖神に出会った。ここまで縦長の道祖神は見たことがなかった。花崗岩ではないかと思うが、自然石に双体道祖神が彫ってある。摩滅が進んでいて、像の細部が分からないが、向かって左側の女神が酒器を持っているように見えないこともない。

建立年は確認できなかったが比較的古い部類の道祖神ではないか、と思われる。


 


松本市梓川倭の大妻神社の狛犬

2015-05-04 | C 狛犬


撮影日150504  狛犬の棲息地の大妻神社全景 



石造の鳥居越しに拝殿を望む よく見ると拝殿の両側に狛犬が写っている。狛犬が守護する御祭神は大妻太郎兼澄(おおつまたろうかねすみ)と建御名方命(たけみなかたのみこと)。

  

明治29年(1896年)生まれの狛犬。台座に棟梁松澤勘次郎とあった。



向かって右側、阿形の獅子。後肢部分の大きな渦巻きが印象的。 頭の宝珠は明らかに石種が異なる。確認すると単に載せてあるだけだった。「獅子鼻」が目立つ顔。



頭部をぐっと前に出している。獲物を狙っているかのような姿・形。鬣(たてがみ)や尻尾の線刻がなかなか美しい。



向かって左側の吽形の狛犬。宝珠は頭と一体。



阿形の獅子と同じように頭をぐっと前に出している。

まだ狛犬の観察を始めたばかりだが、明治生まれともなると狛犬の姿・形が個性的で味わい深いという印象だ。


 


534 松本市梓川倭の火の見櫓

2015-05-04 | A 火の見櫓っておもしろい


534 火の見櫓のある風景 松本市梓川倭にて 撮影日150504

 松本市梓川倭の大妻神社の狛犬を観に出かけて、神社の近くに立っている火の見櫓を見つけた。狛犬か、火の見櫓か・・・。4001稿にどちらを取り上げるか考えて火の見櫓を先にすることにした。

4角形の櫓に円形の屋根と円形の見張り台(共に平面形)の火の見櫓。4隅の柱材はカーブしてはいない。やはり末広がりの緩やかなカーブを描く櫓が好ましい。

櫓に横架材(水平部材)が5段あるから、高い部類に入る火の見櫓だろう。横架材の間隔は次第に狭くなっているが平均6尺(約1、8m)とすると見張り台の床面の高さは10、8mとなる。従って屋根頂部までの総高は14~15m位だろう。



屋根の頂部の避雷針には線状のシンプルな飾りが付いている。スピーカーなどがついていないのは好ましい。半鐘は見張り台にはなく、踊り場に吊るしてある。見張り台から移設したのだろう。



なかなか美しい脚部には出会えない・・・。

下から見上げるより、このように遠くからの方が櫓のフォルムは確認しやすい。


 


松本市中山の埴原神社の狛犬

2015-05-04 | C 狛犬









 境内の由緒書きによると、3社が合祀された神社(天和2年(1682年)に十五所大明神社と八幡社を合祀、さらに明治41年(1908年)に鎮守社を合祀して埴原(はいばら)神社としたという)で計21柱(十五社の健御名方命外14柱、八幡社の息長姫尊外2柱、それから鎮守社の伊邪那岐尊外2柱)もの御祭神が祀られているそうだ。

多くの御祭神をお守りするのは昭和59年4月生まれの若い狛犬コンビ。台座に刻まれている石匠の名前は田近 進氏。田近石材店制作の狛犬は松本市内の神社に何体も棲息している。

    



阿形の獅子(いまでは左右どちらも狛犬と呼称しているようだが、拙ブログでは便宜的に拝殿に向かって右側、通常阿形の狛犬を獅子とする)は筋肉隆々できっちり蹲踞の姿勢を取っている。若い獅子、という印象。鬣(たてがみ)は大きくカールしていて玉状にも見える。口腔内を紅くしてある。



吽形の狛犬





後ろ姿は共によく似ている。ソフトクリームを少し長く伸ばしてウェーブさせたようなしっぽが印象的。


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