■ 塩尻市広丘吉田の長者原公園南で1954年(昭和29年)に出土した鉄製の護摩炉は平安時代(*1)に製作されたものと言われている。長年松本民俗資料館で保管されていたが、今年(2023年)11月8日に塩尻市に戻され、出土地のえんてらすで展示されていると地元紙で知り、見に行ってきた。
『火の路』(文春文庫)で、作者の松本清張は飛鳥の謎の石造物とペルシャのゾロアスター教との関係を論じている。しばらく前にこの長編小説を読んでいたので、拝火壇との関連性から護摩炉に関心が及んだ。
説明文によると、この護摩炉の大きさは高さ26cm、外径49.5cm、重量15.4kg。
底の浅い炉と蓋
展示されている護摩炉を見ていて、鉄器は錆びて原形を保てない程ボロボロになってしまうことも多いと聞く。よく残っていたなぁ、松本清張は『火の路』で益田岩船をゾロアスター教の拝火壇に相当するものとみていたっけ、昔から人にとって火は特別な存在なんだな、などと思った。
*1 類例がないので時代特定は難しいとのことだが、形が平安時代の香炉とよく似ていること、足が鎌倉時代のものより古風な印象であることから平安時代と推測されるという。