城山展望台から眺める桜島は美しい。鹿児島県人ならずとも感嘆の声を上げるであろう。西郷らは、死ぬまでに一目桜島の雄姿を拝みたい、という一心で官軍の攻めを凌ぎ、悪路を歩き続けて鹿児島まで帰って来たのかもしれない。
城山展望台から桜島を臨む
駐車場の一角から階段を上ると「ドン広場」と呼ばれる空間に至る。この場所には明治三十年(1897)以来、正午を報せる空砲を撃つ大砲が置かれていたため「ドン広場」と称される。この広場を抜けた木陰に「明治十年戦役薩軍本営跡」と記された碑が、忘れられたように建っている。可愛岳突囲後、山中を進軍して鹿児島に戻ってきた薩軍は、官軍の包囲を突破して城山に陣取った。本営を置いたのが、この場所である。
明治十年戦役薩軍本営跡