映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ザ・プレイヤー  ティムロビンス

2009-05-14 19:19:48 | 映画(自分好みベスト100)
ロバートアルトマン監督のスリル物。ティムロビンスが映画会社の重役を演じ、ハリウッドの内幕を描く。
アルトマン監督の映画は登場人物が多く、頭が混乱することが多い。最初は複雑にするかと見せかけて、途中から登場人物を絞ってサスペンスらしくなってくる。ハラハラ感が心地よい傑作である。

ティムロビンスは映画会社の重役、脚本家の台本を映画化するかどうかの判断が仕事。その彼に脅迫状が送られてくる。彼は自分への恨みを持つ脚本家の仕業と考える。売り込みの脚本家リストを見て、一人に絞って、彼の自宅へ向かう。
その脚本家は不在で、妻がアートの仕事をしていた。彼女に外から電話をして脚本家が映画を見に行っていることを知り、映画館に向かう。(映画は自転車泥棒)ロビンスはそこで彼に声をかけ、一緒にのみに行くが。。。。

ロバートアルトマンらしい映画のスタートで、いきなり撮影所の中でいろんな人たちの会話が交錯する。
この映画では、映画スタジオが舞台なだけあって、ジュリアロバーツ、ブルースウィルスなど実際の俳優がその名で数多く出演している。その出演自体に大きな意味を持たせないので、登場人物の人間関係はそんなに複雑にはならない。通常のミステリーと変わらない。ストーリーは意外性を残しながら進んでいく。いろんな素材を組み合わせながら調理されたフレンチのように、美しく、丁寧に作っていく。名作「MASH」のようなユーモアのセンスも持ち合わせる。「映画の中の映画」の手法もとって実に見事だ。

ハリウッドの内幕については、「サンセット大通り」という古い傑作がある。あの映画でも、映画スタジオの場面が中心で、本物の俳優や監督たちが数多く出演していた。ハリウッドには魔物がいるといわれる。そういう妖しい匂いを少し残しているところも感じさせる。アルトマンも「サンセット大通り」のような映画をつくりたかったというのが、随所に感じられる。

ティムロビンスにとっては、コーエン兄弟「未来は今」と名作「ショーシャンクの空に」の前の作品
もうすでに主演を張っていて、この3作の演技は甲乙つけがたい。どこかしらナイーブなところがある役は非常にうまい。この主人公自体はこの3作の中でも一番性格的に問題のある役柄だと思う。
それだけにうまくこなしたものだ。この作品でのカンヌ映画祭主演男優賞受賞は、当然とうなずける。
コメント
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