映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

夏時間の庭  ジュリエット・ビノシュ

2010-05-30 14:28:46 | 映画(フランス映画 )
パリ郊外の大邸宅で老婦人が亡くなり相続が起きた。その相続人の3人、兄妹弟のふるまいを描く。著名な画家たちの美術品を数多く貯蔵された古い邸宅での3人の姿をじっくり描くフランス映画だ。監督は香港の女優マギーチャンの夫オリビエ・アサヤス、撮影はエリック・ゴーティエで、このブログでも「イントゥザワイルド」「モーターサイクル・ダイアリーズ」の2作の素晴らしい撮影を絶賛した名手である。個人的にジュリエット・ビノシュとの相性がよく観た。地味な作品だが印象に残る。

母親の75歳の誕生日に3人の子供が誕生日祝いに来ている場面からスタートする。パリ郊外にある緑美しい大邸宅である。価値ある美術品がたくさんある家だ。娘のジュリエット・ビノシュは美術学校を卒業した後デザイナーとなり、現在はアメリカに滞在している独身女性、兄シャルル・ベルリングは経済学者となりそのままパリにいる。弟ジェレミー・レニエは経済発展著しい中国に行って、事業をしている。バラバラの家族であるが、母親は長男を呼んで、自分が死ぬときにはおまえが相続をまとめてくれと話をする。



そして母親が死んだ場面に移る。家族の誰もがその家に住むことを望まない。かなりの相続税がかかることがわかり、美術品をオークションにかけたり、オルセー美術館に寄贈することも相談することになる。でもパリに残る長男はさびしそうだ。。。



最後まで大きな起伏はない。相続をめぐって大きな争いが起きるわけではない。
静かにストーリーが流れる。
オルセーにある美術品を実際に使っているとのふれこみであるが、そんなに素晴らしい作品が前面に出ているわけではない。でも映像は非常に上品にまとまっている。
妙に整理整頓が行き届いているわけでなく、どことなく乱雑に小物をちりばめていて、美術担当のセンスのよさを感じる。そこを巧みに名手エリック・ゴーティエが撮影している。取り合わせの良い料理といったところか?

この映画は観る立場によって感じることが異なる気がする。
自分は同じように父母に家のことを託されたことを思い出しつつ、長男としての思いに共感した。品川の家にまだ大量にいろんな雑多なものがある。この映画と違ってオルセーに寄贈するような素晴らしいものは何もない。でも遺品に対する思い入れは強い。
であるから整理されないままになっている。
同じように70くらいの女性が観ると、被相続人である母親に自分の気持ちを照らし合わせるのではなかろうか?老いた母親が3人の子供とのパーティを終え、見送り別れるときのさびしげな後ろ姿が妙に印象に残る。

傑作とは思わない。でも兄弟3人の演技はいずれもよく、脚本もダブりなく表現した簡潔なセリフでいろいろなことを観ている我々に何かを考えさせる作品であった。
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未納が増えると年金が破綻するって誰が言った? 細野真宏

2010-05-30 13:28:05 | 
表題の本を読んだ。
国民年金未加入の人が多い。よって年金はいずれ破綻するという議論は違うよという話。

この本で年金未納の問題はよくわかった。
年金全体における未納者の比率は全体の中で5%程度となれば
たしかに年金が破綻することにはならないであろう。

ただ年金を払わないという人がいること自体は問題だ。
でもこれは自分で自分の首を絞めることですよ。と言い切る。
国民年金で支払額の約1.7倍、厚生年金では支払額の約2.3倍をもらえるのにこれを放棄するというのはもったいないですよ。
払わない人おばかさんですねというような話だ。
なるほど

年金の税方式の件はよくわかった。
半分会社に負担してもらっている厚生年金の金額がそうならないとなると家計への影響は大きい。これはかなりの負担になる。
今でも給与明細をみると、これさえ引かれていなければと思ってしまう。
それが倍になれば大変なことだ。

企業経営者はこの方式を支持するというが、そもそも企業経営者の大多数はサラリーマンである。経営者になれば少し観点が変わるかもしれないが、サラリーマンのときにこの案を支持するとは思えない。
だって毎月の手取りが3万から4万程度厚生年金の支払いのために大幅に減るわけであるから。。。
経営者になったとしても同じように思うでしょう。
これは読んで良かった。やさしく説明されてよくわかった。
これ以上この議論がされないことを希望します。

でも円高によって企業が利益が出なくなる構図の議論は若干違うと思う。

円が強くなったとき、価格が高くなるので日本製品を買わなくなると論じる。
そうだろうか?
もともと設定していた製品価格が突然高くなるはずがない。
仮に1000ユーロだったものは、そのままの価格だと思う。
企業はそんなに簡単には価格転嫁できないはずだ。

むしろ1ユーロ160円だったときに100ユーロ16000円の商品があったとして
円に換算して1万6千円の収入が入るのが、1万1千円の収入しか入らないということだと思う。
なんだかんだ言って経済の本質的なことをすべて理解してはいないと思った。

細野氏と日経の論説委員との年金未納に関する論争はどっちもどっちという感じがする。
それと同時に新聞や活字に縁がないと言い切っている細野氏もどうかと思う。
あまり自慢するような話ではない。日経も稚拙な男と話をしても仕方ないという感じだろう。

でも細野氏は新鮮な目で社会現象をうまくとらえているとは思う。
この本もためにはなった。
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