映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

洋菓子屋コアンドル  蒼井優

2011-10-15 12:50:10 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
洋菓子屋コアンドルは田舎から上京した新米パティシエの奮闘記である。主演は蒼井優で鹿児島弁を使ってわざと田舎者の感じを出している。脇を固めるのは戸田恵子、江口洋介の芸達者でストーリー展開は普通だが、本質的な愛情のようなものが根底に流れているので、後味は悪くない。


東京の洋菓子店“パティスリー・コアンドル”に、大きな荷物を持った鹿児島弁丸出しの娘こと蒼井優が、パティシエ修行中のはずの恋人を探して店を訪ねてくる。だが彼は既にコアンドルを辞めていた。
店にはオーナーでシェフパティシエこと戸田恵子と夫ジュリアン、そして女性助手こと江口のりこが働いていた。そこにスイーツの評論家こと江口洋介がよく訪ねて試食にきていた。彼はもともと天才パティシエだったという。
行くあてもない蒼井は途方に暮れた末、戸田に店で働かせて欲しいと頼み込む。自らをケーキ屋の娘であると売り込み、得意のケーキを作ってアピールするが、店に出せる代物ではない。それでもなんとか見習いとして雇ってもらうこととなり、泊り込みで働き始める。
働き始めていたが失敗ばかり毎日で先輩助手の江口のりこから叱られっぱなしだ。そんな中、蒼井は探していた恋人が現在勤める店を知る。やっと会えた恋人に鹿児島へ一緒に帰ろうと説得するが、彼は東京で修行を続けると言う。しかも、そこに新しい彼女が現れたが。。。。


温かみのあるような印象を受けてこのDVDを手に取った。おいしそうなケーキの画像を見てみたい気もしていた。その印象ははずれではなかった。
昭和30年代から40年代にかけて集団就職の全盛の時は、地方から上京して職について修行するという設定は映画でよくある設定だった。今は地方から上京する学生という設定はあるかもしれないが、昔のようなパターンは少なくなった。比較的最近の映画「三丁目の夕日」はあくまで昭和30年代前半の設定だ。そういう素朴な女の子を演じるには蒼井優は適役だったかもしれない。

この映画での蒼井優はおっとりしたというよりも、田舎のおてんば娘である。気も短いし、自分勝手だ。そんな女の子だけれど、応援してあげたいと思う気を起させる。そういう年に自分がなったからであろうか?同時に先輩パティシエである江口のりこの存在がこの映画の中でいいスパイスとなっている。職人を思わせる身のこなしで無口だ。言葉を発するときつい。一重まぶたの目もきつい。でも気になる存在だ。腕を競い合う2人は心が親しく交わることはない。鋭角に交わる。でも本質的なやさしさやふれあいがどこかに見える気がした。
戸田恵子は貫禄が出てきた。加賀まりこや80を超えるベテラン鈴木瑞穂、佐々木すみ江の使い方がうまい。彼自身は悪くないけれど、江口洋介の過去の見せ方がちょっとくさいなあと思う以外はうまくまとまっていると思う。
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愛する人  ナオミワッツ

2011-10-15 08:01:12 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「愛する人」は恋愛オムニバス映画である。アネットベニング、ナオミワッツと2人の自分の好きな女優の共演となれば見るしかない。「Mother & Child」という原題が示すごとく、劇中には多くの母と娘が登場する。若くして生んだ娘を手放した事を悔やんで生きる母親。その母に捨てられ、立派なキャリアを積みながらも醒めた目で生きていく娘。子どもが欲しいと願い、なんとかして養子をもらい受けようとする女性。ロドリゴ・ガルシア監督は、3人の女性がさまよう情景を映し出す。


3つのストーリーが同時に流れる。
アネット・ベニングは介護の仕事をしながら年老いた母と暮らしていた。37年前、14歳の時同級の恋人と交わりその子供を身籠る。まだ若すぎて赤ちゃんを手放さざるをえなかった。それもあってか気難しく女性に育っていた。人と素直に接することができないでいた。今の職場の同僚にはそんな彼女を理解してくれる人がいるが。。。。
母親の愛情を知らずに育った娘ことナオミ・ワッツは弁護士となった。人もうらやむ輝かしいキャリアをつんでいったが、一つの事務所にはおさまらない。新しい法律事務所では上司こと黒人弁護士のサミュエル・L・ジャクソンと親しくなった。そして誘惑する。また、隣の家に住む新婚夫婦の夫をナオミは誘惑する。しばらくたち、生理が来ないことにナオミは気づく。どうやら妊娠してしまったようだ。どちらの子かはわからないが。。。。
黒人女性ことケリー・ワシントンは、愛する夫と家庭を築きながらも、子供を産めない体であるため、養子縁組を決意。教会に登録し、ある妊婦と巡り会う。不意の妊娠で生まれてくる子供を養子に出そうとしていた女性だった。きついことをその女性から言われながらも、養子にもらおうとするのであるが。。。

この母娘の気持ちはよくわかる気がする。こころの中にわずかな隙間を作りながら生きていくのは何か辛いものである。後半戦に入り、鋭角的肌合いから少しづつ色彩を穏やかにしている。母娘それぞれの持つ本質的な愛情のようなものを見せられて、心が洗われるような気もした。

相変わらずナオミワッツがなまめかしい。かわいい顔をして大胆なことをする役はお似合いだ。マルホランドドライブからすでに10年はたつが、全く衰えは感じない。ここでもバストトップを見せる。女優魂に磨きがかかっている印象だ。逆にアネットベニングの衰えが目立つ。映画が始まり、気難しい女性を演じる。なんか嫌味な感じだ。個人的には「アメリカンビューティ」での普通の主婦役が一番似合う気がする。

それでもアネット・ベニングとナオミ・ワッツが、映画が進展するに従って、顔つきや表情まで変化していく。演技は素晴らしいと感じた。さすが当代アメリカ女優のトップクラスに君臨するわけだ。
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