映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「甘い鞭」 檀蜜

2014-08-10 19:24:52 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「甘い蜜」は2013年公開の檀蜜主演映画だ。


石井隆監督フィギュアなあなたを製作すると同時にこの映画を撮っていた。檀蜜は連続出演だ。前作の出来からこの作品が楽しみだったが、こいつはかなりきわどい。いわゆるSM映画だ。にっかつポルノの谷ナオミ作品をこえるバイオレンスタッチである。
檀蜜もかなり頑張っているが、SMクラブの経営者役の屋敷紘子の苦痛に満ちた顔がなかなかいける。

不妊治療専門の女医奈緒子(檀蜜)には17歳の時の痛ましい思い出があった。彼女(間宮夕貴)は近所の男性に拉致監禁され、1カ月にわたって弄ばれ続けたのだ。心配する両親のもとに血だらけで帰ってきた。男を殺害して生き延びたのだ。
トラウマを抱えたまま成長した彼女は、医師である昼間の顔とは別に夜はSMクラブの売れっ子M嬢というふたつの顔を持つようになる。そこには変態のお客が次から次へと来ていたのだ。


17歳のときに監禁されたシーンと現在のSMクラブとのプレイが交互に映される。
少女が監禁した男に弄ばれるシーンはどうもしっくりこない。熱演だが、好きではない。

逆に檀蜜のエロティックシーン4つが強く印象に残る。

1.お風呂で自慰シーン
シャワーを浴びながら、15年前の監禁の時にもてあそばれたことを思い出す。そして悶えまくる。これはかなり大胆な自慰シーンだ。そしてそそる。檀蜜もテレビでチヤホヤされているだけで十分だと思うが、よくもまあ挑戦したと思う。
フィギュアなあなたではポールダンサーでエロティックな姿を見せたがエロ度は比べ物にならない。


2.エロ会社員から遊ばれるシーン
マゾヒストなので、一方的に鞭を打たれるばかりである。実際には痛いわけではない。それなりの痛さの鞭を使っているからだ。高級接待で来ている変態男たちは打たれると痛い鞭に変えさせる。苦痛でうごめく檀蜜だ。それだけで物足りないのではりつけにする。股を大ピらに開く。男たちがパイパンだよという。アソコの毛を剃っているのではなく、抜いている。そしてかわるがわる檀蜜といたす。
おいおい、これって本当だったらいくらするんだよ。10万円程度だったら実入り少ないよなあ。

3.SM逆転のシーン
SMクラブの経営者(屋敷紘子)は強烈なサディスト女性だ。私生活でも相当なサディストという設定、最初のシーンではひたすら檀蜜を痛みつけるだけだ。そこに登場するのが顧客の竹中直人だ。石井隆作品には欠かせない常連だ。彼は経営者に立場を逆転するように指示する。これはルールだからダメだと言っても、竹中はそれだったら帰ると言ってきかない。
ついに経営者が檀蜜に鞭で打たれる。このシーンがいい。屋敷紘子があまり豊かでないバストをあらわにしながら、苦痛にうごめくところがいい。竹中直人も楽しそうだ。


4.真正サディストに対する檀蜜
前に来た時は女性を半殺しにしたというお客だ。痛い鞭を使ってきつくいためつける。
前日コテンパンにやられた経営者は見て見ないふりをしているから客はやり放題だ。
ここで檀蜜はよからぬことを妄想する。。。。

さっきも言ったけど、一体いくら払えばこんなことできるんだろう??

なかなか残虐な展開だ。
石井隆はまだまだ健在
檀蜜の再出演もいいけど、屋敷紘子に暴れさせてみたいなあ

甘い鞭 ディレクターズ・ロングバージョン
エロの極致
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映画「野獣死すべし(1959年版)」 仲代達矢

2014-08-10 12:48:28 | 映画(日本 昭和34年以前)
映画「野獣死すべし」は大藪春彦のデビュー作を1959年に映画化したものだ。
当時若手気鋭の仲代達矢が主人公を演じている。

大学院で学ぶ優秀な学生にもかかわらず、冷酷な殺人をする主人公の話だ。
横溝正史シリーズで角川映画のブランドを高めた後で、森村誠一や木彰光や大藪春彦の作品が同じように角川映画に取り上げられた。その印象が強く、昭和30年代に「野獣死すべし」が映画化されていることは知らなかった。
当然フィクションだが、主人公のキャラクターを大藪自身のキャラに重ね合わせている。


「岡田さん」深夜の住宅街を歩く岡田刑事は呼びかける声に近づくと、鋭い銃声のもと歩道に倒れた。車から降りたった青年は伊達邦彦(仲代達矢)であった。拳銃と警察手帳をポケットに入れ、死体を車の後部に押しこむ。そして犯行車を走らせ、別の場所に置いたまま、別の車に乗り換え逃げた。乗り捨てられた車から岡田の死体が発見され捜査がはじまった。ベテラン桑島刑事(東野英治郎)と若手刑事真杉(小泉博)が同僚だった刑事殺しの犯人を追いはじめていた。

伊達邦彦は文学部の大学院生だった。指導教官の杉村教授(中村伸郎)の翻訳を手伝う一方で、論文をアメリカの財団が主催するコンクールに出して留学の機会をねらっている。学内では優秀とされる男だ。ボクシングで鍛えた強靭な体を持ち、巧みな射撃術で完全犯罪のスリルを味わっている冷徹な男だ。彼は決して一人の女を三度以上抱かない。同じ大学に通う妙子(団令子)にも3度目の情交の時に別れを持ちだす。


伊達は裏カジノの賭博場から出てきた中国人の陳と用心棒(佐藤允)に声をかけた。警察手帳を見せて陳に手錠をはめ、用心棒の頭を拳銃でなぐり気絶させ賭博の売上金を奪っていった。裏組織の人間だけに警察には被害届は出さない。黒幕の陳は犯人をなんとしてでも探し出せと指示を出した。

繁華街で面識のあるゲイボーイに伊達が声をかけられた時、伊達を捜している裏組織の用心棒三田(佐藤允)が2人で追いかけてきた。伊達は路上の車にゲイボーイを乗せて逃げた。追いつめられたゲイと伊達だったが、結局伊達は用心棒を射殺して、ゲイボーイの乗った車に火をつけ爆破した。

捜査当局はやくざ関係のイザコザだと推測していた。警察に出入りしている新聞記者(滝田裕介)が話す杉村教授の現代の犯罪論が真杉の気をひいた。それが教授の下にいる大学院生が語ったという。
真杉はその大学院生が気になり探した。ボクシングジムで伊達を見てあっと叫んだ。この男だ。


以前恋人が働く洋酒喫茶で伊達のパフォーマンスをみて気になっていたのだ。
こんな冷徹なことができる犯人は伊達だと決めつける。
一方留学が決まった伊達の最後の仕事は大学の入学金を奪うことだった。伊達は貧乏学生で金に困っている手塚という男と知り合った。二人は大学を襲ったが。。。。

この映画で主人公が犯す犯罪は、警察官殺人事件と賭博場の収益金強奪、そして大学入学金の強奪である。防犯カメラが街中に張り巡らされている現代では、逃走車の行方はすぐさま掴まれてしまうはずだが、当時はそんなものはなく目撃証言だけだ。そう考えると、30年代は犯罪なんてやり放題だと見えてしまう。

ここで仲代が演じる主人公は、子供のころに戦争を体験し、その中でハチャメチャな育ち方をしてきた。今は真面目な院生だが、感傷や情緒がない冷徹人間だ。完全犯罪で自分の思いを遂げようとする。

1.仲代達矢
昭和34年というと、仲代にとっては目下売り出し中という状態だ。前年の大映作品「炎上」「鍵」に出演した後で、この作品と「人間の条件」の主役をかちとっている。「炎上」の陰気臭い主人公の友人役が薄気味悪い。その顔と同じような雰囲気で出てくる。俳優の専属制が徹底していた時期に、映画会社をまたいで出演していたのは珍しい。昭和36年の黒澤明作品「用心棒」では用心棒のライバルになる殺し屋で、昭和35年の成瀬巳喜男「女が階段を上る時」では銀座クラブのマネジャー役と幅広い役をこなしている。彼の出演作いくつみた数えてみたら28作だった。そのうち昭和30年代の作品が占める割合が高い。
熟年になってからの活躍もすばらしいが、多作だった昭和30年代にいい作品が目立つ。

ここからネタばれあり

2.大学への入学金強盗
主人公は学費を払えない結核にかかっている貧乏学生をみつける。競輪に手を出し、すっからかんだ。彼をそそのかし、入学金3000万円(貨幣価値が違う)が入金されている経理課に侵入する。そこには警察官もいたが、別の場所が爆破され気を取られているうちに拳銃を彼らに向け、金庫に入れようとしていたお金を奪う。
しかも、奪った金を持って2人で逃げるときに、貧乏学生に栄養ドリンクと称して、睡眠薬のようなものを飲ませて眠らせて、そこを拳銃で撃って殺す。しかも、車ごと海に突っ込ませる。


3.海外への逃走
警察当局は主人公に疑いの目をもって接するが、つかまえられない。奪ったお金を持って逃げた先が女のところで、彼女に金を渡してその部屋にいたとアリバイ作りをする。それで話が収まってしまう所が昔の映画だ。
しかも、海外へ行ったら逃げ放題といった感じで、空港まで警察は追いかけるが、飛行機に乗り主人公はアメリカに向かう。

それでも、最後警察に捕まるような匂いをさせながら、捕まらない。犯罪を成立させるのである。
この展開はこの当時ではめずらしい。

4.小泉博と白川由美
最初の主演者のクレジットでは、仲代達矢と小泉博が並列で並んでいる。明らかに仲代達矢の主演作だが、この当時ではまだ小泉が格が上だということに配慮したのであろう。小泉博はこのころ実写版「サザエさん」のマスオ役を演じている。サザエさんはもちろん江利チエミだ。そこで白川由美はマスオの妹役を演じる。縁があったのであろう。この映画では小泉博演じる刑事の恋人で洋酒喫茶のカウンターに立つ女性だ。


ここでの白川由美は23歳、当時の出演作をいくつも見たが、この映画での白川が一番美しく見える。白川由美の実家は五反田の美容室で、自分の生まれた家の数軒となりにあった。母に言わせると、その当時白川由美が里帰りすると近所で軽い騒ぎになったという。自分が生まれた家もその美容室も今の五反田にはない。

(参考作品)
野獣死すべし
冷徹な殺人鬼と若き刑事の対決


野獣死すべし
松田優作が演じる殺人鬼
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