映画とライフデザイン

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映画「ある殺し屋の鍵」 市川雷蔵

2014-10-22 17:43:05 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「ある殺し屋の鍵」は67年(昭和42年)公開市川雷蔵主演の現代劇


「ある殺し屋」はなかなか面白かった。続編である。監督森一生、撮影宮川一夫は変わらず、サポートする脇役がグレードアップする。そののち20年以上テレビ等で活躍する面々である。昭和のサスペンスで、何かが抜けている感じがして、ちょっと物足りない部分もあるが、佐藤友美が美しいので十分カバーする。

表向きは日本舞踊の師匠である新田(市川雷蔵)は、実は凄腕の殺し屋だった。彼の素姓は、彼と親しい芸者秀子(佐藤友美)も知らなかった。ある日新田は、石野組幹部荒木(金内吉男)から、政財界の秘密メモを握る脱税王朝倉(内田朝雄)を消してくれと頼まれた。二千万の報酬で仕事を引受けた新田は綿密な調査の末、朝倉の泊るホテルのプールを仕事場と決めた。


その日、何も知らずに朝倉と遊んでいた秀子に邪魔されはしたが、新田は針一本の武器で朝倉を殺した。証拠も、目撃者もない、瞬時のことだった。だが、石野組は新田を裏切り、彼を消そうとした。新田は危うくその手を逃れ、報酬だけは自分の手に入れると、再び自分を殺そうとした石野(中谷一郎)と荒木を始末した。このことから、新田は石野の背後に政界の大物が黒幕として存在することを知った。

仕事の報酬である札束の入ったケースを貸しロッカーに預け、自分を利用して殺そうとした者の正体を探るために政治記者に化けた新田は、朝倉の弁護士菊野の口から、この件に遠藤建設が絡んでいることをつきとめた。その遠藤(西村晃)が秀子のレジデンスに通っていることを知って、新田は遠藤を締めあげ、黒幕の名を聞き出そうとしたが。。。

1.市川雷蔵
ドーランを強く塗る時代劇のメイクと異なり、現代劇ではあっさりとしている。ただし、声に迫力がある。そんな雷蔵を宮川一夫のカメラが的確にとらえる。白黒映画で鍛えた陰影のとらえ方のうまさはいかにも大映らしい。前回の小料理屋のオヤジと異なり、踊りの師匠となっている。雷蔵自ら踊る演技は優雅でさすがという感じだ。

必殺仕事人張りに相手の急所を針でひと刺しして始末していく姿はカッコいい。現代ではあらゆるところに防犯カメラがあるので、こうはうまくいかないのでは?と思うけど、ここまでの殺し屋なら防犯カメラの死角もつけるのかな?


2.佐藤友美
当時26歳である。実に美しい。自分が大学生の時、彼女は30代後半だったと思うが、大好きだった。サスペンスドラマの常連で色っぽさを発揮する。人に好きな女優を問われ、佐藤友美と言っていたなあ。年上だけど、憧れてしまう存在だった。ここでは敵味方の間で風見鶏のようにふるまう峰不二子ばりの悪女を演じる。

3.脇役が豪華
政界の黒幕が山形勲で、この当時でいえば、一番の適役だろう。脱税王森脇がモデルと思われる消す相手の内田朝雄はそのきれいな禿げっぷりが特徴で、「細うで繁盛記」新珠三千代をカヨ!と呼ぶ伊豆弁が一番印象に残る。西村晃は建設会社の社長で中谷一郎がヤクザの組長だ。やがて水戸黄門で一緒になるとは夢にも思わなかったろう。中谷一郎は圧倒的強さを発揮した水戸黄門とちがって、ここでは???あとは「マグマ大使」の声をやった金内吉男もこの時代はよく見かけた顔だ。

「ある殺し屋」は結局2作で終わる。過密スケジュールをぬって、大映のあらゆる作品に出演していたころの市川雷蔵だ。2年後の死がいまだに悔やまれる。
コメント (2)
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