映画とライフデザイン

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映画「ディストランクション・ベイビーズ」 柳楽優弥&小松菜奈&菅田将暉

2016-05-25 17:38:49 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「ディストランクション・ベイビーズ」を映画館で見てきました。


これは凄まじい映画だ。「過激」という言葉があてはまるバイオレンスアクションというと、銃やナイフ、爆発物を含んだものが大半だ。ここでは徹頭徹尾素手のケンカである。「ファイトクラブ」というケンカクラブの洋画があったが、ストリートファイトにこだわる。


ここまで最後までテンションをまったく下げない映画も珍しい。映画館には男女問わず若者が大勢いた。我々の時代と違い、教員が暴力をふるったり、校内暴力で荒れている時代とは異なる。暴力と無縁といった表情をした若者が刺激を求めて映画館に来ているのであろうか?同じバイオレンスものといっても園子温監督作品とも肌合いの違うテイストで、迫力に圧倒された。ヴァイオレンス描写のきつい韓国映画でもここまでのものは少ない。一見の価値ある傑作である。

愛媛県松山市西部の小さな港町・三津浜。海沿いの造船所のプレハブ小屋に、ふたりきりで暮らす芦原泰良(柳楽優弥)と弟の将太(村上虹郎)。日々、喧嘩に明け暮れていた泰良は、ある日を境に三津浜から姿を消す──。それからしばらく経ち、松山の中心街。強そうな相手を見つけては喧嘩を仕掛け、逆に打ちのめされても食い下がる泰良の姿があった。

街の中で野獣のように生きる泰良に興味を持った高校生・北原裕也(菅田将暉)。彼は「あんた、すげえな!オレとおもしろいことしようや」と泰良に声をかける。こうしてふたりの危険な遊びが始まった。やがて車を強奪したふたりは、そこに乗りあわせていたキャバクラで働く少女・那奈(小松菜奈)をむりやり後部座席に押し込み、松山市外へ向かうのであるが。。。(作品情報より)


1.柳楽優弥
最後の最後までケンカに次ぐケンカである。港町でもケンカに明け暮れていたが、ぷいっと姿を消して松山の町へ行き、ミュージシャンやチンピラにからんでいく。圧倒的な強さを示すわけではない。鼻を狙われたパンチで潰されたりもする。それでも、復讐は欠かさない。やっていくごとに強くなる。ずっと出ずっぱりであるが、セリフは少ない。それなので何で暴れるのかもわからない。不気味である。
これは凄い好演で、来年の賞を総取りするんじゃないかと思う。


2.菅田将暉
名作「そこのみにて光り輝く」のチンピラで一皮むけて、その後の出演作でも好演が目立つ。「そこのみにて」では綾野剛よりも強い印象を残した。最初は公園でごみ箱をあさっている主人公をからかう3人の高校生の1人で女みたいなへろへろした奴だ。


それが主人公がケンカに次ぐケンカに明け暮れている姿を見て接近する。そこからは「そこのみにて」のチンピラ役と同じように急激にテンションが高まる。
SNSを使って大暴れする姿を投稿したり、急激に暴力的になったり大きく変化する。ここから別人のような姿を見せる。こういう演技は抜群にうまい。

3.愛媛のロケ
最初映画が始まってしばらくは、どこの町を舞台にしているのかがわからない。松山に関するセリフは出ない。小さい船がたくさん停泊している港町が映し出され、主人公の精神の錯乱を示すような激しいロックがバックに流れる。やがて路面電車が出てきて、なんとなく松山を連想させ、南海放送の中継とあわせ松山の文字が出てくる。この映画はかなり地元の協力がなければできない映画だと思う。三津浜のお祭りシーンはスゲエ迫力だ。でもここまで暴力沙汰ばかりを映しだされたのを県の人が見るといい気はしないだろう。

4.印象に残るシーン
これでもかとケンカのシーンが続く。顔がむちゃくちゃになるくらい殴られ何度目をそむけたことか。しかし、ここまでやるとなるといわゆる通り魔と同じだ。でも、一番印象に残ったのが最後に向けての小松菜奈の逆襲パフォーマンスである。


キャバクラの「送り」の車に運転手と一緒に乗っていた小松菜奈が車ごとさらわれる。その間、テンションの上がった菅田将暉にいいようにやられるが、今までの映画で見たことのない激しさをここで見せる。これがいちばん目に焼きつく。

いくつか分散していた物語が主人公の弟や世話になったおじさんを含めて最後に向けて少しづつ接近していく。弟役の村上虹郎の存在感も良く好演だ。暴力シーンが多いけど、なかなか練られた脚本である。真利子哲也監督の今後の作品に注目したい。




(参考作品)
誰も知らない
柳楽優弥の出世作


そこのみにて光輝く
菅田の存在感が凄い



ディストラクション・ベイビーズ
あくまで暴力のテンションを下げない主人公
コメント
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