映画とライフデザイン

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映画「マザーレス・ブルックリン」 エドワード・ノートン

2020-01-17 18:53:19 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「マザーレス・ブルックリン」を映画館で観てきました。


エドワード・ノートン「ファイト・クラブ」以来相性がいい方だ。監督、脚本、主演というかけ持ちで撮った新作である。障害をもつが記憶力抜群の私立探偵という設定が妙に気になる。私立探偵というと1940年代から50年代にかけてのフィルム・ノワールが連想される。私立探偵の元に謎の美女ファムファタールが依頼しに来てその後事件に巻き込まれるという構図である。今回は私立探偵事務所のボスが殺されたことで動き出すということでは筋は若干違うが事件に絡む美女がいることだけは同じだ。


ジャズの要素が強い音楽のセンスは抜群である。しかも1957年という時代背景もニューヨークの街が古い街並みを残しているだけに的確に捉えている。しかし、原作となった小説の内容を織り込もうとするあまり、話が複雑になりすぎる。出てくる黒人の顔を見分けられないので、どっちがどっちと頭が混乱してしまう。自分の理解度が低いのかもしれないが、途中でどちらが味方がどうか訳がわからなくなる。映像というより言葉での説明口調になっている感じがする。それが難点で、傑作とまではいかないなあ。

ライオネル(エドワードノートン)は私立探偵、障害を持ち頭の中にいるもう1人の自分が突然奇声を発する症状をもつ。ライオネルは6才の時に母と別れ12才まで孤児院にいた。ライオネルを救って面倒をみたのが現在のボスであるフランク(ブルースウィルス)である。そのフランクが突然殺された。


ライオネルは事件の真相を追求するために、寸前までフランクが追っていた女性ローズの身辺を洗おうとする。ローズが住んでいた空き家には移転話が出ていた。ローズは弁護士の資格を持つ。都市計画に反対するグループを支持するようで市の公聴会に向かっていた。ローズを追って会場の中に入り記者を装い立ち聞きする。その会場で罵声をあげていた1人の男ポール(ウィレムデフォー)と知り合う。


男によると、住居移転による都市開発はモーゼス(アレック・ボールドウィン)という男が仕組んでいる。ある意味市長よりも力を持つという。ローズはジャズクラブの店主ビリーの娘であった。ライオネルは店へ行き事件のカギを探ろうとしているうちにクラブの裏に連行されて痛みつけられるのであるが。。。

⒈ジャズクラブ
ローズの父親が経営するジャズクラブの雰囲気がいい。トランペットのリーダーのもとでクインテットが演奏している場面がでる。マイルスデイビスを思わせる。時代設定の1957年はサックスのジョン・コルトレーンと組んでいる50年代の黄金時代だ。パリへ行って「死刑台のエレベーター」の音楽を担当したころでもある。今回はウィントン・マルサリスがトランペットを吹く。当代きってのミュージシャンの参加は強い援軍だ。ただ、いいのはそれだけではない。場面の情感を高める音楽のセンスが抜群で胸に響く。

⒉都市開発
モーゼスのおかげでマンハッタン島に橋が架けられたし、街が出来上がってきたというセリフがある。アレック・ボールドウィンはこういう役をやらせると実にうまい。1500万$の土地を50万$で仕入れて街をつくるというせりふもあるけど、地上げ屋ってそんなもんでしょう。その単体だけで価値がでない土地を商品にする訳ですから致し方ないことだと思う。別に悪いやつではない。


こういう公聴会というのは反対がつきもの。普通だともっと下っ端が出て俗に言う黒幕的な上の人間は出ないと思うけど、それでは映画のストーリーが成立しないからね。
結局直感で解決の糸口が見えてくる。フランクの遺品にもライオネルを意識して残しているものがあった。
奇声の面白さで思わず笑えるのも映画の見どころだけど、ピリッと推理をする探偵ではなかったなあ。

コメント
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