映画「マリッジ・ストーリー」は離婚調停に臨んでいる夫婦を描いたNetflix映画
主演のスカーレット・ヨハンソンもアダム・ドライバーいずれもこのブログで何度も取り上げた好きな俳優である。ある夫婦の離婚合意への道のりを描いた映画である。2人の言い合いが絶えない映画という記事を読んで後回し、ほんの一瞬映画館でもやっていたが、時間が合わずNetflixスルーとなる。でも観てみると想像よりもおもしろい。
どちらかというと、女の身勝手ばかりが目につく。気分がわるくなる部分もあるが、あえてこちらにそう思わせるくらいのレベルの話に持っていっているんだろう。しかも、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーともにむずかしい長回しセリフと演技をこなしている。これは実に見事である。
ニューヨークに住む女優のニコール(スカーレット・ヨハンソン)と舞台監督のチャーリー(アダム・ドライバー)には8歳になる男の子の子供がいる。お互いの生活の行き違いやチャーリーが劇団の若い女優に手を出してしまったことで、二人は離婚への道を選ぼうとしている。ニコールはTVシリーズのオファーが来てロサンゼルスにしばらく行くことになる。そして、そのままニューヨークを離れて実家のあるロサンゼルスで暮らしてみたいという希望があった。
もともと2人は話し合いで離婚後の条件を詰めようというつもりだった。ある人が自分の離婚調停でお世話になった弁護士ノラ(ローラ・ダーン)を紹介してくれた。チャーリーが2人で話そうとしても、すべて弁護士を通じてくれということでノラからの条件を聞くと考えられないような不利な条件だった。弁護士をつけていないチャーリーはあらためて弁護士探しをして、ドライなジェイ弁護士(レオ・リオッタ)を避け老練な弁護士を起用する。
改めて2人と双方の弁護士での話し合いをスタートしたが、まったくかみ合わない。チャーリーは相手側弁護士とニコールの強い要求に対応するため、最初に相談したジェイ弁護士(レオ・リオッタ)を起用し対抗する。さすがのノラ弁護士も相手の実力をしっているだけに身構えるのであるが。。。
1.別れなくてもいいくらいの夫婦
この2人は別れなくてもいいと思える夫婦である。ロサンゼルスに行ったあとにチャーリーに吉報が入り、舞台での功績が認められて助成金をもらうことになる。そのときは心が離れている妻もニコールの母である義母もここぞとばかりの大喜びで抱き合うのである。あれ?日本で同じようなことが起きたら嫉妬で少なくともハグをするなんてことってないよなと感じてしまう。
その一方でこの映画の見どころは2人の強い自己主張で相手へ容赦なく攻撃する夫婦げんか、2人と双方の弁護士が法廷に立ってコテンパンに相手のあら探しをする強い言い合いだろう。こういうのを見せられたら心が折れるかとみるのをためらっていたが、これが真に迫っている。脚本も担当しているノア・バームバック監督は両親の離婚だけでなく、自身も離婚の経験があるという。こういう修羅場もおそらくくぐっていたであろうと感じさせる経験が映画の脚本の中にあふれ出ている。
2.スカーレット・ヨハンソン
スカーレット・ヨハンソンはロバートレッドフォード監督主演の「モンタナの風に抱かれて」などで子役時代から活躍している。東京新宿を舞台にしたソフィア・コッポラ作品「ロストイントランスレーション」や「マッチポイント」をはじめとしたウディ・アレン作品で自分は注目してファンになった。20代前半の活躍からじわりじわり実力をつけてきた。作品が恵まれたらアカデミー賞主演女優賞を受賞するのもそんなに遠いことではないであろう。
別れなくてもいいくらいの夫婦ということを示すシーンがいくつかある。彼が助成金をもらった時元妻が喜ぶシーン。弁護士2人と一緒に2人が話し合いをしている合間に昼食で休憩となったときに、彼が緊張のあまり食事をオーダーできなかったらニコールがすらすら彼の代わりにオーダーするシーン。別居後息子を迎えに来たチャーリーの靴のひもがほどけているのを直してあげるシーンなど。こんなシーンを観ていると別の意味で何で?と思ってしまう。本当は別れなくてもいいのにという監督の思いもあるのか?
3.アダム・ドライバー
もともと風貌からしてインテリな役が似合う。今回は適役なんであろう。一方でパターソンで演じたナイーブなバスの運転手やブラック・クランズマンでの黒人迫害団体に潜入した刑事役などなんでもできる。ただ、この映画ほどシャウトしているアダム・ドライバーは観ていない。最初に離婚に向かう2人のプロフィルを紹介するシーンで、几帳面で家事が得意で妻の愚痴をきいても受け流すけど負けず嫌いなんて紹介があった。今回は観れば観るほど気の毒でしょうがない気持ちを自分は持った。
4.脇役の活躍
デイヴィッド・リンチ監督が好きな自分としては、まさに一連の作品の常連といえるローラ・ダーンがアカデミー賞助演女優賞を受賞したのはうれしい知らせである。ソフトな感じで相手の懐に入り込みながら、巧みに自分のペースに持ち込むノラ弁護士を演じた。ただ、同じ助演賞を受賞した「ワンスアポンアインハリウッド」のブラッド・ピットの強い存在感と比較するとちょっと弱いかなという印象を持つ。
チャーリーとニコールの劇団にいるハゲの老優でウォレス・ショーンが出てきたのをみて、思わずうなった。彼が出てくるたびにこのブログで取りあげる名優である。古くは「死刑台のエレベーター」「地下鉄のサジ」のルイ・マル監督がニューヨークでの舞台演出者と売れない俳優の対話を映した「my dinner with andre」に出演している。
これは日本で公開されたことがない。高校の恩師からこの映画を紹介された。哲学的な言葉を語る舞台演出者のアンドレとそれを聞く売れない俳優ウォレスとの対話である。先生が苦労して字幕翻訳されたヴィデオクリップは著作権の関係もあり誰にも見せられないが見応えがある。
音楽はランディニューマン、気の利いたバックミュージックだと思ったが、そうなんだ。たまに映画音楽手がけるけど、スリードックナイト「ママ・トールド・ミー」がヒットした1970年前後から50年あまり現役で活躍している。久々に名前をみるとうれしくなる。
そんなベテランの活躍も見逃せない。
この映画をみて思ったのは、これでもかというくらいみんなハグしているということ。ライバル弁護士とハグするのもそうだが、離婚調停で仲わるい人間同士がハグするなんてことは日本だったらありえない。密着度がすごい。欧米でコロナ感染がすごいというのは結局こういうことなのかと妙に納得
主演のスカーレット・ヨハンソンもアダム・ドライバーいずれもこのブログで何度も取り上げた好きな俳優である。ある夫婦の離婚合意への道のりを描いた映画である。2人の言い合いが絶えない映画という記事を読んで後回し、ほんの一瞬映画館でもやっていたが、時間が合わずNetflixスルーとなる。でも観てみると想像よりもおもしろい。
どちらかというと、女の身勝手ばかりが目につく。気分がわるくなる部分もあるが、あえてこちらにそう思わせるくらいのレベルの話に持っていっているんだろう。しかも、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーともにむずかしい長回しセリフと演技をこなしている。これは実に見事である。
ニューヨークに住む女優のニコール(スカーレット・ヨハンソン)と舞台監督のチャーリー(アダム・ドライバー)には8歳になる男の子の子供がいる。お互いの生活の行き違いやチャーリーが劇団の若い女優に手を出してしまったことで、二人は離婚への道を選ぼうとしている。ニコールはTVシリーズのオファーが来てロサンゼルスにしばらく行くことになる。そして、そのままニューヨークを離れて実家のあるロサンゼルスで暮らしてみたいという希望があった。
もともと2人は話し合いで離婚後の条件を詰めようというつもりだった。ある人が自分の離婚調停でお世話になった弁護士ノラ(ローラ・ダーン)を紹介してくれた。チャーリーが2人で話そうとしても、すべて弁護士を通じてくれということでノラからの条件を聞くと考えられないような不利な条件だった。弁護士をつけていないチャーリーはあらためて弁護士探しをして、ドライなジェイ弁護士(レオ・リオッタ)を避け老練な弁護士を起用する。
改めて2人と双方の弁護士での話し合いをスタートしたが、まったくかみ合わない。チャーリーは相手側弁護士とニコールの強い要求に対応するため、最初に相談したジェイ弁護士(レオ・リオッタ)を起用し対抗する。さすがのノラ弁護士も相手の実力をしっているだけに身構えるのであるが。。。
1.別れなくてもいいくらいの夫婦
この2人は別れなくてもいいと思える夫婦である。ロサンゼルスに行ったあとにチャーリーに吉報が入り、舞台での功績が認められて助成金をもらうことになる。そのときは心が離れている妻もニコールの母である義母もここぞとばかりの大喜びで抱き合うのである。あれ?日本で同じようなことが起きたら嫉妬で少なくともハグをするなんてことってないよなと感じてしまう。
その一方でこの映画の見どころは2人の強い自己主張で相手へ容赦なく攻撃する夫婦げんか、2人と双方の弁護士が法廷に立ってコテンパンに相手のあら探しをする強い言い合いだろう。こういうのを見せられたら心が折れるかとみるのをためらっていたが、これが真に迫っている。脚本も担当しているノア・バームバック監督は両親の離婚だけでなく、自身も離婚の経験があるという。こういう修羅場もおそらくくぐっていたであろうと感じさせる経験が映画の脚本の中にあふれ出ている。
2.スカーレット・ヨハンソン
スカーレット・ヨハンソンはロバートレッドフォード監督主演の「モンタナの風に抱かれて」などで子役時代から活躍している。東京新宿を舞台にしたソフィア・コッポラ作品「ロストイントランスレーション」や「マッチポイント」をはじめとしたウディ・アレン作品で自分は注目してファンになった。20代前半の活躍からじわりじわり実力をつけてきた。作品が恵まれたらアカデミー賞主演女優賞を受賞するのもそんなに遠いことではないであろう。
別れなくてもいいくらいの夫婦ということを示すシーンがいくつかある。彼が助成金をもらった時元妻が喜ぶシーン。弁護士2人と一緒に2人が話し合いをしている合間に昼食で休憩となったときに、彼が緊張のあまり食事をオーダーできなかったらニコールがすらすら彼の代わりにオーダーするシーン。別居後息子を迎えに来たチャーリーの靴のひもがほどけているのを直してあげるシーンなど。こんなシーンを観ていると別の意味で何で?と思ってしまう。本当は別れなくてもいいのにという監督の思いもあるのか?
3.アダム・ドライバー
もともと風貌からしてインテリな役が似合う。今回は適役なんであろう。一方でパターソンで演じたナイーブなバスの運転手やブラック・クランズマンでの黒人迫害団体に潜入した刑事役などなんでもできる。ただ、この映画ほどシャウトしているアダム・ドライバーは観ていない。最初に離婚に向かう2人のプロフィルを紹介するシーンで、几帳面で家事が得意で妻の愚痴をきいても受け流すけど負けず嫌いなんて紹介があった。今回は観れば観るほど気の毒でしょうがない気持ちを自分は持った。
4.脇役の活躍
デイヴィッド・リンチ監督が好きな自分としては、まさに一連の作品の常連といえるローラ・ダーンがアカデミー賞助演女優賞を受賞したのはうれしい知らせである。ソフトな感じで相手の懐に入り込みながら、巧みに自分のペースに持ち込むノラ弁護士を演じた。ただ、同じ助演賞を受賞した「ワンスアポンアインハリウッド」のブラッド・ピットの強い存在感と比較するとちょっと弱いかなという印象を持つ。
チャーリーとニコールの劇団にいるハゲの老優でウォレス・ショーンが出てきたのをみて、思わずうなった。彼が出てくるたびにこのブログで取りあげる名優である。古くは「死刑台のエレベーター」「地下鉄のサジ」のルイ・マル監督がニューヨークでの舞台演出者と売れない俳優の対話を映した「my dinner with andre」に出演している。
これは日本で公開されたことがない。高校の恩師からこの映画を紹介された。哲学的な言葉を語る舞台演出者のアンドレとそれを聞く売れない俳優ウォレスとの対話である。先生が苦労して字幕翻訳されたヴィデオクリップは著作権の関係もあり誰にも見せられないが見応えがある。
音楽はランディニューマン、気の利いたバックミュージックだと思ったが、そうなんだ。たまに映画音楽手がけるけど、スリードックナイト「ママ・トールド・ミー」がヒットした1970年前後から50年あまり現役で活躍している。久々に名前をみるとうれしくなる。
そんなベテランの活躍も見逃せない。
この映画をみて思ったのは、これでもかというくらいみんなハグしているということ。ライバル弁護士とハグするのもそうだが、離婚調停で仲わるい人間同士がハグするなんてことは日本だったらありえない。密着度がすごい。欧米でコロナ感染がすごいというのは結局こういうことなのかと妙に納得