映画とライフデザイン

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映画「アイリッシュマン」 ロバート・デ・ニーロ&アル・パチーノ

2020-04-28 19:50:28 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「アイリッシュマン」は2019年公開のNetflix映画


「アイリッシュマン」は今年のアカデミー賞レースでも最有力と言われたマーチン・スコセッシ監督の作品である。ネット配信映画が受賞するのもどうかという話もあった。ともかく、上演時間が3時間半と長い。映画館でも上映したが、これだけ長いと時間調整が難しい。途中にインターミッションがあるアラビアのロレンス並みの長さである。ともかくNetflixで見ることにした。

デニーロ、パチーノと大スターの共演だが、実質的な主演はロバート・デ・ニーロである。役柄は面倒な奴を始末する殺し屋である。アイルランド出身で第二次大戦中イタリア戦線に進駐したことがあり、片言のイタリア語が話せる。それもあってかイタリア系マフィアに可愛がられる。アル・パチーノ は全米トラック運転手組合委員長であるにもかかわらずマフィアにも近い。組合で預かっている年金の資金を思うがままに動かしている。そして、デニーロを引き立てたマフィアの親分ジョー・ペシは裏社会の大物とこの三人を中心にストーリーは流れる。

トラック運転手のフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)は牛肉の塊肉を運ぶ仕事をしている。フランクは肉を横流しして、他の店に格安で売りつけていた。盗んでいたことがバレて裁判にかけられる。裁判では運よく弁護士のビルに助けられ無罪となる。弁護士の紹介でマフィアのボスであるラッセル・ファブリーア(ジョー・ペシ)に会う。フランクはたまたまトラックの応急処置をしてもらったことで面識があった。フランクは度胸の良さを買われ、ラッセルのマフィアの仕事を手伝うことになる。


フランクは、ウィスパーズという男から商売敵のユダヤ系クリーニング店を放火するという仕事を引き受ける。ところが、放火する直前でラッセルに止められる。フランクはラッセルに引き連れられフィラデルフィアのマフィアのボスであるアンジェロ・ブルーノ(ハーヴェイ・カイテル)に会う。フランクが放火しようとしたのはブルーノも投資していたクリーニング店であることを知る。危うくクリーニング店を焼くところだった。ブルーノはフランクに、仕事を依頼したウィスパーズを殺させる。フランクはこれを機にマフィアの殺し屋として次々と暗殺を繰り返していく。使用した銃は橋の上から投げ捨てていた。

フランクは、ラッセルから全米トラック運転手組合「チームスターズ」委員長ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)を紹介されます。ホッファのボディーガードを務めながら、家族ぐるみの付き合いを築いていたフランクでしたが、ホッファは組合の年金積立金を不正使用した罪で逮捕されるのであるが。。。。


1.ジョーペシ
グッドフェローズカジノでの背が小さいのにキンキンうるさいマフィア役が印象深かった。こういう背が小さくてうるさい奴って我々の周りにも割といるよね。若き日のロバートデニーロがアカデミー賞主演男優賞を受賞したボクシング映画「レイジングブル」でのコーチ役が一番適役って感じがする。ここでのジョーペシも激しかった。主演を引き立てる意味でも好演だった。


今回は若干違う。背が低いのは画面で見るとよくわからない。しかも、うるさくない。言葉を選んで話す役だ。貫禄がある。マフィアの黒幕という雰囲気を醸し出している。誰かに似ているなと思ったら、そう麻生太郎だ。彼もそれくらい人相が悪いということだ。今回久々の映画出演で、マーチンスコセッシ監督が直々に何度も説得してようやく出たそうだ。彼でよかったと思う。

人相が悪いといえば、この映画に出てくるマフィアの男たちはともかく悪玉の顔だ。昨年「ケーキの切れない非行少年たち」という本を読んだ。衝撃を受けた。非行少年はもう直しようがないほどすべてがゆがんで見えて、ケーキもまともに切れないということが書いてあった。この映画に出てくる悪いやつらに一度同じことをさせてみたい。

2. ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノ
ロバート・デ・ニーロ演じるフランクは次から次へと請け負った殺人をこなしていく。必殺仕事人というべきだろう。これが意外とあっさりだ。じれったく時間をとることはない。イタリアンレストランでマフィアの生意気な親分を殺す場面がある。「ゴッドファーザー」アルパチーノがマフィアの親分を同じイタリアンレストランでじれったく殺す場面を連想する。個人的には映画史上でも好きな場面だ。そのときと同じような雰囲気かと思ったら割とあっさりだ。外に車が待機しているのは同じだけど。

それでも殺しでは捕まらない。今だったら町中に監視カメラがあるわけだから、当然犯人だとわかってしまうだろう。そこが20世紀半ばを描いた映画だとできてしまう。でも、娘のペギーの目だけはごまかせない。殺しのあと、家に帰って殺人事件の報道をTVでみているフランクを鋭いまなざしで見る。これもこの映画の見どころだ。


アルパチーノ演じるジミー・ホッファはトラック組合の委員長でこの当時はケネディ大統領と同じくらいの影響力があった有名人だったそうな。日本でも労働貴族という言葉があった。労働組合の下っ端はみんな貧乏だけど、上はいろいろと裏金も動いたんじゃないかな?クルーザーにのって豪華な生活という記事を昔みたことがある。ジミー・ホッファは運転手たちの年金資金を組合で運用する名目で預かる。ところが、その資金で銀行からまともに融資されないカジノに提供していたという今だったらたいへんなことになる話だ。それが通るだよね。60年代は。

ロバートデニーロとアルパチーノとの共演はありそうで少ない。ともに主演級だからであろう。「ゴッドファーザーⅡ」では全く違う時代の二人なので、共演とは言えない。銃撃戦が激しい「ヒート」で共演しているが、かたやはぐれ刑事のアルパチーノに対して、マフィア親玉のロバートデニーロの2人が同じ画面に出るのはワンシーンだけである。 「ボーダー」は同じ刑事で相棒同士という設定なので、実質的な最初の競演かもしれんない。


この二人年を取ってしまったものだ。超一流としての存在感はあるのであるが、格闘シーンに動きの鈍さは感じる。2人とも70代後半、しかもアルパチーノは80歳に到達する。これが10年前に撮られていたのであればまだ違うのであろう。
コメント
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