映画とライフデザイン

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映画「セフレの品格 初恋」 行平あい佳&城定秀夫

2023-07-26 20:20:47 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「セフレの品格 初恋」を映画館で観てきました。


映画「セフレの品格 初恋」は次々と作品を発表する城定秀夫監督の新作である。湊よりこ原作の人気レディースコミック「セフレの品格」の実写版らしい。そもそもレディースコミックなんて読んだこともないし、湊よりこも知らない。ただ、宣伝文句では430万部も売れたようだ。これはすごい。

城定秀夫ピンク映画出身で自分が追いかけている監督の1人だ。公開館が少ないので低予算は仕方ないかもしれないけど、作品の出来には当たりはずれがあって物足りない気分で帰ることもある。でも、城定秀夫はピンク映画出身だけにお客様を満足させようとするサービス精神旺盛なところがある。そこが好きだ。今回の製作は日活だ。ニューロマンポルノで「手」を観たが、その流れであろうか?早速映画館に向かう。映画好きの男性観客の中に女性がいるのが昭和の日活ポルノ映画館とは違う。作品情報で振り返る。

森村抄子(行平あい佳)は36歳のバツ2で、派遣社員として働きながら娘を育てているシングルマザー。高校の同窓会で初恋の相手で産婦人科医の北田一樹(青柳翔)と再会し、ホテルに誘われる。

数年ぶりのSEXの快感に、二人の関係を深めていきたくなる抄子だったが、一樹にその気はなく、セフレになることを提案される。唐突な提案に驚く抄子は、セフレという関係を受け入れられずにいた。そんな折、抄子は同級生の新堂華江(片山萌美)が一樹とセフレであることを知り、さらに会社の上司である栗山(新納信也)にも言い寄られ る。(作品情報 引用)


サービス精神旺盛の城定秀夫監督作品らしく十分堪能できる仕上げだ。
同窓会で再会した男女が間違いを犯して不倫に陥るのはよくあるパターンだ。でも、少し路線をはずす。ここではお互い本気にならない、食事とかのデートはしない。恋心も追わない。ひたすらsexだけの関係を継続するというのがミソだ。

それでも、お互いに亭主や妻がいれば、バレてぐちゃぐちゃになる。それが不倫物語のパターンだけど、この2人は男にも女性にも離婚歴があって現状相手がいない。ならば恋へと進むと思うけど、付き合うという方向性がない。それがポイントだ。

単純に2人の交わりを追う展開だけにはしない。変化を持たせるために2人の間に媒介する美女を含めたり、それぞれのバックストーリーを追い、話に膨らみをもたせる。城定秀夫の脚本も冴える。

⒈行平あい佳
初めて見る女性だ。出演作「ダイナマイトスキャンダル」や「タイトル拒絶」での記憶がない。実年齢は31歳と設定年齢の36歳よりも若い。美人ではないけど、周囲にいそうな女性である。当然のごとく脱ぐけど、AV女優的なナイスバディではない。行平と同じ早稲田出身の往年の女優高瀬春奈の爆乳に比較すると、小粒な乳首で乳輪も小さいし、肉感的ではない。それなのに魅力的だ。親近感もある。


自分には浴衣姿の行平あい佳がよく見えたし、メイクラブシーンもいいけど不倫ムード満載の貸切風呂でイチャイチャするシーンに惹かれた。これこそ城定秀夫の真骨頂だ。事前情報で往年の日活ポルノで聖子ちゃんカットで人気だった寺島まゆみの実娘だとわかる。懐かしいと思って、映画を観ているとなんと母親と思しき中年女性が出てきてハッとする。おでん屋の屋台で久々に見る伊藤克信と飲んでいる女性だ。こういう屋台って最近東京近郊で見なくなったなあ。

⒉城定秀夫監督
驚異的な量産体制である。「愛なのに」を観て、自分に波長があっているので城定秀夫作品を観るようになった。「アルプススタンドのはしの方」という高校野球の応援席のはしの方で野球オンチの女の子のチグハグな会話を楽しむような青春映画を作る人かと思っていたら違う。ピンク映画を山ほどつくっていた人だった。


佐藤泰志原作の「夜鳥たちが啼く」の巧みな展開や「恋のいばら」のコミカルタッチに比べると、直近の「放課後アングラーライフ」は青春モノで、その前の「銀平町シネマブルース」のような映画好きの人間模様のような普通の作品を続けてつくったので路線が変わったのかと心配していた。ある意味、「愛なのに」の路線に回帰してくれて安心した。

きっと原作のおもしろさもあると思うけど、「セフレの品格」の展開には練ったバックストーリーもあるので意外に単純ではない。例えば、からみの多い「火口のふたり」に比べると、話の道筋に変化がある。そのために主演も張る川瀬陽太や田中美奈子まで引っ張ってきて、いかにも日活ポルノ系のヤバい話まで用意して楽しませてくれた。主人公に言いよる上司役の新納慎也が往年のピンク男優久保新二に妙にダブって笑えた。
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