映画「サタデーフィクション」を映画館で観てきました。
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映画「サタデーフィクション」は中国映画, ロウ・イエ監督が1941年太平洋戦争開戦前の各国のスパイが入り乱れる国際都市上海を描いた映画である。中国の大女優コン・リーと日本のオダギリジョーが共演している。1941年の日本軍上海英仏租界侵攻を描いた映画は多い。クリスチャンベールがまだ子役だったスピルバーグの「太陽の帝国」も開戦時のドタバタとその後を描いていた。西洋文化が交わり魅力的な国際都市だった戦前の上海を描いた映画が好きだ。。
ロウイエ監督の作品には、現代中国の暗部に注目した題材が多い。2017年の「シャドウプレイ」は広州の開発エリアでのトラブルを描いていて中国では上映まで2年かかったらしい。日本公開は2023年だ。でも、強烈に電圧の高い激しい作品だった。実は「サタデーフィクション」はコロナ禍前の2019年につくられている。今回は戦前までタイムスリップするが、おもしろそうだ。
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1941年、人気女優ユージン(コンリー)が「蘭心大劇場」で舞台「サタデーフィクション」を演じるために上海を訪れる。国際都市上海には日本海軍の古谷少佐(オダギリジョー)や特務機関の梶原(中島歩)だけでなく、フランスの諜報部員ヒューバート(パスカル・グレゴリー)をはじめとした各国の諜報部員が集まっていて、各国の動きを探りあっていた。
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映像のセンスは認めるが、訳がわからない展開だ。
この映画のストーリーを書くのはむずかしい。解説はほぼない。この当時、中華民国自体も日本の傀儡政権的な汪兆銘(精衛)の南京政府が分裂して蒋介石の重慶政府と分かれている。それぞれの諜報部員が登場する。ユージンが以前労働組合に関わっていたなんてセリフがあると、共産党側の人物だと連想してしまう。それに加えてフランス人スパイや日本の特務機関が加わり何がなんだかよくわからないままストーリーが進む。途中から急展開して、誰もがスパイになっている。現代中国史がわかっていても混乱する。
どっちが味方か敵だかわからなくなるのは、東映の実録物ヤクザ映画を観ている時の感覚だ。深作欣二監督が手持ちカメラを多用するのと似たように、ブレまくりのカメラで登場人物を背後から追う。ロウイエ監督の前作「シャドウプレイ」はカット割りも多く、すごいスピード感だったけど、この作品では後半戦になって展開が早くなる。最後に向けて入り乱れている中で、ようやくスパイの目的が日本が開戦する場所を掴むことだとわかる。ただ、オダギリジョークラスの将校へ開戦に関する極秘内容が伝わるのはあり得ないのではと思う。
日本映画で、1940年代を撮るとなるとほとんどセットになる。どこか不自然で稚拙にみえることが多い。ところが、上海は黄浦江に面した外灘エリアに今もレトロな建物が並んで建っている。ここを舞台にすることでリアル感が増長する。モノクロの手持ちカメラで撮ったレトロな建物で繰り広げられる映像に魅せられる。ただ、自分が知っている上海のフランス租界ってもう少し住宅街ぽいエリアだったけど違うかな。あと、パリ陥落以降なのでフランス人スパイという存在自体が微妙。ドゴール将軍側ということだと解するけど。
国際派女優コン・リーは健在だった。いかにも中国人女性らしいキツさを備えた表情は変わらない。50代後半になってもアクション場面に通用するのはさすがだ。モノクロ映像ではそんなに老けて見えない。雨の中の対決がスタイリッシュに見える。
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オダギリジョーも怪しい雰囲気を持った日本人将校役が上手い。中島歩は日本ではもう少しヘラヘラした役も演じるけど、特務機関の男という雰囲気を残す。加えて日本語を話す日本軍の下っ端が酔っ払いなども含めてずいぶんと登場する。
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ロウイエ監督のこれまでの作品と比較すると、この映画は中国当局に承認された映画を撮っている雰囲気が強い。最終に向けての展開はそうなるだろうなあと予測した通りだった。
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映画「サタデーフィクション」は中国映画, ロウ・イエ監督が1941年太平洋戦争開戦前の各国のスパイが入り乱れる国際都市上海を描いた映画である。中国の大女優コン・リーと日本のオダギリジョーが共演している。1941年の日本軍上海英仏租界侵攻を描いた映画は多い。クリスチャンベールがまだ子役だったスピルバーグの「太陽の帝国」も開戦時のドタバタとその後を描いていた。西洋文化が交わり魅力的な国際都市だった戦前の上海を描いた映画が好きだ。。
ロウイエ監督の作品には、現代中国の暗部に注目した題材が多い。2017年の「シャドウプレイ」は広州の開発エリアでのトラブルを描いていて中国では上映まで2年かかったらしい。日本公開は2023年だ。でも、強烈に電圧の高い激しい作品だった。実は「サタデーフィクション」はコロナ禍前の2019年につくられている。今回は戦前までタイムスリップするが、おもしろそうだ。
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1941年、人気女優ユージン(コンリー)が「蘭心大劇場」で舞台「サタデーフィクション」を演じるために上海を訪れる。国際都市上海には日本海軍の古谷少佐(オダギリジョー)や特務機関の梶原(中島歩)だけでなく、フランスの諜報部員ヒューバート(パスカル・グレゴリー)をはじめとした各国の諜報部員が集まっていて、各国の動きを探りあっていた。
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映像のセンスは認めるが、訳がわからない展開だ。
この映画のストーリーを書くのはむずかしい。解説はほぼない。この当時、中華民国自体も日本の傀儡政権的な汪兆銘(精衛)の南京政府が分裂して蒋介石の重慶政府と分かれている。それぞれの諜報部員が登場する。ユージンが以前労働組合に関わっていたなんてセリフがあると、共産党側の人物だと連想してしまう。それに加えてフランス人スパイや日本の特務機関が加わり何がなんだかよくわからないままストーリーが進む。途中から急展開して、誰もがスパイになっている。現代中国史がわかっていても混乱する。
どっちが味方か敵だかわからなくなるのは、東映の実録物ヤクザ映画を観ている時の感覚だ。深作欣二監督が手持ちカメラを多用するのと似たように、ブレまくりのカメラで登場人物を背後から追う。ロウイエ監督の前作「シャドウプレイ」はカット割りも多く、すごいスピード感だったけど、この作品では後半戦になって展開が早くなる。最後に向けて入り乱れている中で、ようやくスパイの目的が日本が開戦する場所を掴むことだとわかる。ただ、オダギリジョークラスの将校へ開戦に関する極秘内容が伝わるのはあり得ないのではと思う。
日本映画で、1940年代を撮るとなるとほとんどセットになる。どこか不自然で稚拙にみえることが多い。ところが、上海は黄浦江に面した外灘エリアに今もレトロな建物が並んで建っている。ここを舞台にすることでリアル感が増長する。モノクロの手持ちカメラで撮ったレトロな建物で繰り広げられる映像に魅せられる。ただ、自分が知っている上海のフランス租界ってもう少し住宅街ぽいエリアだったけど違うかな。あと、パリ陥落以降なのでフランス人スパイという存在自体が微妙。ドゴール将軍側ということだと解するけど。
国際派女優コン・リーは健在だった。いかにも中国人女性らしいキツさを備えた表情は変わらない。50代後半になってもアクション場面に通用するのはさすがだ。モノクロ映像ではそんなに老けて見えない。雨の中の対決がスタイリッシュに見える。
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オダギリジョーも怪しい雰囲気を持った日本人将校役が上手い。中島歩は日本ではもう少しヘラヘラした役も演じるけど、特務機関の男という雰囲気を残す。加えて日本語を話す日本軍の下っ端が酔っ払いなども含めてずいぶんと登場する。
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ロウイエ監督のこれまでの作品と比較すると、この映画は中国当局に承認された映画を撮っている雰囲気が強い。最終に向けての展開はそうなるだろうなあと予測した通りだった。