映画とライフデザイン

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映画「リアルペイン」 ジェシーアイゼンバーグ&キーランカルキン

2025-02-04 21:22:52 | 映画(自分好みベスト100)
映画「リアルペイン」を映画館で観てきました。


映画「リアルペイン」ジェシーアイゼンバーグ自ら主演監督脚本を務める新作だ。ポーランドでナチス迫害の痕跡を辿るツアーに従兄弟と参加する数日間の体験を追っていく。ジェシーアイゼンバーグと言えば「ソーシャルネットワーク」でFacebookのマークザッカーバーグを演じた時の早口言葉が頭に刻み込まれている。正統派俳優とは違うキャリアを歩んでいる。ポーランドが舞台となると、第二次世界大戦中あるいは戦後を扱う作品が多い。なので現代ポーランドのことはよくわかっていない。多分一生行くことのないこの地をよく見てみたい気になる。

ニューヨークに妻子と暮らすデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)といとこのベンジー(キーラン・カルキン)は、亡くなった祖母の祖国ポーランド第2次世界大戦の史跡ツアーに参加する。ツアーには英国人のガイド。定年間もないアメリカ人夫婦に、離婚したばかりの女性。ルワンダで虐殺を経験してユダヤ教徒に改宗した男性が参加している。


変わり者のベンジーは自由奔放な発言と自分勝手な行動で周囲を惑わす。ワルシャワからナチスドイツに迫害された人々の旅路を体験するというツアーを巡りユダヤ人の収容所で絶句して祖母の住んでいた家まで訪れる。

短編小説のような味わいの映画で飛び抜けて何かあるわけではない。
欧州らしい街並みを観ているのは気分がいい。名所を闊歩する俳優たちも楽しそうだ。移動する列車から見た車窓の景色もよく日本では無くなった食堂車もある。バックで流れるのはショパンのピアノ曲だ。おなじみのピアノソナタが流れ続ける。ワルシャワの空港はショパン空港というらしい。初めて知る。


ただ、映画を見ているうちに、いとこのベンジーが勝手な発言をしたり、団体行動なのに突飛な行動でムカついてくる。なんだコイツと思うと、映画を観ていて腹立たしくなる。ベンジーは一等車の移動なのに、辛い思いをした先人の気持ちを味わえないと座席の移動をしたり、到着駅に着いたのにわざと寝ているいとこを起こさない。ツアーガイドにも、観光名所を回るのはいいが、現地のポーランド人との触れ合いがないとやたらクレームをつける。

なんだ空気の読めないやつだと思った。でも、なんといとこのベンジーを演じたキーラン・カルキンが今年のゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞した。アカデミー賞でも候補だ。映画見終わって知り驚く。観客の自分をむかつかせるほどのパフォーマンスが受けたのではなかろうか?直近に睡眠薬事件も起こして心に痛みのある現代人の憂うつも表現したとも感じる。最後の空港でいとこと別れた後の場面に哀愁を感じた。


このベンジーの発言は脚本のジェシーアイゼンバーグが感じたことを代弁している気もした。ポーランドにルーツを持つジェシーはたびたびポーランドに行っているようで、同じような体験をして感じたことを映像にしているんだろう。ポーランドのユダヤ人収容所の場面は観ていて心が痛む。ポーランドはソ連とドイツの挟み撃ちで両国にいいようにされた。ジェシーアイゼンバーグ「ソーシャルネットワーク」で初めて彼を知った時と同様の早口言葉が健在だった。
コメント
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