映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「逃げ切れた夢」 光石研

2023-06-10 18:15:42 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「逃げ切れた夢」を映画館で観てきました。


映画「逃げ切れた夢」は名バイプレイヤー光石研主演で少しボケが入った定時制高校の教員を演じる新作である。光石研の地元北九州市が舞台だ。つい先日も「波紋」失踪した後ガンになって戻ってきた男を演じたばかりである。彼の履歴を見ると、半分以上の作品は観に行っている。見た目まじめそうだけど、どこか抜けていてとんでもない間違いを起こす役が目立つ。「由宇子の天秤」教え子をハラませた塾講師を演じた時もそんな役柄だ。

予告編で定年前なのに認知症の気が出てきた教員を演じていることがわかる。今までの光石研との長い縁?と「孤独のグルメ」松重豊の登場で早々に映画館に向かう。

定時制高校で教頭をしている末永(光石研)はお人好しで面倒見がいい先生だ。ある日、教え子の南(吉本実憂)が勤める定食屋で勘定し忘れて、店を出てから南に呼び止められ最近物忘れが激しいとカミングアウトする。家では妻(坂井真紀)との関係は最悪で、一人娘からも相手にされない。旧友のバイク店店主(松重豊)と杯を交わすと自分勝手と言われる始末で、教員生活を終えようと思っている。


光石研のワンマンショーだ。
本当は校長になりたかったが、教頭であと一年で教員生活は終了だ。年齢は58くらいだろう。学校でも常に周囲に声かけして、校舎の周りの掃除もする。一見気のいい男だ。そんな真面目な男も家でも嫌われている。妻は浮気もしているかもしれない。しかも、物忘れが激しくなって、アルツハイマーの疑いで医師の治療も受ける。でも、年老いた父親には時々面会に行っている。似たような人って世の中にいるかもしれない。

そんなキャラを光石研は巧みに演じる。11年ぶりの主役だという。前の主演作「あぜ道のダンディ」も観ている。怒りっぽい不器用な妻を亡くしたがんこ親父を演じた。いずれも名作である「ヒミズ」「共喰い」のように暴力を振るう親父役なんて作品もあった。その後、光石研は官僚的な県警本部長の役もやったし、元ヤクザの親分の死刑囚も演じられる器用な役者である。どちらかというと、近年の「由宇子の天秤」「波紋」のようにどこか抜けている男の方がうまい。


この作品は俳優としても数々の作品にでている二ノ宮隆太郎監督作品で、カンヌ映画祭ACID部門にも出品している。光石研の故郷北九州での全面ロケで、何と光石研の実父まで出演している。座敷のある居酒屋や古い商店街や喫茶店など地方都市を感じさせるバックに映る北九州の光景の肌合いは良い。ロケハンには成功している。そんな場所で、地元の言葉で光石研も松重豊も言葉を交わす。それ自体は好感がもてる。


直近でブログアップした「新夫婦善哉」の記事で、同じ長回しでも森繁久彌と淡島千景の笑いを呼ぶ掛け合いに圧倒されるとする一方で、最近の日本映画は不必要に長い沈黙が多いという苦言を述べた。そんな話をした後で、この映画を観てまさにそのパターンだと思った。

定食屋で勘定の支払いを忘れて食い逃げまがいに店を出た時の店員である教え子の女の子との会話をクライマックスに持っていく。定食屋の店員を辞めて中洲で働くと彼女がいうのに付き合うのであるが、さすがにこれだけではストーリーの中身が薄い。それまでの家庭での会話などあっても明らかに物語としてネタ不足だと思う。まあ、色んな作品で楽しませて頂いている光石研の主演なので全て許せるけどね。


それにしても、最後の場面で主人公が2人で会う女の子が娘なのか定食屋の女の子かしばらくわからなかった。作品情報のプロフィール写真で違うのはわかるけど、小さな真四角の画面ではわからない。最近の女の子はみんなキレイだけど同じように見える子が多い。中洲で50万円の収入保証って彼女言っていたけど、何かな?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「新夫婦善哉」 森繁久彌... | トップ | 映画「アシスタント」 ジュ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(洋画:2022年以降主演男性)」カテゴリの最新記事