映画「窓辺にて」を映画館で観てきました。
映画「窓辺にて」は稲垣吾郎主演で今泉力哉監督のオリジナル脚本による新作である。元SMAPのメンバーが次々と映画出演しているのと同様に稲垣吾郎も役者らしくなってきた。「半世界」で好演したあと、長回しが多い今泉力哉作品で役者限界能力への挑戦といったところか。妻の不倫に揺れる夫という設定をどう演じるかが見ものだ。健闘していると思う。
フリーライター市川茂巳(稲垣吾郎)は編集者の妻紗衣(中村ゆり)と2人暮らし。17歳の高校生作家久保留亜(玉城ティナ)がある文学賞を受賞する。マスコミ向け受賞発表会で、市川が対象作を深読みしたと思しき質問をすると、留亜から好感をもたれる。そして、請われて直接面談するようになる。小説のモデルになっている人に会わせると言われて、留亜の若い恋人や叔父に会う。市川は留亜の叔父と会話している際に、ふと妻が浮気をしていて、自分も気がついていること。その浮気に関して腹もたたないでいることを独白する。
この間、上映時間は約1時間。その途中には、市川の若き友人有坂(若葉達也)が妻(志田未来)と子がいるのにタレントのなつ(穂坂もえか)と不倫しているシーンや市川の妻紗衣が小説家の荒川と浮気している場面を織り交ぜる。
観ていてしばらく、人間関係がつかめない。市川が独白するまでは、いつもの今泉力哉監督作品のような長回しで、不倫から離れられない2組のカップルとわがまま娘の留亜に翻弄される市川をじっくりとセリフ多めに映す。ダラけてはいないが、完全にはのれない。
それでも、市川が告白してから妙に重いモノがとれた感覚をもつ。「誰にも話せないというのは、周囲を見下しているのではないか」と留亜の叔父に言われるのだ。そこから市川が動く。将棋の戦いで睨み合いから互いにぶつかり合うが如く、人間関係が少しづつ交わっていくと、徐々に頭脳が反応する。
⒈今泉力哉と重層構造の脚本
今回の今泉力哉の脚本はなかなかの重層構造だ。こうやって映画を見終わると、今泉力哉が計算づくでつくっているのがわかる。出版マスコミ系で男女の入り乱れた恋というのは「猫は逃げた」も似たような感じだけど、物語づくりは上手だ。
それでも、途中まで自分には全容がつかめない。勘のいい女性観客陣はもう少し早く理解しているかもしれない。ようやく、稲垣吾郎が独白してからは、謎解きパズルを少しづつ解いていくようになる。ステップを踏んで均衡点に迫っていく。ミステリーものではないのに、どうやって決着つけるのか気になってしまう。稲垣吾郎をはじめとした配役も成功だ。今泉力哉作品の常連若葉竜也も彼らしいキャラクターで安定している。
⒉長回し
今泉力哉監督作品をこれまで観ているので、いつものごとく長回しの映像が続くのは覚悟している。これって演じる方はさぞかしたいへんだろう。稲垣吾郎もよく応えた。前半戦は、クエンティンタランチーノ作品によくある「ダラダラしたダベリ」が多すぎる印象をもった。人気の「街の上で」では無意味なセリフが多すぎで、女性陣の性格が悪すぎで好きになれなかった。逆に「愛はなんだ」は江口のりこの使い方がうまい気がした。
「猫は逃げた」は肝心なところでの長回しシーンに絞って109分にまとめてくれて良かった。各シーンの時間を計るのにまさかストップウォッチを使うわけにはいかないけど、これは長すぎる。ある意味、今泉力哉のフォームかもしれないが、これってもう少し何とかなるのでは?
⒊中村ゆりと玉城ティナ
この映画では、今泉力哉監督の女優の使い方が実にうまい。中村ゆりと玉城ティナに加えて志田未来の存在で不思議なコントラストをつくる。
中村ゆりと気づかない時に、その美貌に驚く。ずっとこのいい女は誰だろうと思っていた。担当編集者の領分を越えて、作家と不倫している。今泉力哉の盟友城定秀夫作品だとベットシーンがあるけど、ここではない。それが残念。ラストに向けての、稲垣吾郎と2人での長回しシーンは良かった。そう簡単には演技できない長さで、セリフも含めてお見事だ。
玉城ティナは「惡の華」での高校生役でその存在感に圧倒された。あの演技があったからの起用だと思う。平手友梨奈主演で高校生で文才のある少女が主人公の「響」も意識していると思う。2つを混ぜたキャラクターでかなりませた高校生だ。稲垣吾郎相手に一歩も引かず、大人びた高校生になり切る。ちょっと変態系な女の役への今後の起用もあるだろう。
映画「窓辺にて」は稲垣吾郎主演で今泉力哉監督のオリジナル脚本による新作である。元SMAPのメンバーが次々と映画出演しているのと同様に稲垣吾郎も役者らしくなってきた。「半世界」で好演したあと、長回しが多い今泉力哉作品で役者限界能力への挑戦といったところか。妻の不倫に揺れる夫という設定をどう演じるかが見ものだ。健闘していると思う。
フリーライター市川茂巳(稲垣吾郎)は編集者の妻紗衣(中村ゆり)と2人暮らし。17歳の高校生作家久保留亜(玉城ティナ)がある文学賞を受賞する。マスコミ向け受賞発表会で、市川が対象作を深読みしたと思しき質問をすると、留亜から好感をもたれる。そして、請われて直接面談するようになる。小説のモデルになっている人に会わせると言われて、留亜の若い恋人や叔父に会う。市川は留亜の叔父と会話している際に、ふと妻が浮気をしていて、自分も気がついていること。その浮気に関して腹もたたないでいることを独白する。
この間、上映時間は約1時間。その途中には、市川の若き友人有坂(若葉達也)が妻(志田未来)と子がいるのにタレントのなつ(穂坂もえか)と不倫しているシーンや市川の妻紗衣が小説家の荒川と浮気している場面を織り交ぜる。
観ていてしばらく、人間関係がつかめない。市川が独白するまでは、いつもの今泉力哉監督作品のような長回しで、不倫から離れられない2組のカップルとわがまま娘の留亜に翻弄される市川をじっくりとセリフ多めに映す。ダラけてはいないが、完全にはのれない。
それでも、市川が告白してから妙に重いモノがとれた感覚をもつ。「誰にも話せないというのは、周囲を見下しているのではないか」と留亜の叔父に言われるのだ。そこから市川が動く。将棋の戦いで睨み合いから互いにぶつかり合うが如く、人間関係が少しづつ交わっていくと、徐々に頭脳が反応する。
⒈今泉力哉と重層構造の脚本
今回の今泉力哉の脚本はなかなかの重層構造だ。こうやって映画を見終わると、今泉力哉が計算づくでつくっているのがわかる。出版マスコミ系で男女の入り乱れた恋というのは「猫は逃げた」も似たような感じだけど、物語づくりは上手だ。
それでも、途中まで自分には全容がつかめない。勘のいい女性観客陣はもう少し早く理解しているかもしれない。ようやく、稲垣吾郎が独白してからは、謎解きパズルを少しづつ解いていくようになる。ステップを踏んで均衡点に迫っていく。ミステリーものではないのに、どうやって決着つけるのか気になってしまう。稲垣吾郎をはじめとした配役も成功だ。今泉力哉作品の常連若葉竜也も彼らしいキャラクターで安定している。
⒉長回し
今泉力哉監督作品をこれまで観ているので、いつものごとく長回しの映像が続くのは覚悟している。これって演じる方はさぞかしたいへんだろう。稲垣吾郎もよく応えた。前半戦は、クエンティンタランチーノ作品によくある「ダラダラしたダベリ」が多すぎる印象をもった。人気の「街の上で」では無意味なセリフが多すぎで、女性陣の性格が悪すぎで好きになれなかった。逆に「愛はなんだ」は江口のりこの使い方がうまい気がした。
「猫は逃げた」は肝心なところでの長回しシーンに絞って109分にまとめてくれて良かった。各シーンの時間を計るのにまさかストップウォッチを使うわけにはいかないけど、これは長すぎる。ある意味、今泉力哉のフォームかもしれないが、これってもう少し何とかなるのでは?
⒊中村ゆりと玉城ティナ
この映画では、今泉力哉監督の女優の使い方が実にうまい。中村ゆりと玉城ティナに加えて志田未来の存在で不思議なコントラストをつくる。
中村ゆりと気づかない時に、その美貌に驚く。ずっとこのいい女は誰だろうと思っていた。担当編集者の領分を越えて、作家と不倫している。今泉力哉の盟友城定秀夫作品だとベットシーンがあるけど、ここではない。それが残念。ラストに向けての、稲垣吾郎と2人での長回しシーンは良かった。そう簡単には演技できない長さで、セリフも含めてお見事だ。
玉城ティナは「惡の華」での高校生役でその存在感に圧倒された。あの演技があったからの起用だと思う。平手友梨奈主演で高校生で文才のある少女が主人公の「響」も意識していると思う。2つを混ぜたキャラクターでかなりませた高校生だ。稲垣吾郎相手に一歩も引かず、大人びた高校生になり切る。ちょっと変態系な女の役への今後の起用もあるだろう。