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韓国映画「弁護人」 ソン・ガンホ

2016-12-11 18:02:51 | 映画(韓国映画)
韓国映画「弁護人」を映画館で見てきました。


「殺人の記憶」「大統領の料理人」などの韓国の名優ソン・ガンホが弁護士役を演じるという。お世話になっているある弁護士もこの映画を推薦していて、見てみようかと思う。ノ・ムヒヨン(盧武鉉)元大統領の若き日の姿がモデルのようだ。

主題となる事件の前にこの弁護士の物語が割と長めに語られる。裁判官をやめて弁護士になったあと、本来司法書士がやるべき不動産登記業務を請け負い仕事を増やしていく様子が語られる。その後、他の弁護士もまねて登記業務をやることになり仕事が減ってしまった時も、商業高校出身で帳簿系の知識をいかして税務専門の弁護士になり、ますます仕事を増やす姿などを映しだす。そういう生活力旺盛の苦労話もソン・ガンホがうまく演じる。

でも昔からのなじみの店の店主の息子が公安に「アカ」の疑いで引っ張られ、拷問を受けていることがわかると正義の心がめばえて豹変する。ここからの法廷話はなかなか見ごたえある。公安当局の男を演じるクァク・ドウォンがうまく、判決に向けての対決が見ものである。

高卒で司法試験に受かり判事になったが、学歴社会の法曹界では差別が多く、弁護士に転身したソン・ウソク(ソン・ガンホ)。学歴もコネもないウソクは、まだ誰も手を付けていなかった不動産登記業務に目を付け、釜山一の税務弁護士へとのし上がっていく。ある日、馴染みのクッパ屋の息子・ジヌ(イム・シワン)が公安当局に突然逮捕されたと知る。自分の担当分野ではなかったが、ジヌの母親・スネ(キム・ヨンエ)からの懇願を受け、拘置所へ向かうが面会すらできない。


ようやく会えたジヌは、すっかり痩せ細り、顔や身体には無数の痣がある衝撃的な姿だった。ウソクは拘置所での取り調べに不信感を抱き、ジヌの無実を証明しようと立ち上がるが―。(作品情報引用)

1.元大統領の若き日の物語
映画情報によれば、韓国では大ヒットだったという。最近日本で石原慎太郎の著書がきっかけで田中角栄人気が再燃しているのと同様に、たたき上げで大統領になったノ・ムヒョンも人気があるのであろうか?ただ、この人も汚職疑惑で自殺して死んでいる。韓国の大統領はものすごい権力をもつと言われるが、次から次へと退任後失脚しているし、パク・クネ大統領に至っては弾劾されてしまった。まあ、ものすごい国だ。

フィクションとはいえ、この映画の前半をつかってノ・ムヒョン半生記を語っていると言ってもおかしくない。弁護士資格をもっているとはいえ、それだけではメシは食えない。至るところで名刺を配りまくる営業的な部分は好感が持てる。弁護士になるために勉強している時に、釜山港沖を見渡すマンションの工事にバイトの建設作業員として加わっていた。そしてリッチになり、このマンションの一室をむりやり購入しようとする姿は立身出世物語ともいえるのだ。


そうやっていながら、結局正義の道を歩もうとする。そこからは1962年のアカデミー賞主演賞作品グレゴリーペックの「アラバマ物語」の世界である。グレゴリーペックが冤罪の黒人を弁護する話に似た匂いを見ながら感じた。

2.学歴社会への反発
弁護士になって釜山の弁護士会に出席すると、目の前で別の弁護士が今度弁護士になった奴は高卒で不動産時の業務をやるとバカにしている。それだけでなく、裁判に臨んだときに検事と別の弁護士と判事が同じ大学の先輩後輩で「今度はお手柔らかに」なんて話もしている。そういう逸話で、韓国の法曹界の学歴社会を皮肉る。でも主人公はそれはさておいて生活力満点のパフォーマンスを発揮していく。


(ネタバレ注意)
ところが、公安当局に単なる読書会をやっただけで連行されたメシ屋の息子を助けようと奮闘する姿が続いていく。読書会で読まれていた本はEHカーの「歴史とは何か」で、検事や裁判長に向かって、これはあなたたちが出た大学の課題本ですよ。という法廷場面はなかなか痛快だ。

最初はバカにしていた釜山の弁護士会の面々も正義感を発揮する主人公の姿に共感をもつようになる。最後に向けての弁護士会の面々が仲間になり助けてくれる逸話はなかなかいい感じであった。


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