映画とライフデザイン

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映画「よこがお」筒井真理子&深田晃司

2019-08-07 17:46:41 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「よこがお」を映画館で観てきました。


これはよかった。
深田晃司監督の作品は「ほとりの朔子」「淵に立つ」いずれも気に入っている。今回は「淵に立つ」で存在感が強かった筒井真理子の主演であるので、映画館に足を運ぶ。筒井真理子はここでも好演、それに加えて市川実日子が不気味な役柄をそつなくこなす。主人公である訪問看護師にあらぬ嫌疑がかけられ、マスコミからも注目され普通の生活から一気に転落していく姿を描いている。そこには女性ならではの強烈な嫉妬が絡んでいたのだ。深田晃司監督のオリジナル脚本はよく練られていて、上質なヒューマンミステリーに仕上げられている。終盤に近付くにつれてドキドキ感も高まり、予測のつかない流れにひかれていく。


リサ(筒井真理子)と名乗るその女は、和道(池松壮亮)の前に突然現れた。美容師と客として、リサと接していた和道だったが、やがて彼女の不思議な魅力に惹かれていく。リサの本当の名前は市子、かつては周囲から厚く信頼される訪問看護師だった。

基子(市川実日子)という訪問先の娘で、市子に憧れ以上の感情を抱く者もいた。ところがある日、基子の妹のサキが失踪する。まもなく無事保護されるが、逮捕された容疑者は意外な人物だった。事件への関与が疑われた市子は、ねじ曲げられた真実と予期せぬ裏切りにより、築き上げた生活のすべてが音を立てて崩れてゆく。(作品情報より)

作品情報では重大なことが隠されている。ある程度ネタバレになるが、重大な事実も含めて語りたい。

1.市子が転落するきっかけと基子
市子(筒井真理子)はある家族の訪問看護師として、若干ボケも入っているおばあさんの世話をしている。おばあさんは親族よりも市子の言うことをきく。家族から信頼されていた。また、おばあさんの孫にあたる長女基子(市川実日子)が同じような訪問看護師になりたいということで、市子は受験勉強の手伝いをしている。プライベートでは、市子は連れ子のいる男性と結婚を前提に付き合っていた。そんなある時、基子の妹サキが行方不明になる。警察に捜査も依頼して大騒ぎだ。しばらくして発見される。その後テレビに映る連れ去った犯人を見ていて市子はあぜんとする。なんと、妹の息子である辰男だったのだ。


市子が基子に勉強を教えているときにたまたまサキも一緒だった。その時に市子の甥の辰男もその場にいたのだ。市子はそのことを基子とサキの母親に話そうとしたところ、基子から黙っていた方がいいと言われる。勉強を教わっていた基子は同性愛的感情をもって市子に接していた。市子も心を許して、普通であれば他人に話さないようなことも基子に話していた。基子はもっと市子と接近したそうであったが、市子はフィアンセである男性と近々結婚する可能性を伝える。


その直後であった。週刊誌の記者から突然市子のプライベート電話に「何か隠していることありませんか?」と電話が入る。そのあと週刊誌に甥の誘拐に叔母の市子が絡んでいるという記事が載るのだ。そのあとはお決まりの転落劇である。これでもかこれでもかと市子の不利になるような出来事が起きる。テレビ、雑誌あらゆるマスコミも絡めて市子に攻撃を与える。何もしていないのにこの仕打ちはちょっときつい。

最初週刊誌の取材の話があるときには、すぐには感じなかったが、基子が絡んでいるんだろうなあということがわかる。基子は一方的に好意を抱いていた。それなので、市子にフィアンセがいることが気に入らない。市子の幸せに嫉妬を抱く。そして、基子の意地悪がエスカレートするのである。転落は絶壁のように真っ逆さまだ。



2.深田晃司と筒井真理子

二階堂ふみ主演「ほとりの朔子」で気になる存在となった深田晃司監督浅野忠信主演で「淵に立つ」をつくった。不気味な作品だったが、これがよかった。刑務所出所間もない男が昔の仲間が経営する町工場に居候することになる。町工場の店主の妻が筒井真理子であった。この家族3人と男が一緒に旅行するとき、元々同居を嫌がっていた妻と男が急接近する。このとき揺れ動く情感こもった筒井真理子がよかった。

この映画で存在感を示したこともあってか、園子温監督「ANTIPORNO」の作家の秘書役では大胆な全裸を披露しながらSとM両方のふるまいで驚かさせた。1960年生まれでもういい年である。脱ぐ年でもなかろう。花が開いたのがここ最近という遅咲きの女優である。ここでは悪女を演じる市川実日子の怪演も冴える。二人そろって映画のレベルを昇華させている。


激しい起伏が何度も起こり、息をつけない。これだけはネタバレできないが、最終場面に向けてもう一つの盛り上がりをつくる。思いがけない展開を見せ、おお!こう来るかとドキドキする。お見事である。


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