映画とライフデザイン

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映画「あんのこと」 河合優実&佐藤二朗

2024-06-07 21:15:02 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「あんのこと」 を映画館で観てきました。


映画「あんのこと」河合優実が社会の底辺で彷徨う21歳の女性を演じるシリアスドラマである。「ビジランテ」など社会派の作品が多い入江悠監督作品で、佐藤二朗、稲垣吾郎が脇にまわる。「愛なのに」「少女は卒業しない」などでこのブログでずっと追っている河合優実がTV番組「不適切にもほどがある」で映画ファン以外にもブレイクした。テレビ番組が始まりしばらくして周囲の評判で見始めたが実に面白い。河合優実は1986年のツッパリ女子高校生を演じている。日本映画は、相変わらず辛気くさい題材ばかりだ。貧困家庭で育った少女のドツボぶりをここでも描いている。

21歳の主人公・杏(河合優実)は、幼い頃から母親(河井青葉)に暴力を振るわれ、学校にも行っていない。十代半ばから売春を強いられてきた。ある日、覚醒剤使用容疑で取り調べを受けた彼女は、多々羅刑事(佐藤二朗)と出会う。多々羅は杏になんの見返りも求めず就職を支援し、取材を進める週刊誌記者の桐野(稲垣吾郎)も刑事とともに杏を支えていた。新型コロナウイルスが蔓延しはじめて、杏が通う職場や学校の人の出入りが制限されて、居場所が失われてしまう。


実話に基づく社会の底辺を彷徨う少女があまりに悲惨な物語である。
いきなり,河合優実赤羽の昼飲み屋街こと1番街を早朝に歩いている映像が映し出される。いつも見る場所だと思った後で,茶髪の河合優実が覚せい剤を打つ男とラブホテルでカネの押し問答をしているシーンに移り変わる。小学校でスーパーの万引きを始めて、小学校で実質中退。漢字も書けない。12歳で男に抱かれ, 16歳で売春を始めるそんな生き方をしている少女がまだいるのだ。実際のモデルがいるとすると、悲しい。

母と祖母と暮らす団地は固有名詞こそ出ないが、赤羽の公営団地だ。親は金を稼がないと、娘に激しく暴力をふるい,自分は男と飲んだくれている。母と娘の関係は昨年見た「市子」と類似している。どうにもならない母親役の河井青葉が好演だ。ひたすら河合優実演じる娘を蹴り、髪を持って振り回す。もともとモデル系の美形で「私の男」や濱口竜介監督「偶然と想像」にも出ている女優だけど、団地のゴミ屋敷状態の部屋に住む出来のわるい女を巧みにこなす。


刑事役の佐藤二朗が適役だ。覚せい剤と売春でどうにもならない底辺の生活をしている主人公杏を救う面倒見の良い刑事だ。介護施設の仕事を用意して、同じようにクスリに毒された人たちのコミュニティも紹介する。DVでキツイ思いをしている人たちが無料で住む住居も斡旋する。1人の刑事以上の仕事をしている善人かと思っていたら、予想もしない展開に進み事前情報がないまま観た自分は驚く。


途中からは河合優実演じる主人公にとっては、まさに次から次へと災難が訪れる。コロナ禍に突入して,通っている介護施設では、非正規の社員は自宅待機になり,通っている夜間学校は休校になる。せっかく作り上げてきた人とのつながりが全てなくなってしまう。しかも,同じ共同住宅に住んでいる隣人の女性が幼い子供を突然主人公に預ける。そんな時助けてくれた刑事も目の前にいない。住所を伝えていないのに祖母の具合が悪いと母親が突然来て引き戻される。

この映画は主人公をとことん貶める映画だ。光が差さない映画としか言いようにない。

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