映画とライフデザイン

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映画「薬の神じゃない!」シュー・ジェン

2020-12-03 22:45:37 | 映画(アジア)
映画「薬の神じゃない!」を映画館で見てきました。


「薬の神じゃない!」は中国で大ヒットしたという触れ込みで評判もいい。実話に基づいているという。密輸の話となると黒社会の怖いお兄さんたちが立ち回る印象を受けるが実際にはドンパチのきわどい話ではない。むしろ掟破りの話が健全な話に転換する。インド産の男性機能増強剤を売っている店主が白血病病のジェネリック薬品をインドから仕入れて売る。派手に売りまくるが当局の手入れを受けて右往左往してしまうという話だ。

上海で、男性向けのインドの強壮剤を販売する店主 チョン・ヨン(シュー・ジェン)は、店の家賃さえ払えず、妻にも見放されていた。ある日、 慢性骨髄性白血病を患うリュ・ショウイー(ワン・チュエンジュン) が店に訪れる。国内で認可されている白血病治療薬は非常に高価であるため、安価で成分が同じインドのジェネリック薬を購入して欲しいという依頼だった。

金に目がくらんだ程勇は、ジェネリック薬の密輸・販売に手を染め、より多くの薬を仕入れるため白血病患者たちとグループを結成。依頼人の呂を始め、白血病患者が集まるネットコミュニティ管理人のリウ・スーフェイ(タン・ジュオ)、中国語なまりの英語を操る劉牧師、不良少年のボン・ハオが加わり、事業は大きく拡大していく。


しかし、警察に密輸として目をつけられ始め、一度はグループを解散した程勇だった。薬を絶たれた患者たちの悲痛な叫びに決意を固める。(作品情報引用)

⒈高価な正規販売の薬
ジェネリック商品と正規販売の薬との値段の差が大きすぎるわけで。低所得者は正規販売する薬が高すぎて買えない。当然、中国の健康保険状況はよくないだろうなあ。いったん安い白血病治療薬が手に入って希望が見えたのに、大勢いる患者が八方塞がりだ。この場合、中国であれば役人への薬品会社の賄賂があったのかもしれない。高利益をむさぼるため、値下げを禁じるような指示がされたりしてね。最後のテロップでは今は改善されたとなっているけど。

泣きついてこられて金の亡者も急に良心に芽生える。中国人は一般に個人主義的で空気を読まないと言われる。この主人公は気がつくと個人主義を消して善人になろうとしていくのだ。


少し前に家人が病院にかかったとき、健康保険の当局からこの薬にはジェネリック薬品があるからそれを使ってくれとお達しが来た。あれと思ったけど、健康保険組合の財政状況を考えるとここまで踏み込んでくるのはよくわかる気がする。

以下ネタバレあり、映画を観ていない人はご注意。

⒉警察当局との睨みあい
映画のポスターに映る主人公たちの面構えはいかにも悪そうだ。 途中まではコンプライアンス違反の売り方で警察との間にらみ合いの状態が続く。悪知恵と公安当局の対決だけじゃ大ヒットにはほど遠いだろう。それが結果的には良い人になるのである。

当局の監視で白血病特効薬のジェネリック薬が流通できなくなったが、すでに販売ルートに流したものがある。それを一気に買い戻すのである。患者の負担を軽くするため買い戻し値以下の価格で薬を売り始める。つまり顧客に500元で売るのに2000元で買い戻す。儲けなしどころか大損だ。個人主義の中国人が人々を救う気持ちになるのはめずらしい。途中からは捜査している警察側も同情していくのだ。


おみおくりの作法という映画がある。身寄りがないに等しい孤独死した人たちを送る公務員が亡くなってしまったときに今まで世話になった死人が見送るという映画だ。最後感謝されてみんなに送られるという映画に通じるものがあった。

ここでどうなったかは映画を観てのお楽しみ。映画を観ている人からはすすり泣く声が聞こえた。

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