後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

中古クルーザーヨットの買い方(11)

2007年12月17日 | うんちく・小ネタ

@外側の部品をチェックする。

まず船体(ハルという)の全体を見てひどくぶつけた跡が有るか否かや塗装の汚れをチェックします。特に船首が係留中に岸を叩いて擦れ穴が有るのは避けます。まあ大体綺麗なら前に示したヨットの部品類を順にチェックして行きます。ヘッドステイとバックステイがピンと張ってあるか?サイドステイ(図ではシュラウドと示してある)も同じくらいの張力で張ってあるか?ライフラインはキッチリ張り巡らせてあるか?それは2段になっているのか?1段になっている設計なのか?ラダー(舵)とテイラー(舵棒)の連結がしっかりしていてガタガタでないか?バウとスターンの手摺(パルピット)は外れそうでないか?スピン・ポールは甲板の上に金具で固定保管してあるか?自動操舵装置がきちんとテイラーに固定できるか?などをチェックします。もし緩んでいたり欠損している場合は購入前に修理を完了するように頼みましょう。不完全な箇所の修理は素人には難しいものです。

特に注意すべき箇所は前後左右のステイが同じ位の強さでピンと張っているか?ライフラインは張り巡らせてあるか?の2箇所です。

他に外側でチェックするものには航海灯とマストてっぺんにある停泊灯です。バウ灯は進行方向に向かって右側が緑の灯火で左側が赤の灯火をつけます。他は無色の灯火です。特にマスト先端の停泊灯の点滅は昼間は見えないので夜にチェックしましょう。

@ジブ、メインセール、スピンを上げて見よう!

中古艇を見に行く日は風の弱い日にします。風が弱ければ係留してあるままセイルを上げてチェック出来ます。メインセールを上げてハリヤードやメインシートがしっかりしているかチェックします。ついでにセールそのものの汚れや破損の状態が分かります。チェックが終わればメインを降ろして、ジブを上げます。ジブがヘッドステイに巻き付けてある形式ではジブフアーラーの回転がスムーズかをチェックできます。ジブシートもチェックできますし、ジブセイルの破損の有無もチェックできます。それが終わればジブを降ろしてスピンを上げます。するとスピン・ポールの具合も分かります。長いスピンシートの有無も判明します。

以上のように係留したままセールを順々に揚げ降ろしする場合にはメインシートもジブシートも緩く遊ばせておき、急に風が来てもヨットが大きく傾かないようにすることが重要です。揚げ降ろしは中古艇の持ち主にして貰うのが鉄則です。(続く)


中古クルーザーヨットの買い方(10)

2007年12月17日 | うんちく・小ネタ

@ヨットの部品の名称を10ケ覚えよう!

例えば野球の場合ピッチャー、バッター、キャッチャーという具合に外来のスポーツではカタカナの名称が使われます。ヨットも外来の趣味なので部品の名前や帆走に関する言葉にはカタカナ呼称がそのまま使われます。この特別な名称がヨットを始めるとき大きな抵抗になります。中古艇を買う場合も部品名を少し覚えていると話がしやすい。筆者は1987年頃に江ノ島で「レッツゴーセイリング」といういささか、しごきすぎるデインギースクールでヨットを習い、1989年にアメリカのエリー湖そばのサンダスキーという町でクルーザースクールへ通いました。下にそのとき使ったテキストのなかの図面を示します。

Photo_2

出典はGary Jobson著AmericanSailing Association監修「SailingFundamentals」出版社Simon & Shuster Inc.1987年版です。

中古艇を買うために覚えたほうが良い部品名を10個に限定してみます。(1)マスト、(2)ヘッドステイ、(3)バックステイ、(4)ブーム、(5)ライフライン、(6)テイラー、(7)バウ、(8)スターン、(9)ジブとシブハリヤード、(10)メインセールとメインハリヤード。

これらの(1)から(8)までは上の図に示してあります。ステイは前後からマストを立てるために引っ張る鋼鉄製のワイヤーです。ライフラインは船から人が落水しないようにグルリと張り巡らせた鋼鉄製のワイヤーです。テイラーとは舵棒ですがどういう訳か舵棒と言わずに必ずテイラーと言います。バウは船首、スターンは船尾です。ジブはヘッドステイとマストの間に張る三角形の帆で、それを上に引き上げる鋼鉄製のワイヤーをジブ・ハリヤードと言います。

メインセールはマストと下のブームと言う水平の棒で固定する三角形の帆です。メインセールをマストにつけて引っ張りあげるワイヤーをメインハリヤードと言います。

@ヨットの部品の特殊性

特殊な名称が多くて最初は困ります。まず鋼鉄製のワイヤー類や合成繊維製のロープ類はそれぞれ特殊な名前があり船上では絶対にワイヤーとかロープという一般名称を使いません。それぞれハリヤードやシートと言います。ロープと言って良いのは係留に使う舫いロープとかアンカーロープという具合に船の外側で使う場合に限られます。メインセールの下についていてセールを左右に動かすためのロープはメインシートと言い、ジブの下後ろ端についているロープはジブシートと言います。

中古艇を買う場合にチェックすべき部品は次回説明しますが、スピネーカーとスピン・ポールは覚えておいたほうが良いです。スピネーカーは上の図のヘッドステイの右外へ大きな半球状に風で膨らませるセールで、その下端とマスト下部を繋ぐ棒をスピン・ポールといいます。

昔から帆船を岸につけるときは原則として左側を岸に舫います。それで船の左をポートサイドと言います。右はスターボードと言います。この言葉は是非覚えて頂きたいと思います。

余談ながら飛行機で大型旅客機は例外なく、左側のみに出入口があり、こちら側からのみ乗り降りします。これは昔からの西洋の帆船のころからの習慣です。(続く)