今日のカトリック教会のミサは年間第28主日でした。福音書朗読主題句はマルコ10・21からの、「持っている物を売り払い、それから、わたしに従いなさい」です。
朗読は「知恵の書」(知恵7・7-11)
答唱詩篇は詩篇90・1、2、14、などでした。
そして「ヘブライ人への手紙」と「アレルヤ唱」へと続き、福音書は、
マルコによる福音書でした。
(前の部分は省略しました)
イエスは弟子たちを見回して言われた。「財産のある者が神の国に入るのは、なんと難しいことか。」 弟子たちはこの言葉を聞いて驚いた。イエスは更に言葉を続けられた。「子たちよ、神の国へ入るのは、なんと難しいことか。金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」 弟子たちはますます驚いて、「それでは、誰が救われるだろうか」とお互いに言った。イエスは彼らを見つめて言われた。「人間にできることではないが、神には何でもできるからだ」
ペトロがイエスに、「このとおり、わたしは何もかも捨ててあなたに従って参りました」と言いだした。イエスは言われた。「はっきり言っておく。わたしのためまた福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子供、畑を捨てた者はだれでも、今この世で、迫害を受けるが、家、兄弟、姉妹、母、父、子供、畑も百倍受け、後の世では永遠に命を受ける。」
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この朗読の後、神父様の説教がありました。キリストの激しい教えを受けてますます信仰を強めるようにしましょうという趣旨でした。
神はイエスの人間の愛を強調する一方で厳しい教えもなさって居ます。両方あることがキリスト教の本質ではないでしょうか?
挿絵として大浦天主堂の内部の写真を下に掲載いたします。主の平和。
作日のテレビ東京(東京地区では12チャンネル)の美の巨人という番組で和田三造画伯は何故「南風」でしか世に知られていないか説明していました。
1983年生まれ、1966年、84歳で亡くなった和田三造氏は後年画は描かず、色彩学に没頭し、1954年の日本映画「地獄門」の衣装担当をしてアカデミー賞を受賞しました。
東京芸大卒業後、2度も文展最優秀賞をうけ文部省からパリへ留学生として派遣された和田三造氏です。しかし彼は油絵を止めます。その心意気と苦悩を考えると絵描きの人生の厳しさが身に迫ります。和田三造氏の人生を我々はもっと真剣に考えるべきではないか? そんなことを考えさせる番組でした。テレビの番組は全てが低俗ではありません。
兎に角、もの凄く面白い話を聞きました。1時間30分がアッという間に終わりました。
昔、ハプスブルグ家の領地だったハンガリーに30年以上住んで、その国の言葉で本も出している盛田 常夫さんのお話です。
ハンガリーの病院には受付けがありません。皆さんがそのような病院へ行ったらどうしますか?答えは簡単です。看護婦さんへなにがしかのお金を渡すのです。そうしないと診察の順番が永久に回って来ないのです。
一事が万事この調子でハンガリーに住んでいるとコネと人脈を使わなければ生きていけいないようです。大小の賄賂をスマートに使う必要もあるらしいです。それがその国の文化なのです。凄い国だと思いませんか?しかし、”凄い国”に限って人々が滅法魅力的なことがあるのです。盛田さんも若い時からハンガリーの人々に魂を吸い取られ住み着いてしまったようです。
ところで話は変わりますが盛田さんの本職は経済学者です。ハンガリーの共産党独裁体制が崩壊して資本主義体制に転換して丁度20年になります。その転換現象を学問的に研究してハンガリー語で成果を発表してきました。
彼の研究は独創的な発想に基づいています。共産体制から資本主義体制へ転換した国々は中国、ベトナム、ソ連、ポーランド、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアなどなど数十の国々があります。この経済体制の転換で普遍的に起こった現象を抽出して体系化しています。その上ハンガリー独自の驚くべき現象を詳細に研究しています。発想の独創性。普遍的な現象の抽出。地域独自の特異性。この3拍子がそろっているのが優れた学問的研究の必須条件です。
盛田さんの話はユーモアもあり洒脱で楽しいのですが、注意深く聞いていると深い内容の学問になっているのです。近く日本語で、「ポスト社会主義の政治経済学」という本を出版されるので是非お読みください。出版社名や価格が決まりましたなら、このブログ上で購入方法をお知らせします。
独創的な考えを一つだけご紹介します。「共産党独裁国家は戦争のあった時代に出来た臨時的な社会である」という提案は非常に斬新で、しかも多くの人々に賛同されるような学説です。私は20世紀は戦争の世紀だったと思います。植民地争奪や国の覇権をかけた大小さまざまな戦争が世界中で続きました。戦争で勝つためには国家総動員をかけなければなりません。それには共産党独裁体制が非常に便利が良かったのです。しかし共産体制は人間を劣等化する一方で経済も疲弊させます。個人の責任感の喪失、怠惰の蔓延、特権階級の腐敗。これが共産主義体制が内在的にしかも必然的に持っていたので自壊するのが当然でした。
なんと分かりやすい論理の展開でしょう。
そして資本主義体制に転換する間に国家財産の権力者や民間による略奪がおきます。個人的に巧妙に。組織的に大掛かりに。この略奪の複雑さと巧妙さは年年歳歳変化して行きます。これは体制転換をした全ての国で起きたことです。そうしないと資本主義へ転換出来ないのです。そこでハンガリーでは略奪が年々どのように変化し、外国資本がどのようにハンガリーを占領して行ったか?それを活写するようにお話ししてくれるので興味津津なのです。
盛田さんは、ブログ「ハンガリーからのメッセージ」を書いています。
http://www.byool.com/sns/community/Detail?s_0_0_0_0_args1=912115216814430297 です。
最後にこの講演会を企画し、世話をして下さった、BYOOLというSNSの hanaさんへ深い感謝の意を表します。
そして帝国ホテルターワー10階にある素晴らしい会議室をご提供して下さった、スーパーファンド株式会社の土屋 泰統 社長へも深甚な感謝を表します。有難う御座いました。(終わり)
下にあまりよく撮れなかった写真ですが、盛田常夫さんのお写真を付します。