後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

清瀬市の田園にひっそりと建つ美しい円通寺

2019年02月01日 | 写真
今日は東京の郊外の農村に隠れるように建っているお寺の写真を撮りに行きました。
均整のとれた山門、本堂、鐘楼が冬の陽射しを浴びて古刹らしい雰囲気でした。白壁に囲まれた長屋門も穏やかな雰囲気を醸し出しています。
写真をお楽しみ頂けたら嬉しく思います。









写真の円通寺は、南北朝時代、暦応3年(1340年)に開かれたといわれ、市内では最も古いお寺です。東京都清瀬市下宿2-521にある真言宗豊山派の古刹です。
その長屋門、観世音菩薩立像の本尊と前立は清瀬市の有形文化財に指定されています。
この観世音菩薩立像は、新田義貞の弟新田義助が奥州下向の途中、鎌倉の松ヶ岡から移したものといわれ、それ以来、馬に乗ったままここを通ろうとすると必ず落馬したことから別名「駒止観音」とも呼ばれていました。また円通寺に通じる観音坂は、この観世音菩薩立像に由来するといわれています。
門前には広い駐車場があります。東京の方は、お出掛けになっては如何でしょうか。

認知症の人との接し方、会話の仕方

2019年02月01日 | 日記・エッセイ・コラム
最近、村田喜代子さんが書いた「エリザベスの友達」という面白い小説を読みました。新潮社、2018年10月出版です。
認知症になってホームに入っている初音さんという母と千里という娘の会話を中心にした小説です。
母の初音さんは戦争中に中國の天津の租界で裕福な暮らしをしていました。認知症になるとその頃の記憶に戻ります。20歳の新婚時代租界での華やかな贅沢な生活に帰っているのです。
随分と以前に上海の租界の生活を描いた林 京子さんの「ミシェルの口紅」と同じような本だと思い気軽に読み始めました。
そうしたら全然違うのです。
認知症のいろいろな症例に対する対応方法が書いてあるのです。それが母の初音と娘の千里の間の暖かい愛情のオブラートで包みながら書いてあるので楽しい気分で読めるのです。
そして変なことをして荒れる認知症の老人を一瞬にして静かな平穏な気持ちにさせてしまう大橋看護師が重要な役割で出てきます。
結論を書くと認知症の人には次のように接し、会話も注意すれば良いのです。
1)叱らない
2)説教しない
3)命令しない
認知症の人は昔の自分に帰り、その頃の場面を見ているのです。その頃会った人と話をしているのです。本気なのです。大橋看護師はそれを受け入れ会話に加わり、認知症の人をもっともっと楽しくさせます。そして当時の呼び名を聞き出し、その名で話しかけます。そして今日はもう遅いから続きは明日にしましょうと言ってやるのです。
母と娘の関係ではどうしても感情的になってしまいます。大橋看護師のように冷静に会話に加われないのです。そのような看護師のいる良い施設に入ると認知症の人は徘徊や変な行動をしなくなるそうです。心が荒れないのです。大橋看護師のような専門家は凄いと感じ入ります。
妻や夫が認知症になったら大橋看護師のように会話を進めれば良いのです。愛情を持って接することも重要なのです。
このように書くと、「そんな事は知っている」とこの小説を読まない人もいるでしょう。
しかしこの本の面白さは、人間と馬との愛の物語にあります。胸を打つ話です。この本の広告的な書評に、その場面は電車のなかで読んではいけないと書いてあります。涙が溢れるからです。
まあそれほどではありませんが感動的で美しい場面です。
主人公の初音さんの傍にいる牛枝さんの所に毎日夕方、3人の客が来るのです。その客は3頭の馬です。栗毛と鹿毛と青毛の馬です。昔仔馬の頃、牛枝さんと一緒に郷里の野原を遊び回った懐かしい3頭の馬です。
彼等は軍隊に徴用され戦場で死んでしまったのです。あの世でも牛枝さんと一緒に遊びたくて毎夕、迎えに来るのです。
・・・年嵩の栗毛の馬が牛枝さんの手をそっとなめる。
「姉っさ。今日も、迎えにめえりやした」
「そんなにせっついても、人の息は切れねえもんだ」
・・・そうして馬達は牛枝さんの初恋の人も連れて来るのです。凛々しい軍服姿です。牛枝さんを残して戦死しました。
こうして牛枝さんは毎夕のように3頭の馬と楽しい話をします。しかしどういう訳か3頭が暫く来ません。
ある日、3頭がそろってやってきます。栗毛が言います。
「姉っさ。しばらくぶりでやんす。今日はとうとう皆で話合って、おめえさを迎えにめえりやした」
「おう。ハヤトにナルトにミツルか。会いたかった、よう来てくれた」
牛枝さんは3頭の馬の大きな瞳を代わるがわる見ました。美しい懐かしい眼です。
「姉っさ。ではいよいよ出立です」「おう。有難や。この日ば今まで待っていた」牛枝さんは栗毛の手綱を掴んでヨイショッと馬の背に乗った。

暫くして牛枝の娘さんが旅立った牛枝さんの顔を見るのです。それは微睡んでいるような死に顔でした。

是非、ご一読下さい。
今日の挿し絵代わりの写真は私が木曽や北海道で撮った馬の写真です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)