学校で習う日本の歴史は天皇や貴族のことばかりです。万葉集も源氏物語も全て上流階級のものです。庶民や地方に住んでいる人々の生活の実態は教えません。
しかし奈良時代になっても農民は縄文時代とあまり変わらない家に住み石器と鉄で出来た道具を併用していたのです。
支配者層の文化的な生活と農民の原始的な生活には大きな格差があったのです。この格差は明治、大正、昭和になっても同じようにありましした。格差が無くなったのは戦後の経済の高度成長の後になってからです。
ですから明治維新で近代化した筈の日本でも、庶民の生活は江戸時代とほとんど同じでした。今日はその実態を示す写真をお送りいたします。
農村における写真は130年前の明治時代にエドワード・モースが撮った写真です。カラーは後から彩色したものです。出典は小学館の「百年前の日本」(1983年初版発行)という写真集です。
1番目の写真は1900年に撮った易者です。易者はむしろを地面に敷いて座っています。高下駄をはいた老婆が跪いて易者の話を真面目に聞いています。この光景は江戸時代と同じように見えます。
2番目の写真は1900年に撮った托鉢僧の行列です。こんな光景は仏教が伝来した飛鳥時代から連綿として見られた光景です。現在の日本でも見られます。
3番目の写真は1890年に撮った八百屋です。野菜からタケノコや洗った里芋など豊富な品揃えです。店の中に夫婦と男の子が写っています。子供は手伝しながら商売を覚え稼業を継いだのです。この八百屋も江戸時代の光景とあまり変わっていませんね。
4番目の写真は1880年に撮った亀戸天神の藤棚です。数人のお客が床几に座り飲食し藤の花を楽しんでいます。亀戸天神は江戸時代から現在まで藤棚の名所です。
5番目の写真は1890年に撮った子供達です。男の子の頭はみな丸坊主で木綿のかすりの着物を着ています。子供達が笑って幸せそうにしているのは左奥の駄菓子屋の屋台が来ているせいかも分かりません。
それはそれとして、今日は江戸時代と同じように見える明治時代の庶民の生活の写真を示しました。
日本の生活が本当に大きく変ったのは終戦後ではないでしょうか。そして都会と田舎の格差の無くなったのは経済の高度成長のお陰ではないでしょうか。
130年前の明治時代にエドワード・モースが撮った写真を見ながらそんな感想を持ちました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)