この猛暑の夏でも涼しい高原の別荘に滞在して悠々と過ごしている方々もいると思います。
そんな別荘に憧れる人も多いと思います。
別荘を持っていると楽しいことは事実ですが、森の中で小川の傍の粗末な建物ですと湿気や害虫や野生動物との戦いで苦労が絶えないのです。
梅雨明けに久し振りに行ってみると屋内に湿気が充満し山ヒルが部屋中を這いまわっています。玄関の上には蜂が大きな巣を作っています。カヤネズミ一家も棲みついてます。
着いた日は窓を開けて室内を乾燥させ山ヒルを退治します。蜂の巣は防護服を着て殺虫剤のスプレーで蜂を追い払い取り除きます。戸棚の上に巣を作って棲みついているカヤネズミ一家も追い出します。丸い巣を取り除き跡を清掃します。別荘は楽しいのも事実ですが苦労も覚悟しなければなりません。
そこで今日は別荘の楽しさと厳しさを書いてみたいと思います。
まず私の小さな山の家の近くの風景写真をご覧下さい。
1番目の写真はよく遊びに行った白樺湖と蓼科山の写真です。長野県の諏訪湖から車山や霧ヶ峰の方へ登った所にあります。冬は家族とスキーやスケートを何度も楽しみました。
2番目の写真は甲斐駒岳の風景です。私の小屋はこの山の麓の山梨県の北杜市にあります。深い森の中の小屋です。電気は引きましたが水道はありません。
3番目の写真は小屋へ登って行く雑木林の中の道路の風景です。夏は樹々の葉が繁って暗い道ですが冬には落葉して明るい道になります。樹々の葉の香りがして楽しい山道です。
4番目の写真は山林の中にある私の山小屋です。1974年に完成した時、当時の武川村の役場から役人が調べに来てくれました。丁寧に見た上で「これは山林の中の小屋です。ですから不動産税は一切ありません」と言明したのです。それ以来不動産税は払っていませんが、最近は環境保全税とかいう名目で北杜市へ毎年税金を払っています。
「これは山林の中の作業小屋です」ということなので私は別荘と言わずにいつも「山林の中の小屋」と言ってました。いわゆる別荘とは違い小屋です。
5番目の写真は庭を流れている小川の冬の様子です。以前やヤマメが棲んでいましたが最近は小さなカエルだけが棲んでいます。夏にはオハグロトンボが流に沿って飛び交います。この小川の水を汲んで水洗トイレに使います。炊事用の水や飲み水は持参します。若くて元気な頃は家内と数日間よく逗留しました。ハンモックで揺れながら本を読んでいた家内を思い出します。
こんな小さな別荘でも楽しい思い出が沢山あります。
庭の小川のほとりで学生さんたちと夏の夜に一緒にビールを飲んだものです。当時は缶ビールが無く全て瓶に詰まっていました。そして生ビールは木の樽でしか配達しません。
下の方の村落にあった野本商店という酒屋さんの若い主人が生ビールの樽を担いで届けてくれました。それは個人向けの小さな樽でしたが、20リットルくらいは入っていました。十数人で長い夏の夜にゆっくり飲んでは雑木林の中を散歩したものです。
夜の雑木林と言えば犬と一緒に散歩していた若い奥さんのことを思い出します。私が、「犬が用心棒のような役目をするから怖くないのですね」と言いました。するとすかさず、「いえ、私が犬の用心棒なのです」という答えが返って来ました。彼女は絵を描くのが趣味で毎年展覧会に出展しています。
この小川のほとりではバーベキューもしました。夏には孫達が小川で水あそびをしていました。テントやハンモックを楽しんだり、小川の向こうの崖をイノチガケと言いながら登って、広い牧草地で野球をしました。
生活用水は全てこの小川から汲んでいました。お風呂の水もこの小川から電動ポンプで汲み上げていました。お風呂専用の小屋は自分で作りました。
楽しい事はもっと沢山ありますが森の中に小屋を持つと湿気や害虫や野生動物との戦いで苦労が絶えないのです。小屋を持ってみると現実の厳しさに辟易することが多いのです。
まず第一に泊まりに行く場合は自宅から布団や衣類を車に積んで持って行く必要があります。夜具を置いておくと布団はジットリと湿ってしまいます。
床や壁にカビも生えます。ですから着いたら早速カビを拭く掃除から始めなければなりません。虫や山ヒルも棲みついています。カヤネズミ一家も棲みついてます。
ある時は小鳥が薪ストーブの煙突の中に巣を作っていました。取り除くのに苦労しました。イノシシが小川の岸辺を掘り返してミミズを食べます。庭を掘り返して穴だらけにします。
小屋を持つとカビと湿気と虫と野生動物との戦いを避けることが出来ないのです。
賢い奥様族はこの事態をあらかじめ、よく聞いて知っています。ですから別荘へは絶対に行かず、素敵な高原のホテルに泊まります。ロマンチストの夫が別荘を買うと言えば反対はしません。しかし自分は絶対に一緒に別荘に行きません。
しかし小屋や別荘の良さは何と言っても気が向いた時フラリと行けることです。誰もいないので気がねなく遊べることです。大自然の中に溶け込めることです。小屋を持つことの苦労など私にとっては些細なことです。
それにしても私の家内はよくついて来てくれました。
老境に至って振り返って考えてみると、よく付き合ってくれた家内に沁みじみ恩義を感じます。落ち葉掃きや小川の清掃が好きで飽きずに楽しそうに働いていました。感謝しております。それにしても私どもは小さいながらも別荘のような小屋をもてた事は幸運でした。
今日は別荘のような小屋を持つことの楽しさと厳しさを体験にもとずいて書きました。
別荘を持つことをお考えの方々のご参考になれば嬉しく思います。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
そんな別荘に憧れる人も多いと思います。
別荘を持っていると楽しいことは事実ですが、森の中で小川の傍の粗末な建物ですと湿気や害虫や野生動物との戦いで苦労が絶えないのです。
梅雨明けに久し振りに行ってみると屋内に湿気が充満し山ヒルが部屋中を這いまわっています。玄関の上には蜂が大きな巣を作っています。カヤネズミ一家も棲みついてます。
着いた日は窓を開けて室内を乾燥させ山ヒルを退治します。蜂の巣は防護服を着て殺虫剤のスプレーで蜂を追い払い取り除きます。戸棚の上に巣を作って棲みついているカヤネズミ一家も追い出します。丸い巣を取り除き跡を清掃します。別荘は楽しいのも事実ですが苦労も覚悟しなければなりません。
そこで今日は別荘の楽しさと厳しさを書いてみたいと思います。
まず私の小さな山の家の近くの風景写真をご覧下さい。
1番目の写真はよく遊びに行った白樺湖と蓼科山の写真です。長野県の諏訪湖から車山や霧ヶ峰の方へ登った所にあります。冬は家族とスキーやスケートを何度も楽しみました。
2番目の写真は甲斐駒岳の風景です。私の小屋はこの山の麓の山梨県の北杜市にあります。深い森の中の小屋です。電気は引きましたが水道はありません。
3番目の写真は小屋へ登って行く雑木林の中の道路の風景です。夏は樹々の葉が繁って暗い道ですが冬には落葉して明るい道になります。樹々の葉の香りがして楽しい山道です。
4番目の写真は山林の中にある私の山小屋です。1974年に完成した時、当時の武川村の役場から役人が調べに来てくれました。丁寧に見た上で「これは山林の中の小屋です。ですから不動産税は一切ありません」と言明したのです。それ以来不動産税は払っていませんが、最近は環境保全税とかいう名目で北杜市へ毎年税金を払っています。
「これは山林の中の作業小屋です」ということなので私は別荘と言わずにいつも「山林の中の小屋」と言ってました。いわゆる別荘とは違い小屋です。
5番目の写真は庭を流れている小川の冬の様子です。以前やヤマメが棲んでいましたが最近は小さなカエルだけが棲んでいます。夏にはオハグロトンボが流に沿って飛び交います。この小川の水を汲んで水洗トイレに使います。炊事用の水や飲み水は持参します。若くて元気な頃は家内と数日間よく逗留しました。ハンモックで揺れながら本を読んでいた家内を思い出します。
こんな小さな別荘でも楽しい思い出が沢山あります。
庭の小川のほとりで学生さんたちと夏の夜に一緒にビールを飲んだものです。当時は缶ビールが無く全て瓶に詰まっていました。そして生ビールは木の樽でしか配達しません。
下の方の村落にあった野本商店という酒屋さんの若い主人が生ビールの樽を担いで届けてくれました。それは個人向けの小さな樽でしたが、20リットルくらいは入っていました。十数人で長い夏の夜にゆっくり飲んでは雑木林の中を散歩したものです。
夜の雑木林と言えば犬と一緒に散歩していた若い奥さんのことを思い出します。私が、「犬が用心棒のような役目をするから怖くないのですね」と言いました。するとすかさず、「いえ、私が犬の用心棒なのです」という答えが返って来ました。彼女は絵を描くのが趣味で毎年展覧会に出展しています。
この小川のほとりではバーベキューもしました。夏には孫達が小川で水あそびをしていました。テントやハンモックを楽しんだり、小川の向こうの崖をイノチガケと言いながら登って、広い牧草地で野球をしました。
生活用水は全てこの小川から汲んでいました。お風呂の水もこの小川から電動ポンプで汲み上げていました。お風呂専用の小屋は自分で作りました。
楽しい事はもっと沢山ありますが森の中に小屋を持つと湿気や害虫や野生動物との戦いで苦労が絶えないのです。小屋を持ってみると現実の厳しさに辟易することが多いのです。
まず第一に泊まりに行く場合は自宅から布団や衣類を車に積んで持って行く必要があります。夜具を置いておくと布団はジットリと湿ってしまいます。
床や壁にカビも生えます。ですから着いたら早速カビを拭く掃除から始めなければなりません。虫や山ヒルも棲みついています。カヤネズミ一家も棲みついてます。
ある時は小鳥が薪ストーブの煙突の中に巣を作っていました。取り除くのに苦労しました。イノシシが小川の岸辺を掘り返してミミズを食べます。庭を掘り返して穴だらけにします。
小屋を持つとカビと湿気と虫と野生動物との戦いを避けることが出来ないのです。
賢い奥様族はこの事態をあらかじめ、よく聞いて知っています。ですから別荘へは絶対に行かず、素敵な高原のホテルに泊まります。ロマンチストの夫が別荘を買うと言えば反対はしません。しかし自分は絶対に一緒に別荘に行きません。
しかし小屋や別荘の良さは何と言っても気が向いた時フラリと行けることです。誰もいないので気がねなく遊べることです。大自然の中に溶け込めることです。小屋を持つことの苦労など私にとっては些細なことです。
それにしても私の家内はよくついて来てくれました。
老境に至って振り返って考えてみると、よく付き合ってくれた家内に沁みじみ恩義を感じます。落ち葉掃きや小川の清掃が好きで飽きずに楽しそうに働いていました。感謝しております。それにしても私どもは小さいながらも別荘のような小屋をもてた事は幸運でした。
今日は別荘のような小屋を持つことの楽しさと厳しさを体験にもとずいて書きました。
別荘を持つことをお考えの方々のご参考になれば嬉しく思います。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)