ウクライナの首都キエフにロシア軍が迫って来ました。
3月1日にはキエフにあるテレビ塔が攻撃されました。地方都市でも州政府の庁舎がミサイル攻撃を受けるなど犠牲者は増え続けています。
国外に避難した人の数はすでに67万人にも達しました。
今世紀最大の危機となるおそれも指摘されています。
1番目の写真は3月1日にロシア軍のミサイル攻撃を受けたキエフのテレビ塔です。
今日はウクライナの最新の状況を下記の資料からご紹介いたします。
(1)ウクライナの首都キエフに迫るロシア軍。
ロシア軍の戦車隊がキエフの25Km迄迫って来ました。しかし燃料と食料不足でそこに停滞しています。
一方、アメリカ国防総省の高官は「ロシア軍はウクライナ国内で戦力を増強し続け、国境周辺に展開していた戦闘部隊のうちこれまでに80%以上を投入、400発以上のミサイルを発射した」と分析しています。
この状況ではロシア軍の戦車隊の燃料と食料不足は補給が追い付けば解消されます。予想されたより長期間を要しますが首都、キエフはやがて陥落する形勢です。
ゼレンスキー大統領は政府を安全な地方に移し徹底抗戦すると予想されます。
(2)ロシア軍の苦戦。
アメリカ国防総省の高官はロシア軍の苦戦を以下のように分析しています。
▽ウクライナ軍の激しい抵抗を受けている。
▽燃料・食料不足で遅れが出ている。
▽部隊の再編成や作戦の再評価のためみずからの判断で作戦を中断している。
2番目の写真はロシア軍の現状です。
特に重要なのはロシア軍が完全に制空権を取っていないことです。そしてウクライナ軍の防空とミサイル攻撃力が健全なことです。
(3)ロシア軍兵士の士気が低いこと。
国連総会の緊急特別会合でのウクライナのキスリツァ大使の発言が大きな注目を集めました。
「正式な発言を述べる前に、まず、ロシア語に切り替えたいと思います」と切り出したキスリツァ大使です。
紹介したのは、今回の軍事侵攻で死亡したロシア兵のスマートフォンに残されていたとする母親とのやり取りでした。
兵士からママ宛に送ったメール、
『ママ、僕はウクライナにいる。本当の戦争だ。怖いよ。すべての都市を爆撃している。市民も狙っている。ウクライナの人は、僕たちを大歓迎すると言われたけど、彼らは装甲車の前に立ちふさがったり戦車の前に身を投げ出したりして通らせないようにしている。僕たちを『ファシスト』と呼ぶ。ママ、本当につらいよ…』
ロシア軍の兵士の大部分は戦闘経験の無い徴兵された若者です。実戦の恐怖で怖気づいてしまうのです。これではウクライナ征服は無理ではないでしょうか?
(4)国外に避難したウクライナ人の数は67万7000人。
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のグランディ難民高等弁務官は3月1日の記者会見で「ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は67万7000人にのぼった。このままでは今世紀最大の危機となるおそれがある」と危機感を強めています。
中でもその半数が避難しているのがポーランドです。
ウクライナと国境を接するポーランドでは、1日午後3時時点でウクライナから避難してきた人はおよそ41万人にのぼっています。
ポーランドとの国境にある町メディカを取材すると、大勢の人たちがウクライナ側の検問所から歩いたり、用意されたバスに乗ったりしてポーランド側に逃れてきていました。次の3枚の写真はポーランドへ国境を越えて歩いて逃げて来た避難民です。
ウクライナでは18歳から60歳の男性は総動員で軍隊に行くことになっています。出国が許されるのは子どもと女性や年配の人たちです。夫や父と別れ悲しみながら国境を越えて行くのです。
(5)今度のウクライナ戦争はベトナム戦争のように長期化するか?
以上のような状況を見るとロシア軍は苦戦しています。
しかし首都、キエフはやがて陥落するでしょう。そうすればゼレンスキー大統領は政府を安全な地方に移し徹底抗戦すると予想されます。
ウクライナ戦争はベトナム戦争のように長期化するのでしょうか。
勿論、早く停戦協定が出来て終了することを祈っています。ベトナムではアメリカが完全に敗北し追い出されました。ウクライナ戦争ではロシアの完全敗北は起きないでしょう。最終的な停戦協定ではロシア軍のウクライナ駐留を認める可能性があります。
そうすればゼレンスキー大統領は国外へ脱出するかもしれません。
今日はウクライナの最新の状況をご紹介いたしました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)