飛永頼節さんは長崎で原爆の被害者になり街の惨状を見てしまいました。黒焦げになった遺体が道に折り重なっていました。飛永頼節さん自身は何とか生き延びましたが原爆で死んだ人々への鎮魂の気持ちが心に残ります。その思いは強く彼の生涯を貫きます。
その鎮魂の祈りを抽象画に昇華させ「レクイエム」という絵画群を描き続けました。大変評判を呼び「レクイエム」は飛永頼節さんの代表作になりました。
絵の色調が微妙でこの世の色合いでないのです。あの世の色彩です。ここにその微妙な色合いが再現出来ないのが残念です。
さて以下に彼の画集の後書きにある文章の抜粋をお送りいたします。
「あの日1945年8月9日、被爆、気を失った。当時私は久留米高専の学生で、長崎の兵器工場へ学徒動員で来ていた。意識がもどって見ると街中に黒焦げの死体がころがっている。
科学技術の進歩によって生まれた原子爆弾がが人間の尊厳を打ち砕くのだ。
深い衝撃を受けた私は技術者になる道を諦め、画家になる決心をした。
原爆で人影が石壁に残る。その不気味な人影をモチーフにして鎮魂のための抽象画を描こうと決心した。作品の構成要素として直線を多用しよう。無駄な衣を脱ぎ捨て、後に残った素材、例えば直線や一元的な空間で画面を構成する。
原爆で一瞬に「もの」になった人、「影」となった人、それらの形象に私は、いのちの再生、人間性の蘇生を願い、その作品に静寂・明澄性・光の表現を与えたい。
それが芸術に於ける復活の祈りであり、レクイエムであると信じ、更に状況を超えた ”存在” であることを念じ、絵を描き続けている。」
私は彼の言葉、「それが芸術に於ける復活の祈りであり、レクイエムであると信じる」に感銘を受ける。彼の揺るぎない固い信念に圧倒さます。
飛永頼節さんはそういう信念を貫いて抽象画を描き続けたのです。
非常に数多くの「レクイエム」という絵画群の中からほんの少しだけ写真をお送りいたします。
1番目の写真は「レクイエム19」で、2005年作です。アクリル・キャンバス、116.5cm X 91cmの大きさです。
2番目の写真は「レクイエム20」で、2009年作です。アクリル・キャンバス、91cm X 72.5cmの大きさです。
3番目の写真は「自画像」で、2009年の作品です。アクリル・パネル、41cm X 32cmの大きさです。
4番目の写真は「レクイエム1-1」で、2010年作です。アクリル・パネル、194cm X 130.5cmの大きさです。
5番目の写真は飛永頼節画伯です。
それにしても飛永頼節さんの「レクイエム」という絵画には深い精神性が込められているのですね。ですからこそ静寂で明澄な「レクイエム」という絵画群が飛永頼節さんの代表作になったのです。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
その鎮魂の祈りを抽象画に昇華させ「レクイエム」という絵画群を描き続けました。大変評判を呼び「レクイエム」は飛永頼節さんの代表作になりました。
絵の色調が微妙でこの世の色合いでないのです。あの世の色彩です。ここにその微妙な色合いが再現出来ないのが残念です。
さて以下に彼の画集の後書きにある文章の抜粋をお送りいたします。
「あの日1945年8月9日、被爆、気を失った。当時私は久留米高専の学生で、長崎の兵器工場へ学徒動員で来ていた。意識がもどって見ると街中に黒焦げの死体がころがっている。
科学技術の進歩によって生まれた原子爆弾がが人間の尊厳を打ち砕くのだ。
深い衝撃を受けた私は技術者になる道を諦め、画家になる決心をした。
原爆で人影が石壁に残る。その不気味な人影をモチーフにして鎮魂のための抽象画を描こうと決心した。作品の構成要素として直線を多用しよう。無駄な衣を脱ぎ捨て、後に残った素材、例えば直線や一元的な空間で画面を構成する。
原爆で一瞬に「もの」になった人、「影」となった人、それらの形象に私は、いのちの再生、人間性の蘇生を願い、その作品に静寂・明澄性・光の表現を与えたい。
それが芸術に於ける復活の祈りであり、レクイエムであると信じ、更に状況を超えた ”存在” であることを念じ、絵を描き続けている。」
私は彼の言葉、「それが芸術に於ける復活の祈りであり、レクイエムであると信じる」に感銘を受ける。彼の揺るぎない固い信念に圧倒さます。
飛永頼節さんはそういう信念を貫いて抽象画を描き続けたのです。
非常に数多くの「レクイエム」という絵画群の中からほんの少しだけ写真をお送りいたします。
1番目の写真は「レクイエム19」で、2005年作です。アクリル・キャンバス、116.5cm X 91cmの大きさです。
2番目の写真は「レクイエム20」で、2009年作です。アクリル・キャンバス、91cm X 72.5cmの大きさです。
3番目の写真は「自画像」で、2009年の作品です。アクリル・パネル、41cm X 32cmの大きさです。
4番目の写真は「レクイエム1-1」で、2010年作です。アクリル・パネル、194cm X 130.5cmの大きさです。
5番目の写真は飛永頼節画伯です。
それにしても飛永頼節さんの「レクイエム」という絵画には深い精神性が込められているのですね。ですからこそ静寂で明澄な「レクイエム」という絵画群が飛永頼節さんの代表作になったのです。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)