575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

それぞれの形に冬の空を刺す・・・      草女

2007年01月30日 | Weblog
 「それぞれの形に冬の空を刺す 枯れ木の道に歩み疲れき」
 小椋佳のライブ「遠ざかる風景」の中の一曲「身辺抄」の一節である。
 折口正記という歌人の短歌に小椋佳が曲をつけたもの。
 詩もメロディーも声も新しい感覚で、まだ若かった私に強い印象をを残した。
 以来、冬木立を歩くとこの歌が浮かぶ。
 広辞苑には「枯れ木・・・枯れた木、または落葉した樹木。」とあり、双方は昔から混同されてきた。例えば、枯れ木に花を咲かせる花咲爺さんの枯れ木は多分落葉した木であろう。でなければ爺さんは木に登って灰を撒くことが出来まい。枯れ木ならすぐ折れてしまうからである。
 落葉した木は一見枯れた木の様に見えるけれども、冬芽を必ず持つ生命のある木だ。
 植物は生き残るために様々な戦術を編み出してきた。厳しい冬の季節を乗り切るために落葉するのもその一つ。しかも、ただ落葉するのではない。
 葉っぱたちの散り際の準備は、葉の中にある養分を芽、幹、根に送り返すことから始まる。その作業が進むと順次、「離層」という枯れ落ちる箇所づくりをする。
 そして風に吹かれて落ち葉になる。
 しかし、この冬、落葉していない落葉樹をあちこちで見かける。このごろの暖かさで落葉の仕組みが、うまく働かなかったのではないかと思っている。
 人間を含め地球上の全ての動物は植物によって命を支えられている。
 このところ頻繁にみられる植物の異変に危惧を感じている。
 
コメント (1)
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