575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

越冬八つ頭          草女

2009年06月12日 | Weblog
 この4月、三年ぶりに舳倉島で出会った鳥のヤツガシラでなく、里芋の八つ頭の話である。昨年の今頃、緑の涼やかな芽を出しているものを買った。ガラスの水盤にいれ玄関に置いていた。暫くたつと、茎が明らかに光の方向に曲がって伸びていく。水盤の向きを変えても光を求め徒長して美しくない。仕方なく庭に置くことにした。
 庭では、一夏八つ頭らしい涼しげな姿をみせていた。だんだん寒くなり、葉や茎は枯れてしまい、片づけなくてはと思いつつ一冬がすぎた。           庭に水を撒くとき、赤芽がしわの根本に弱々しく付いていたので水盤に水をなんとなく満たしておいた。
 4月、庭の植物が芽吹きだすと、八つ頭も可愛い小さな葉をつけ出したではないか。もうびっくり、そんなつもりで冬を越させたわけでなないし、里芋の原産地域は熱帯アジア、野外で越冬するなんて想像もしなかった。
 芋の生命力に乾杯と言いたい。が、考えてみれば、それだけ日本の冬が寒くなくなったということ? それとも私のような怠け者はそうはいなくて、たれも八つ頭が冬を越す実験をしなかっただけ?
 でも、どらでもいい、すっかり美しい姿になった越冬八つ頭は庭の一員としてちんまりおさまっている。今度の冬はどなるか楽しみだ。

 芋の葉に日はとどまりて海遠し    角川源義
 芋の葉のあらぬところに露一顆    野村泊月
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紙魚なりし死ぬまで本に齧りつく    朱露

2009年06月12日 | Weblog

    シミを「紙魚」とは言い得て妙なり。
    シミ目シミ科の原始的昆虫の総称だ。
    生涯本などの紙類を食いちぎり抜く。
    未来の私は果たして紙魚になれるか。

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柿の「ぼうや」   角寿

2009年06月12日 | Weblog
十日ほど見ぬうちに、柿はすっかり成長。
「坊や」になっていました。

梅雨に入りましたが、
この期間に虫に食われたものなどは落果。
また、なり過ぎている実は、
枝が、折れてしまう心配があるため、
摘果されます。

    

角寿さん、ありがとうございます。
柿もがんばっていますね。(遅足)

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六月を詠む    遅足

2009年06月11日 | Weblog
荻原先生の俳句教室、宿題が「六月」でした。
案外、難しい季語でした。

   

六月のバイト学生なま欠伸  狗子

先生のコメント
「六月」という季語がうまく機能している。
四月、二月など、他の月を当てはめてみたが、
やはり六月という独特の感じが、句を生かしている。

   

水を抱く葉の六月に池小さし  晴代

先生のコメント
水を抱く、は良い表現。
六月に池が小さい、という繋がり方よりも

水を抱く六月の葉に池小さし

として、葉に池が小さい、と
素直な言葉の流れのほうが良いのでは。

   
  
六月のあみめをほどくキリンかな  遅足

キリンのあみめを詠んだ句はあったような。
片仮名のキリンより、平仮名のきりん、
または麒麟と漢字のほうが良い。
六月、来園者も少なく、ちょっと一休み、
といった感じにも詠める。
六月は効いていると思う。

句会には、どんな六月が登場するのか?




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今朝の一句   

2009年06月11日 | Weblog
毎日新聞の一面に「季節のたより」として
毎日一句紹介されています。

今朝の一句は黛執さんの

   包丁をぴかぴかにして梅雨ごもり

外出がおっくうになる梅雨時。包丁を磨いてうっとうしさをはらしている景。
カビの気になる季節。私も台所のシンクやお風呂場を磨きます。
ついでの心も磨きたい気分。刺激的なミステリーを探すのもこの時期です。

   良質のミステリー読む梅雨ごもり  麗

何かおすすめの一冊はありますか?村上春樹の「1Q84」は
話題作になっていますがどなたかお読みになった方はいらしゃいますか?
村上作品。私はどうも苦手なのですが。。。
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俳句のよろこび   遅足

2009年06月10日 | Weblog
先日、ある本を読んでいたら、古代ローマでは、
娼婦の館と図書館がセットになっていたそうです。

その本の著者によれば、
生殖行為は、個体丸ごとのリモデリング
(個体の再生と拡大再生産)であり、
ヒトのみの持つ文化活動は、精神的創造性(自己実現)
というものを生み出す点で、生殖行動に近い欲求。

よい作品が完成した時に感ずる悦びは、
最良の生殖行為の時と同じ様に、
からだのすべての細胞、60兆の細胞が
喜悦する満足感と同じという。

   

つまり古代ローマ人は、そのことを熟知していたと。

えっ?本当なの?
俳句が生まれた時、60兆の細胞が歓喜するような
体験はしていませんが・・・

そこで荻原先生に、恐る恐る聞いてみました。

答えは古代ローマ人と同じでした。

俳句は愛のエネルギーを言葉にしたもの?
まだまだ修業が足りないようです。

   

17日(水)が句会です。
どんな句が登場するのか?
楽しみです。






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柿若葉人材村字派遣切り   朱露

2009年06月09日 | Weblog
    県下有数の柿産地だから今柿若葉の中。
    日本有数の自動車会社が隣り町にある。
    私の知人にも然るべき人材が数人いる。
    人材たちは自社の車で会社を往復する。

            (写真は角寿さん撮影です。)


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月名を入れてください。         ぐ

2009年06月09日 | Weblog
★久しぶりに俳句クイズを
 次の句の○○に一月から十二月までの月名を入れてください。

 ○○や出土古陶片青失せず        岡部六弥太
 ○○の川○○の谷の中          飯田龍太
 ○○の青嶺まぢかく溶鉱炉        山口誓子
 章魚さげて島より患者○○○       井上杉香
 木曾馬の黒瞳みひらく○○かな      大峯あきら
 ○○や弟が来て母と居り         斉藤美規
 ○○やモナリザを売る石畳        秋元不死男
 茶畠のひかり手強き○○かな       飯島晴子
 人のうえに思ひおよべば○○来る     榎本好宏
 ○○や竹の匂ひの酒を酌む        福島 勲
 聖○○山の暦の始めとす         青柳志解樹
 あたたかき○○○もすみにけり      中村草田男
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ジューンドロップ   遅足

2009年06月08日 | Weblog
六月に入ると、柿の実が地上に落ちているのを目にします。
成り過ぎを防ぐために柿の木が自ら実を落とす、
これをジューンドロップというそうです。

我家の近くでは、石榴の実も転がっています。
なにか勿体無いような気もします。

坪内稔典さんにこんな句があります。

   ふるさとのジューンドロップ昭和逝く

俳人と歌人がお互いの作品を紹介しあう企画もののなかの一句。
歌人の永田和宏さんが、稔典さんの句を紹介したものです。

坪内稔典さんは、永田数宏さんのこんな歌を紹介しています。

   三十年前の東京を子は知らずならびゆく雨は東京の雨

     (言葉のゆくえより・京都新聞刊)

まもなく梅雨入り 
   



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心太一本箸の心意気   朱露

2009年06月07日 | Weblog

   心太をトコロテンと読ませる無理難題。
   割り箸一本で啜らせるのも摩訶不思議。
   酢醤油心太割り箸一本啜りの日本の夏。
   この夏やってみようか六十何年ぶりに。

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この花の名は?   遅足

2009年06月07日 | Weblog
先日、植物園に。
カメラが壊れたので、新しいカメラに。
といっても同じメーカーの中古品。
1万円ちょっとでした。
でも前のものより撮影しやすい。

この花、その時に写したものです。
白い「?」に似た草。

白蝶草だそうです。
そう見えなかったら写真の腕が悪いから?

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長谷川素逝(戦争と俳句)について   遅足

2009年06月06日 | Weblog
長谷川素逝は、昭和12年に召集、砲兵隊の小隊長として
中国戦線で戦ってきました。
しかし昭和13年8月、結核発病。
10月帰国。広島の陸軍病院入院。(広島は軍都だったんですね。)
11月には、京都の陸軍病院へ。

  「駅頭」という前書き。

霙にならぶ国防婦人会員ら
傷兵ら還る霙にもの言わず
還り著きし霙の街の灯はにぎやか
ねんねこの女傷兵のなかをさがす

14年、戦場での句を集めた句集「砲車」刊行。
代表作とされるのが、この句。

おほ君のみ楯と月によこたはる

素逝は、甲南高校の教授となりますが、
以後、闘病生活を送り、自然諷詠の句に戻っていきます。
代表作は敗戦後の昭和21年1月、伊勢で詠んだ句。

円光を著(き)て鴛鴦の目をつむり

この年の秋に亡くなります。39歳。

敗戦後は「砲車」の代表作とされる
おほ君のみ楯と月によこたはる
を、
おほ君のみ楯と月にあほらしや
と、変えて詠ったといいます。

   

「砲車」という句集の評価は?
「反戦句集」とする考えもあり、評価は分かれているそうです。
大東亜戦争を賛美した句もありますから、
反戦句集とは言えないと思います。
ただ、単なる戦争を賛美した句集に終っていないことも事実です。
その理由の一つは、師の高浜虚子が唱えた「客観写生」という
手法にあるのでは、ないでしょうか?

心情を排して、戦争という対象から一歩距離を置く。
目前の事実を客観的に写し取る。ルポルタージュの手法です。
駅頭の句も、討伐行の句もそうした客観的な目が生み出した句です。

かをりやんの中よりわれをねらいしたま
かをりやんの中よりひかれ来し漢
てむかしゆゑ炎天に撲ちたふされ
汗と泥にまみれ敵意の目を伏せず

これが「砲車」が今でも新鮮さを失わない秘密ではないしょうか?

津市・阿漕浦の句碑。

   遠花火海のかなたにふと消えぬ  素逝

(「長谷川素逝 円光の生涯」(うさみとしお著)を参考にしました。)


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どくだみの匂い毒やら薬やら   朱露

2009年06月06日 | Weblog

       葉が心臓型で酷い悪臭という不気味さ。
       夏の花は純白可憐でそぞろ哀れを催す。
       腫れ物には葉の汁を塗れば治るという。
       どういう態度で臨むか毎朝決めかねる。

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ないて血を吐く不如帰         草女

2009年06月05日 | Weblog
 小学生だった遠い昔、お手玉には段階があった。普通の2個から始まり、左手添える片手(お椀),片手、3個・・・といったものだ。段を進むには一つの歌の間失敗をしてはいけない決まりであった。その時歌うのが下の数え唄。

 一番初めは一の宮、二ぃは日光東照宮、三は佐倉の惣五郎、四ぃは信濃の善光寺、五っは出雲の大社、六っ村々鎮守様、七つ成田の不動さん、八つ山田の八幡さん、九つ高野の弘法さん。十ぉは東京本願寺これほど信心していても、浪子の病は治らない。汽車と汽車とのすれ違い・・・なみちゃんま白いハンカチをふりふりながらねぇあなたはあやく帰って頂戴ね・・・ないて血を吐く不如帰。
  ・・・は記憶にない。、汽車以下が徳富蘆花の小説「不如帰」に由来すると分かったのも、数え唄の意味が理解できたのも、おとなになってからである。

 海上の森を歩くようになって、ホトトギスの鳴き声を聴くようになったときから「ないて血を吐く不如帰」がとても不思議になった。「キョッキョ、キョ、キョ、キョ」と含んだような声で、けして大声ではない。鳴きだすと暫く鳴いているし、飛びながら鳴くこともあるが、血を吐くイメージはない。またヨシキリ類のように口の中がまっ赤ということもない。

 ホトトギスはカッコウ科の夏鳥で、ウグイスに托卵する。同じ仲間にカッコウ、ツツドリ、ジュウイチがいて、ホトトギスが一番人里に近いところに飛来する。だから、カッコウ科の中で古来から文学に登場するのであろう。カッコウもツツドリもジュウイチも鳴き声は特徴があり、清少納言が聴いていたら枕草子に書いてたと思っている。
 因みにツツドリは筒を打ったようにポッ、ポッ、ポッと鳴き、ジュウイチは名のとおりジュウイチと鳴く。

 長くなったが、ないて血を吐くホトトギスは、日本の民話や中国の故事に由来するという記事がネットにあった。兄弟のどちらかが、勘違いから、相手を殺してしまい、後悔しきれなほど泣いて、とうとうホトトギスになってしまったという内容っである。
 観察していてこんな悲劇性を帯びた鳥とは、いま一つ納得できないのは感じ方の違いか。

郭公声横たふや水の上             芭蕉
名のれ名のれ雨しのはらのほととぎす     蕪村
時鳥小舟もつういつうい哉            一茶
ほととぎすあすはあの山こえて行こう      種田山頭火
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荻原俳句教室より    遅足

2009年06月04日 | Weblog
昨日の天気はどんより。
あじさい日和といった感じでした。
宿題のひとつは「紫陽花」
「四葩(よひら)」(額の数が4ということから)
「七変化」(色が変わることから)とも言います。
公園や庭など人間の生活圏のなかで
咲いていることが多いようです。
シーボルトの妻の名が学名となっていますが、
そのことを詠んだ方もいました。

  

あじさい寺行き交う傘の会釈かな   狗子さん

先生のコメント
すれ違う傘同士が挨拶を交わす。場所も、あじさい寺。
イメージが的確に捉えられている良い句。
傘という文字には、人が隠れている。
会釈という言葉も、仏教の和会通釈から、にこやかに頷く意に。
文字のイメージも句に良い効果を。

あじさいはピアノの音に濡れている  遅足

先生のコメント
ピアノの音が半分聞こえてくる。
ピアノといえば音は連想されるので、いらない。
その代わりに、ピアノを誰が弾いているのか?
あるいはピアノの音がする時間帯は?
具体的なことを入れると、音ははっきりと聞こえてくる。

あじさいは母のピアノに濡れている

あじさいは夜のピアノに濡れている

(なるほど!)

   

こんな添削もありました。

  紫陽花を植えかえて待つ三千院

  植えかえて紫陽花の待つ三千院

(魔法みたい!?)

  

もうひとつの宿題は「夏の食べ物」でした。

キーンときて会話のとまるかき氷  晴代さん

先生のコメント
とまる、より、とぎれる、の方が良いのでは?
会話、はどうか?ということですが、良いのでは。

キーンときて会話とぎれるかき氷

(晴代さんは、どういうかき氷を食べたのでしょうか?)

   

転生のバナナが皮になっている  遅足

先生のコメント
転生というテーマがどうでしょうか?
大きすぎると思います。
いま、この時間のなかで、ババナが皮になっている
状態を詠んだほうが良いのでは。

バナナ剥くバナナが皮になっている

   

バナナは夏の季語で、虚子にバナナの皮の句がありました。

  川を見るバナナの皮は手より落ち

次回の宿題は「六月」と「梅雨」です。



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