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【一口紹介】
■メタローグ■
明治30年代、西欧化の道を突き進んだ日本人は、一方で深刻なアイデンティティークライシスに陥る。
ここまで西欧の真似をする日本とは何なのか。
それを受け入れている自分とは何者なのか――。
武士の子に生まれキリスト教に帰依した内村鑑三(1861-1930)は、この危機を真摯に生きた。
英文で発表され、各国で翻訳された本書は、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人という5人の偉人の生涯を紹介しながら、日本的な道徳や倫理の美しさを切々と説く。
自分はイエスキリストに従う者である。と同時に金銭に対する執着や狡猾な駆け引きを嫌うサムライの子である。
明治の精神が生んだ真の啓蒙書。(宮川匡司)
『ことし読む本いち押しガイド2000』 Copyright© メタローグ. All rights reserved.
■出版社/著者からの内容紹介■
内村鑑三(一八六一―一九三〇)は,「代表的日本人」として西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮の五人をあげ,その生涯を叙述する.
日清戦争の始まった一八九四年に書かれた本書は岡倉天心『茶の本』,新渡戸稲造『武士道』と共に,日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した代表的な著作である.読みやすい新訳.
■内容(「BOOK」データベースより)■
新渡戸稲造『武士道』、岡倉天心『茶の本』と並ぶ、日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した代表的な著作。内村鑑三(1861‐1930)が、奔流のように押し寄せる西欧文化の中で、どのような日本人として生きるべきかを模索した書。新たな訳による新版。
■内容(「MARC」データベースより)■
「私どもにありがちな無批判な忠誠心や血なまぐさい愛国心とは別のもの」である日本人の長所について、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の五人をあげて、世界に向かって解説した書。
【読んだ理由】
以前から気になっていた本。
【印象に残った一行】
『宗教は人間の最大関心事であります。正確に言うならば、宗教のない人間は考えられません。私どもは、自分の能力をはるかにこえる願いごとをもち、世の与えうるよりも、はるかに多くのもを望むという、妙な存在なのです。この矛盾を取り除くためには、行動はともかく、少なくとも思想の面でなにかをしなけれななりません。』
【コメント】
本書にこめられた主題を要約すると
1.西洋のキリスト教徒に伍し、優るとも劣らぬ日本人のいたことを紹介しようとしている。
2.とりあげた人物の歴史的人物像の忠実な描写というよりも、内村の理解したキリスト教的人物像が 投射され、いわば独自の宗教的人間像が創出されている。
3.執筆当時の時代的状況が強く反映し、色濃いナショナリズムがみられる。
4.近代の西洋文明と、それを安易に受容した近代日本文明への批判になっている。
5.キリスト教を受容した日本人である内村自身の、アイデンティティの確立が図られている。

