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【一口紹介】
■Amazon.co.jp■
主人公の城所安男は、自分の会社をつぶしてしまい、いまや別れた妻子への仕送りもままならぬほど落ちぶれた中年男。
ある日、心臓病で入院する母を見舞った安男は、主治医から病状の深刻さを告げられ愕然とする。
そのまま治療を続けても母の余命はごくわずか。
残された道はただひとつ、謎の天才外科医にバイパス手術を施してもらうこと。
衰弱した母をワゴン車に乗せた安男は、房総のひなびた漁村にあるカトリック系病院目指して、100マイルの道のりをひた走る。はたしてその先に奇跡は待っているのか――。
年老いた親の介護や終末医療というテーマはきわめて現代的で、自らの身の上と重ね合わせずに本書を読み進めることはまず不可能にちがいない。
そして、それぞれに成功者となり、老母とのかかわりを避けようとする主人公の兄たちの冷淡ぶりに怒りが込み上げてくる。
だが一方で、その兄たちの姿がそのまま、読む者自身を写し出す鏡であることにも気づかざるを得ない。
そんな恐ろしい一面を隠し持つ作品でもある。
また、特筆すべきは安男の同棲相手のマリだろう。
「ブスでデブ」を自認するホステスのマリは、不幸な生い立ちにもかかわらず底抜けに明るく、安男に惜しみない愛情を注ぐ。
この上なくリアルなキャラクターでありながら、同時に、男にとっての理想の女に描かれていることは驚きに値する。
本書をせつない男女の恋物語たらしめている名脇役に、ぜひ注目してほしい。(西村 匠)
■内容(「BOOK」データベースより)■
バブル崩壊で会社も金も失い、妻子とも別れたろくでなしの中年男城所安男。
心臓病を患う母の命を救うため、天才的な心臓外科医がいるというサン・マルコ病院めざし、奇跡を信じて百マイルをひたすらに駆ける―親子の切ない情愛、男女の哀しい恋模様を描く、感動の物語。
■内容(「MARC」データベースより)■
会社も金も失い、妻子とも別れたろくでなしの中年男が、年老いた母の命を救うため、「奇跡」を信じて百マイルをひたすら駆ける…。
親子の切ない情愛、男女の哀しい恋模様を描く。
【読んだ理由】
知人に奨められて。
【印象に残った一行】
『おかあちゃんが死んじゃえば、子供のころの苦労をみんな忘れられるもの。人間って、案外そういうものだよ。けっして薄情なわけじゃないんだ。高男も優子も秀男も、ものすごく頑張った。頑張って出世した。あの子たちのまわりにはね、子供のころからずっと幸せだった人ばかりがいると思うの。だからね、だから、おかちゃんのことはもう忘れていい。石神井のアパート暮らしていたころのこととか、貧乏したこととか、新聞配達とか、頭さげて奨学金をもらったこととか、そんなことはみんな忘れればいいの』
【コメント】
離婚してからの二年間物心両面で主人公安男を支え続けたマリの無償の愛・哀しい愛に心打たれた。

