京都二十四節気 その十七 寒露
露が凍りそうになる頃 新暦十月八日~十月二十三日(頃)
十三夜(寒露の自然)

秋のお月見は、十五夜だけではありません。約1ヵ月後の十三夜にも月を愛でる風習があり、「後の月見」と呼ばれています。十五夜は中国から伝わったため、日本では秋の長雨と重なることが少なくありません。十三夜は日本固有の風習なので、晴れてきれいに見えることが多く、平安時代には、宇多天皇から「無双の月」と賞されました。十五夜と十三夜のどちらか一方だけ月見をすることは「片見月」といわれ、昔から縁起が悪いとされています。十三夜は、栗や枝豆をお供えするので、別名「栗名月」「豆名月」とも呼ばれます。
ゑびす講(寒露の生活)

商いの神・ゑびす神に、商売繁盛と家運隆盛を祈る風習で、毎年10月20日に行われます。江戸時代、江戸へ行商に出かけた京の商人は、この日、京に帰り、旅の無事と商売の繁盛をゑびす神に感謝しました。これがゑびす講の始まりです。大黒天(大国主命)も一緒に祀られることがありますが、これはゑびす神が大国主命の子の事代主神であるという説があり、ともに商いに福をもたらす神として、一組で信仰されることがあるためです。商売上の駆け引きで客を欺いた罪を祓う「誓文払い」や懺悔の意味を込めた「大安売り」も行われます。...
コンセプト
四季のある国、日本。
桜が咲くこと、雨が降ること、紅葉が散ること、そして雪が降ること。
日本人は、その美しい自然の変化を、つい百年前まで、二十四の季節に分け見つめてきました。
私たち日本人が使ってきた旧暦の中では二十四の季節に沿った年中行事や風習と共に、風雅な暮らしを楽しむ工夫や知恵がありました。
それと同時に、永遠にめぐる四季の中で移ろい変わっていくものと、その変化の裏にある不変のものを感じとってきたのです。
新しいものがあふれていく現代社会のなかで古くから日本にある伝統を見つめなおすことそれは、移ろう季節のなかから不変のものをみつけだすことと似ています。
ますます季節感が失われていくなかで、二十四節気の暦をつうじて自然の変化を敏感に感じとれる繊細な感性と伝統の素晴らしさとそれとともにある大切な文化を伝えていきたいと思います。
その四季折々の美しさに触れるとき、自然のなかから生まれてくるこの国の美しさを改めて見つめ、「美」と「伝統」にめぐり逢える誇りとよろこびを共にしていきたいと思います。