
【原文】
子曰、賢哉囘也、一箪食、一瓢飮、在陋巷、人不堪其憂、囘也不改其樂、賢哉囘也、
【読み下し】
子の曰わく、賢なるかな回や。一箪の食(し)、一瓢(びょう)の飲、陋巷(ろうこう)に在り。人は其の憂いに堪えず、回や其の楽しみを改めず。賢なるかな回や。
【通釈】
先生が言われた。「偉いもんだね、回は。竹のわりご一杯の飯とひさごのお椀一杯の飲み物で狭い路地の暮らしだ。他人ならその辛さに堪えられないだろうが、回は[そうした貧窮の中でも]自分の楽しみを改めようとはしない。偉いものだね、回は。」
【English】
The Master said, "Admirable indeed was the virtue of Hui! With a single bamboo dish of rice, a single gourd dish of drink, and living in his mean narrow lane, while others could not have endured the
distress, he did not allow his joy to be affected by it. Admirable indeed was the virtue of Hui!"
『論語』とは、読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。