(よくわかりませんが、ウクライナとロシアの兄弟関係を記念したモニュメントのようです。今もこうしたものがあるのだろうか?とも考えたのですが、親欧米のユーシェンコ大統領に対し、ウクライナ国内には親露派も多いと聞きます “flickr”より By tgraham
http://www.flickr.com/photos/tgraham/2702255576/)
(引越し、業務引継ぎ等でここしばらくは大忙しのため、気になった記事を簡単に紹介するだけにします。)
ロシアのプーチン首相は「ウクライナが欧州向けガスを抜き取っている」として、ウクライナ経由のガス供給削減を指示していましたが、ウクライナ国営天然ガス企業ナフトガスは7日、ロシア側がウクライナ領内のパイプラインを経由した欧州向けのガス供給を完全停止したと表明しました。
EUはガス輸入の4分の1をロシアに依存し、うち全体の2割にあたる8割がウクライナを経由しています。
今回の価格交渉決裂・ウクライナ経由ガス停止で、EU加盟国27カ国のうち、17カ国に影響が広がっています。
特に、オーストリア、チェコ、ルーマニア、スロバキアなど少なくとも11カ国でロシア産ガスの供給が完全停止となっています。なお、ロシアはベラルーシや黒海経由のガス供給は増量して対応しているとしています。
ガス供給量大幅低下の影響は独、仏、伊にも及んでいますが、06年のロシアとウクライナの同様のガス紛争の反省から3カ国ではそれぞれ数週間~40日間分のガス備蓄があり、今のところ大きな影響は出ていないようです。
ロシアとウクライナのガス価格交渉のトラブルは今に始まった話ではありませんが、背景としては、NATO加盟を急ぐウクライナに対するロシアの牽制、ロシアの周辺国支配意欲に対するウクライナの不信感があることは、連日報じられているところです。
ウクライナの場合、かつてのオレンジ革命の同志であるユーシェンコ大統領とティモシェンコ首相の間で政治的確執があり、ガス交渉を更に困難にしているようです。
いろんな意見のなかには、プーチン首相の周辺の権益が関与しているという見方もあります。
****天然ガス紛争:原因「露首相周辺の権益に抵触」…露専門家*****
ロシアとウクライナの「ガス紛争」は欧州諸国にも波及し、深刻さを増している。両国の思惑や対立の背景について、ロシアのエネルギー問題専門誌「ロスエネルギー」のミハイル・クルチーヒン編集長に聞いた。【モスクワ大前仁】
--ロシアとウクライナの天然ガス供給をめぐる交渉が決裂した理由は?
ウクライナ側は交渉で、ロシア政府系天然ガス独占企業ガスプロムの周囲に存在する幾つもの不透明な仲介企業を排除するよう求めた。しかし、ガスプロムとこれらの仲介企業は、プーチン首相の周辺が租税回避先として利用しており、ウクライナの要求は機微に触れる格好となった。ガスプロムは仲介業者を排除するのならば、ウクライナが従来の割安な価格でなく、欧州並みの価格を支払うべきだと通告し、交渉が暗礁に乗り上げた。
--ロシアがウクライナへのガス供給を停止したのは、グルジア紛争でロシアを批判したウクライナのユーシェンコ政権に圧力をかける思惑もあったのか?
そう思わない。仲介企業を排除しろというウクライナの要求が、プーチン首相周辺の金銭的な権益に抵触したため、ガスプロムが迅速に動いたといえる。
--両国とも当初は欧州向けの天然ガス供給を保証すると強調していたが、実際は供給の停止や低下が起きている。
ウクライナが欧州向けのパイプラインからガスを抜き取っていると思われる。一方、ロシアが契約通りの分量のガスを欧州へ送っているのかどうかを確認することも難しい。
ロシアは今回、ウクライナ経由のパイプラインの国際的な信用を低下させ、ノルド・ストリーム(ロシアからバルト海経由でドイツを結ぶ)やサウス・ストリーム(ロシアから黒海経由でバルカン半島を結ぶ)など、ウクライナを迂回(うかい)する新パイプライン計画をアピールする狙いがあるのかもしれない。【1月7日 毎日】
************************
“プーチン首相の周辺が租税回避先として利用している仲介企業”の存在が、どれだけ影響しているのかは、さだかではありません。
さだかではありませんが、ロシア最大の権益に多くの関係者が群がっているであろうことは、想像に難くないところです。
まあ、国内の話なら、この種の話の信憑性はある程度推測することもできるでしょうが、なにぶんロシアの話ですから。
いずれにしても、氷点下10~20度の厳冬期を迎えるEU諸国にとっては大迷惑な話で、ウクライナのNATO加盟にも影響しそうです。まあ、それはロシアの期待するところでもある訳でしょうが。