(フランス 辞任することになったダチ法相 父親の名を明かさずシングルマザーとなり、出産5日で職務復帰 “flickr”より By phnk
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1月15日ブログ「フランス 出生率が2を越える その背景にあるものは」でも触れたように、人々の結婚観・家族観は時代とともに変化しますので、少子化対策などはそうした意識変化を踏まえてなされるべきものです。
【帝王切開出産からわずか5日で職場に復帰・・・で辞任】
ところで、いささかゴシップ話になりますが、そのフランスで最も有名なシングルマザーになったダチ法相が辞任することになりました。
独身で、私生活上のパートナーも明らかにしなかったため、世間のうわさになっていたフランスのラシダ・ダチ法相(43)、昨年9月、妊娠が公になった際に「マスコミに話すことができるのは、わたしの私生活は込み入っているということだけ」と表明し、その後も職務を続けていました。
問題になったのは、シングルマザーになったことや、父親の名前を明かさなかったことよりも、その早すぎる職務復帰にあったとか。
帝王切開による出産からわずか5日で職場に復帰したダチ法相ですが、出産休暇を守らなかったことに対し、女性団体や人権運動団体などでは、「ダチはワンダーウーマンか。今後、企業主らが女性の出産休暇の使用を圧迫するとき、法相の事例が用いられる可能性が高い」との批判が高まっていました。
伝統的価値観を擁護する側からも、女性権利を擁護する側からも支持を失い・・・ということでしょうか?
まあ、政治家の人事問題ですから、他にもいろんな要素が絡んでいることも想像されます。
いずれにしても、日本なら、独身で妊娠し父親の名前を明かさない・・・その段階でアウトでしょう。
【イギリス 非婚増加】
フランスでは新生児の52%が婚外子”ですが、対岸のイギリスでも似たような動向が見られています。
****英国の既婚者、1年以内に少数派に 景気悪化の影響も****
英国では、結婚を選ばない人が増えており、結婚しているカップルは2010年までに少数派になってしまう――。英メディアが23日、英統計局(ONS)による世帯調査の結果を基に報じた。
ONSによると、結婚の登録をしている人の割合は、1998年は59%だったのに対し、2007年は51%だったという。
英デーリー・テレグラフ紙は、結婚が減少傾向になっている背景の1つとして、景気の減速があるとしている。同紙は、カップルたちは経済的に厳しい状況におかれ、一般的には多額の費用を必要とする結婚式を延期していると指摘している。
世帯調査からは、カップルたちが結婚せずに同居することを選ぶことが多い傾向にあることも明らかになった。交際相手の男性と一緒に暮らしている未婚女性の割合は、1979-2007年の間で3倍に拡大したという。また、結婚していない女性のうち約半数に子どもがいるという。【1月24日 AFP
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【日本 意識にゆらぎ】
日本は・・・と言うと、少し事情が異なるかもしれません。
大筋としては、伝統的な結婚感・家族観が変化してきていましたが、最近は結婚・家庭を重視する伝統的価値観への回帰みたいな動きも若い人達の間に見られます。
世相を見ていてもそんな感じを受けますが、以前もとりあげた「第13回出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)にその傾向があらわれています。
前回調査まで減少していた「生涯独身という生き方」をよくないと考える割合は、13回調査では増加しています。
前回までみられた「同棲より結婚」の支持割合の減少も、「婚前の性交渉はかまわない」の支持割合の増加も、13回調査ではみられません。
「離婚をよくない」と考える割合は1992~97年の間で大きく減少しました、その後は変化がみられません。
「結婚しても自分の目標を持つべき」への支持は前回まで増加していましたが、13回調査ではそれがみられません。
「結婚したら自分の生き方を犠牲にするのは当然だ」という考え方は、1992年から1997年の間に減った後、増加に転じています。【07年6月8日ブログより再録】
この調査は05年6月に実施されたものです。
昨今の経済状況等を反映して、人々の意識がどのように変わったのか、変わらないのか、興味が持たれます。