孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

タイ、ミャンマー難民を海上放置死 ソマリア難民、イエメン沖で座礁

2009-01-19 20:56:20 | 世相

(ミャンマー難民ロヒンギャの少女 バングラデシュの難民キャンプで
“flickr”より By Austcare - World Humanitarian Aid
http://www.flickr.com/photos/austcare/2777410962/

昨日・今日で目についたニュースというと、タイの難民海上放置死の問題。
詳細はわからないところがありますが、衝撃的な内容です。

****タイ当局 移民300人放置死か ミャンマー人縛り船上に*****
不法に入国しようとしたミャンマー人に対し、タイの沿岸警備当局が手を縛るなどして船上に放置し、約300人が死亡した疑惑が浮上した。タイの英字紙バンコク・ポストなどが18日伝えた。タイ外務省は調査を開始しており、重大な人権侵害事件に発展する可能性がある。
この疑惑以外にもミャンマー人に対する人権侵害が指摘されており、こうした対応がタイ警備当局で定着していた疑いも出ている。

同紙によると、タイ海軍など沿岸警備当局は昨年12月、アンダマン海でミャンマーの少数民族「ロヒンギャ」412人を乗せた船舶を摘発。しかし、保護しないまま不法移民として手を縛るなどし、エンジンのない別の船舶に乗り換えさせた上で、海上に放置した疑いが持たれている。船舶は15日以上漂流し、インド領内で同国の沿岸警備隊に保護されたが、生存者は107人だったという。

このほかにもタイの警備当局が昨年12月末、ミャンマーからの出稼ぎ労働者らをボートで沖合に連れ出して放置したり、英国のBBCテレビによると、海軍が不法移民摘発の際、沿岸の島で暴行を加えた疑いも出ている。
ロヒンギャは、軍政の迫害を受けて1990年代から隣国のバングラデシュに逃れるケースが続出。多くが、その後に仕事を求めてタイやマレーシアを目指している。【1月19日 産経】
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別の記事によれば、“タイ海軍は「事実と異なる」と否定。タイ外務省は17日、調査の開始を明らかにしたが、「不法移民については人権に配慮しながら国内法に基づき対処している」などとする声明を出した”【1月18日 朝日】とのことです。
また、“数日分の食料や水しか与えず、手などを縛ったまま、船に乗せて海上に放置”【1月18日 共同】
本当に上記記事のとおりなら、殆ど殺人行為と言ってもよいかと思います。

ロヒンギャはミャンマー西部に居住するイスラム教少数民族で、多数派の仏教徒と対立関係にあり、軍政によって弾圧されていると言われており、バングラデシュやタイへ難民として逃げて暮らしています。
バングラデシュでのロヒンギャ難民については、12月26日ブログ「非合法キャンプで暮らすミャンマー難民」で取り上げたところです。
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20081226

また、難民を受け入れる国も大変なのは事実で、その負担を軽減することもあって、タイのミャンマー難民について日本政府が第三国定住を受け入れることを決定したことも紹介しました。
(12月20日 「第三国定住受け入れ ミャンマー難民30人程度」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20081220

難民を殆ど受け入れていない日本に今回事件をとやかく言う資格があるかは疑問ですが、難民の置かれている立場を明らかにした事件でもあります。

ときおりニュースになる難民に、無政府状態のソマリアから対岸のイエメンに脱出する難民の話題があります。
悪質な仲介業者によって海上で追加費用を要求され払わないと海に投げ込まれる・・・といった類の、これも悲惨なものです。

そのソマリア難民についても最近また報じられていました。

****座礁:イエメン沖で数百人不明か ソマリア難民乗せた船****
AP通信によると、イエメン沖で17日、アフリカ東部ソマリアからの難民を乗せた船3隻が荒天のために相次いで座礁した。計約400人が乗っていたとみられ、イエメンの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)当局者は、数百人が行方不明で多数が死亡した可能性があると述べた。
同当局者によると、紅海沖で計300人を乗せた2隻が座礁、うち約30人は救助されたが、少なくとも十数人の遺体がイエメンの海岸に打ち上げられているという。
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【命の軽さ】
今回事件は荒天による事故ですが、ソマリア難民にしてもミャンマー難民にしても、いとも“簡単”に、数百人単位の命が失われていきます。
日本や欧米で数十人の死傷者が出る事故があれば大騒ぎになりますが、ソマリアやミャンマーなどでは、日常的に大勢が死んでいきます。

こうした現実に対し何もすることができないのが実際のところですが、少なくとも、こうした国々における命の軽さを、そうした世界が自分たちの世界と並存していることを知るべきでしょう。
コメント
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