孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

政治指導者の動向  金総書記 カストロ前議長 チャベス大統領 ヌクンダ将軍

2009-01-24 12:47:41 | 国際情勢

(かつてのカストロ そのカストロを熱く見つめるのが生涯のパートナーとも呼ぶべきセリア・サンチェス(1980年死亡)
“flickr”より By Wisconsin Historical Society
http://www.flickr.com/photos/whsimages/977271002/)

【金総書記 健在アピール】
中国国営新華社通信は23日、北朝鮮を訪問中の王家瑞中国共産党対外連絡部長が、金正日総書記と平壌で会談したと報じ、同日、中朝双方のメディアが会談の写真を公開しました。
金総書記が外国高官と会談するのは昨年6月に訪朝した習近平・中国国家副主席以来で、前年8月に金総書記が脳卒中で倒れたとの報道があってからは初めてです。
一部には“頭髪が薄くなり、力のない表情の写真もあった”【1月24日 朝日】ようですが、とりあえずは健康悪化説を払拭し、金総書記が現在も北朝鮮の実権を握っており核開発問題で決断を下す立場にあることを示す証拠と考えられています。

【カストロ 「誰もわたしの健康状態や死に束縛されるべきでない」】
同時期、もう一人の健康悪化が懸念されていたリーダーの動向が報じられました。

****カストロ前議長、2か月ぶりに写真公開 アルゼンチン大統領と*****
キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長がアルゼンチンのクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領と会談した際の写真が23日、アルゼンチンのC5Nテレビで公開された。
アルゼンチンの国営通信TELAMによると、この写真は21日に行われた正式会談で撮影されたもの。カストロ前議長の最新写真が公開されるのは、前年11月18日以来約2か月ぶり。フェルナンデス大統領によると、カストロ前議長は元気そうで、国際情勢について意見を交わしたという。【1月23日 AFP】
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カストロ健康悪化の風評が広がるきっかけは、盟友であるベネズエラのチャベス大統領が「前議長は二度と公衆の面前に現れないだろう」と発言したことでした。
今回発表された写真では長いあごひげと鋭い眼光は相変わらずで、容体異変説はこちらも一応打ち消されました。
もっとも、政府系ウェブサイトに寄せたコラムで「(世界のさまざまな)出来事についての情報を得る特権を享受できることは期待しない」と、遠くない死を覚悟している様子を窺わせているとか。

北朝鮮の金総書記とは異なり、カストロの場合はすでに権限を弟のラウル・カストロに譲っており、キューバ社会の変革も進められていますので、カストロ前議長の動向は直接的な政治的影響というよりは、一時代の象徴としての意味合いが強いと思われます。
もっとも、“キューバ社会の変革”へのいろんな影響はあるでしょう。
カストロはコラムで「わたしは元気だが、誰もわたしの健康状態や死に束縛されるべきでない」と語っています。

【チャベス大統領の正念場】
一方、その動向による直接的な政治的影響が考えられるのは、カストロ健康悪化説のきっかけとなったベネズエラ・チャベス大統領のほうです。
ベネズエラ全国選挙評議会のルセナ委員長は16日、反米急進左派チャベス大統領が求める大統領再選規定撤廃のための憲法改正案の是非を問う国民投票を2月15日に実施すると言明しました。

****敗北なら任期末で退陣=多選容認の国民投票-ベネズエラ大統領****
南米ベネズエラのチャベス大統領は22日、再選制限撤廃を目指した憲法改正案の是非を問う2月の国民投票について、否決されれば任期満了の2013年に退任する意向を示した。
反米左派のチャベス氏は07年12月にも、再選規定の撤廃や任期延長を盛り込んだ改憲案を掲げ国民投票を実施したが、小差で否決された。「21世紀の社会主義」実現に向け、なりふり構わず長期政権への意欲を見せるが、事前の世論調査では今回の国民投票でも苦戦が予想されている。【1月23日 時事】
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石油収入を背景とした広範な財政支援で貧困層など一部国民に人気がある大統領ですが、その強権的政治手法、極端な反米姿勢など、疎まれている向きもあり、今回の投票結果が注目されます。
前回国民投票での敗北までは、選挙での絶対的強さを誇ってきたチャベス大統領ですが、今回のリターンマッチはどうでしょうか?
かつて、選挙において反チャベスに投票した者に対する“報復”もあったようですが、国民の自由な意思表示が担保される選挙となるでしょうか。

結果次第では、アメリカ・オバマ政権誕生と相まって、反米・左傾化が進んできたラテンアメリカの国際関係が大きく変わる可能性があります。

【注目されるヌクンダ将軍の処遇】
話は全く変わりますが、昨日のブログ「ルワンダの虐殺から十余年、隣国コンゴで続くフツ・ツチの抗争」で、コンゴの反政府勢力「人民防衛国民会議(CNDP)」、その指導者ヌクンダ将軍の動向について“今現在、どういう状況になっているのか、私はよく把握していません。”と書きましたが、アップして数時間後にヌクンダ将軍が拘束されたとの記事が入りました。

****コンゴ反政府勢力のヌクンダ司令官、隣国ルワンダで拘束****
コンゴ(旧ザイール)の反政府勢力「人民防衛国民会議(CNDP)」を率いるローラン・ヌクンダ司令官が23日、隣国ルワンダで拘束された。現在は、戦争犯罪の容疑でコンゴ側への引き渡しが待たれている状態だという。
コンゴ、ルワンダ両国の当局者によると、ヌクンダ司令官は、かつて共闘したツチ系同盟勢力に離反され国境地帯に逃亡したところを、コンゴとルワンダの兵士によって拘束されたという。
匿名のルワンダ軍関係者はAFPに対し、ヌクンダ司令官はルワンダ国内の「秘密の場所」で拘束されていると語った。一方、反政府勢力の関係者によると、同司令官の拘束場所はコンゴとの国境に近いギセニーにある民家だとしている。【1月24日 AFP】
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かつて、ルワンダ・カガメ大統領は、「ヌクンダのような男は,たとえ彼でなくても,(ジェノサイドに対する)政治的な恨みを有しているのはもっともなことである.しかしながら,犯した過ちはヌクンダであろうと誰であろうと説明する義務がある」という見解を示しています。
一方で、かつてジェノサイドを起こしたとされるフツ族勢力に敵対するヌクング将軍の活動に同情的で、これを支援しているとも言われていました。
カガメ大統領が拘束したヌクング将軍をどう扱うのか関心が持たれます。

コメント
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