(フランス 29日のデモに集まった大勢の人々 “flickr”より By Nicolas DARQUÉ
http://www.flickr.com/photos/darque/3237895170/)
国際的な金融危機の影響で深刻な景気後退に陥っているフランスで29日、ゼネストが実施されました。
政府の経済政策に反発している労働総同盟(CGT)など主要労組が呼び掛けたものです。
主要労組は経済危機下の雇用維持や賃上げなどを要求の柱に据えており、民主労働連盟(CFDT)のシェレク委員長は「仏労働者は自分たちに責任のない経済危機のために賃金や雇用の不安の犠牲を払わされていると感じている」として、ストとデモにより「政府が現実的な解決策を示すよう求める」と主張しています。【1月29日 毎日】
ストには国鉄や地下鉄、バスなど公共交通機関のほか、電気、ガス、通信、郵政、教職員などの公共部門が参加。
仏国鉄の遠距離を結ぶ高速路線は4割が運休し、都市周辺の郊外電車やパリ地下鉄なども間引き運転され、29日の通勤は混乱しましたが、パリのオルリ空港ではキャンセル便は発着便の約3割で、地下鉄の75%、バス、路面電車、空港行きの交通機関も85%が通常通りに運行している・・・とのことでそれほど大きな混乱にはならなかったようです。
しかし、世論調査によると有権者の約7割が今回のストを支持しており、パリやマルセイユなど全国の主要都市で行われたデモ行進には、最大労組「フランス労働総同盟」の発表で計250万人(別の記事では100万人とも)が参加したとか。
官公労の組合員に加え、金融など民間企業の労働者も「雇用の安定」を求めて多数参加したそうです。
なお、パリ市内では、100人規模の参加者が警官隊と衝突し、1人が負傷、13人が逮捕されるような混乱もあったようです。
“パリの税務署員ジャンピエールさん(40)は「カネがないと言って人減らしをしながら、銀行救済に巨費を投じるのはおかしい」と批判。市の女性公務員マイケさん(60)は「学校で児童の心のケアを担当していた職員らまで減らされている」と危機感を募らせている。”【1月30日 時事】
このあたりの経済状況の悪化、雇用不安、公共サービスの低下はフランスだけでなく、日本も同様です。
同様ですが、日本では“抗議のゼネスト”といった事態は想像できません。
自己主張の強さという国民性の違い、社会党・労働組合の影響力が強いという政治的・社会的状況の違いもありますが、政治に対する国民のかかわり方の違いもあるようにも思えます。
日本の場合、もちろん政府への批判はありますが、デモやストをやったからといって問題が解決する訳でもない・・・という“物分りの良さ”があります。
別の見方をすると、政治は政治家が行うものといった“お上にまかせる”ような発想が強く、自分達一人ひとりが政治を動かしていくという発想に欠けるきらいもある・・・そのようにも思えます。