![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/54/3cb1c0a35e418372580f6ca36c6b1c42.jpg)
(凧揚げに興じるアフガニスタンの子供達 タリバン支配下ではこうした伝統的娯楽も禁じられました。 タリバン以外の軍閥等武装勢力も暴力で住民・女性の権利・尊厳を蹂躙しましたが、タリバンは徹底した宗教的・部族習慣的な制約で人間の存在、その精神を抑圧・圧殺しました。
“flickr”より By Michael Foley Photography
http://www.flickr.com/photos/michaelfoleyphotography/396084542/)
アフガニスタン情勢についての記事、驚きました。
パキスタン情報当局筋が共同通信に明らかにしたとのことで、他紙の報道は目にしていませんので、詳細・真偽のほどはよくわかりません。
****米、アフガン政権の7割移譲提示 水面下協議、タリバン拒絶****
アフガニスタンの停戦に向けた水面下の協議に関与したパキスタン情報当局筋は11日までに、米国側が反政府武装勢力タリバン側の政権入りを認め、閣僚や官僚など「政権の7割」を移譲することを打診したと明らかにした。同筋によると、タリバンは米軍の撤退を求め拒絶した。
タリバンの影響力が強い政権が樹立されれば、ブッシュ前米政権がタリバン政権を攻撃し、崩壊させた2001年以前に逆戻りすることになる。オバマ米政権は将来のアフガン撤退を見据えて大きく譲歩した形だが、攻勢を強めているタリバンは強気の姿勢。アフガン問題解決の難しさがあらためて浮き彫りになった。
当局筋によると、米側が提示した条件は、タリバン側が閣僚や官僚の7割を掌握し、カルザイ現政権が1割、有力政治家で構成される唯一の全国政党「国民戦線」が1割、残りを他の各グループが担う一方で、タリバンは内部から国際テロ組織アルカイダを放逐する。
米側はタリバン関係者のほか、タリバンと協力関係にある武装勢力「ヒズブ・イスラミ」を率いるヘクマティアル元首相の関係者とも協議。今年に入り、米政府代理人らが出席し、英ロンドン、リビア、サウジアラビアで協議は少なくとも3回開かれた。【4月11日 共同】
************************
タリバンの攻勢によってアメリカのアフガニスタン戦略が非常に厳しいことは周知のところですが、先日オバマ大統領が、6万人規模への駐留米軍増派と民生支援拡充、多国間の協力枠組み構築を一体的に進める包括的新戦略を打ち出したばかりです。
新政権への穏健派タリバン勢力の参加というのは模索されているとは思っていましたが、“閣僚や官僚など「政権の7割」を移譲”というのは、“本当かね・・・?”といった感じです。
7割を移譲すれば恐らくその後は実質的に殆どをタリバン側が掌握する体制になる、全面的移譲に近い内容ではないでしょうか。
こういう案でしか出口が探せないというのは、“いよいよ追い込まれたのかな・・・”との感があります。
そしてその案すらタリバン側が拒否するというのは、今後の展開への自信でしょうか。
タリバン側は最高指導者オマル師も参加して三月中旬に幹部会議を開いて提案を検討しましたが、これまで同様“米軍撤退”要求を貫くことで一致したそうです。
殆ど表に出てこないオマル師は一体どこに、どういう形で潜んでいるのでしょうか?
“2006年初頭にアフガニスタン国軍により拘束されたタリバンのムハマド・ハニーフ報道官の供述に拠れば、オマルは現在パキスタン軍の保護下にあり、パキスタン国内の安全な場所に滞在しているという。”【ウィキペディア】とも言われていますが、パキスタンの内情を含めよくわからない世界です。
それにしても“カルザイ現政権が1割”とは・・・、いろいろ汚職等の問題が多いカルザイ政権ではありますが、カルザイ大統領はこうした交渉を了承しているのでしょうか?
また、“残りを他の各グループが担う”とのことですが、それで収まるのでしょうか?
かつての軍閥勢力が現在どのような状況にあるのか知りませんが、再び内戦へという懸念はないのでしょうか?
まあ、アメリカですら押さえ切れなかったタリバンですから、多少の抵抗があっても敵ではないのかもしれませんが。
なお、昨年伊藤和也さんを拉致した犯人は「ヒズブ・イスラミ」のメンバーであったと言われています。
“ヒズブ・イスラミとは、ソ連軍と戦ったムジャヒディン(イスラム戦士団)各派のひとつで、指導者のグルブッディン・ヘクマティアルは、1989年のソ連軍撤退後カブールに成立した連立政府の首相だった人物だ。ヘクマティアルは1998年にタリバンが全土掌握した頃から国外に亡命していたが、タリバン政権崩壊後は帰国してヒズブ・イスラミの活動を再開させていたという。アフガン情報筋によると、タリバンとヒズブ・イスラミは米国に支えられたカルザイ政権打倒を共通の目標に掲げ、共闘関係にあるという。両者ともアフガニスタンとパキスタンの国境沿いに古くから住むパシュトゥン人部族集団を基盤にしている”【08.9.26 伊藤力司 リベラル21】
いくつもの“???”が伴う話ですが、仮にタリバン政権復活やむなしということであれば、一番気懸かりなのは、女性問題にみられるような人権に関する価値観の違いです。