孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イスラエル  ネタニヤフ首相、アッバス議長と電話協議

2009-04-13 22:43:01 | 国際情勢

(今年1月、イスラエル・テルアビブ大学 ガザでの戦争に反対する集会の様子
イスラエルにも当然いろんな考えの人々がいます。 リーベルマン外相を支持する人々も、ガザ侵攻に反対する人々も
“flickr”より By yairmlll
http://www.flickr.com/photos/70308638@N00/3210405403/)

【「和平実現の努力を継続する・・・」】
イスラエルでネタニヤフ首相の右派政権が誕生したことで、中東和平の先行きに懸念が生じていることは、4月3日ブログでも取り上げました。
ネタニヤフ首相はイスラエル・パレスチナの2国家併存案支持を明言しておらず、「エルサレムの帰属とか入植地からの撤退という問題からではなく、パレスチナの経済発展と(イスラエルに危害を加えることがないように)治安部隊の強化・安全保障の確立から着手すべき」という考えと言われています。

ただ、ネタニヤフ首相としても、あからさまに中東和平に背をむけることは国際世論を敵にまわすことにもなりますし、前回首相を務めたときのように、最大のスポンサーであるアメリカとの関係を損なうことにもなります。
そういうこともあって、一応は“それなり”の姿勢は見せてはいるようです。

****イスラエル:首相がパレスチナ議長と電話協議****
イスラエルのネタニヤフ首相は12日、3月末の政権発足後初めてパレスチナ自治政府のアッバス議長と電話協議し、和平交渉の促進に向け緊密に協力すると述べた。
イスラエル、パレスチナの「2国共存」案に消極的とされるネタニヤフ氏だが、13日から始まるミッチェル米中東特使の中東歴訪や近く予定されるムバラク・エジプト大統領との首脳会談を前に、一定の柔軟姿勢を演出したと見られる。

イスラエル首相府によると、アッバス氏が電話をかけてユダヤ教徒の休日「過ぎ越し祭」を祝い、和平実現への取り組みを呼びかけた。ネタニヤフ氏は過去の「協力や議論」に言及、和平実現の努力を継続すると語った。
米露や欧州連合(EU)、国連が求めている2国共存案に対し、新政権の外相で極右政党わが家イスラエルのリーベルマン党首は、反対を表明したことがある。パレスチナ側は、和平交渉再開の条件に同案の支持を求めており、両者の隔たりは依然大きい。【4月13日 毎日】
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記事にもあるように、ムバラク・エジプト大統領との首脳会談も予定されています。
ムバラク大統領としては、いささか困惑しつつも、イスラエル側の姿勢を確認しようというところのようです。

****エジプト大統領:イスラエル首相との首脳会談受け入れ*****
エジプトのムバラク大統領は6日、イスラエルのネタニヤフ新首相にエジプトでの首脳会談を申し入れ、ネタニヤフ首相も受け入れた。イスラエル政府が発表した。
ネタニヤフ氏はパレスチナとの和平促進に消極的との観測が強まる中、ムバラク氏は直接相手の姿勢を確認するとともに、和平協議の停滞を防ぐ意図があるとみられる。(中略)
エジプト側は、ネタニヤフ新政権の発足は和平の一層の停滞を招くと警戒していた。
首相自身がイスラエルとパレスチナの2国家共存を明言していないうえ、アラブ系住民の事実上の排除を呼びかけ、エジプトにも批判的な極右政党わが家イスラエル党首のリーベルマン氏が外相として入閣したためだ。【4月7日 毎日】
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【「和平の障壁」】
冒頭記事でも上記記事でも問題にされているのが、外相として入閣している極右政党「わが家イスラエル」党首のリーベルマン氏の存在です。
イスラエル国内からのアラブ系住民の排斥を主張しているリーベルマン氏を外相に置くことだけでも、ネタニヤフ首相の中東和平に対する消極姿勢が感じられます。

“イスラエル政府は03年に中東和平4者協議が提示した中東和平案(ロードマップ)の原則受託を承認。
07年にアナポリスで行われた米・パレスチナ・イスラエルの3か国首脳会談では、このロードマップを再確認するとともに、パレスチナ国家を08年末までに樹立することを目指して交渉を再開するとの覚書を発表した。
しかしリーベルマン外相は就任後初の演説で、「イスラエルに履行義務がある文書は1つきりで、それはアナポリス会議の覚書ではない。ロードマップだけだ。イスラエル政府と議会は、アナポリスを一度も承認してはいない」と述べた。
この発言に、パレスチナ自治政府側は反発。リーベルマン外相は「和平の障壁」だと非難し、国際社会に対し、イスラエルに対話路線に戻るように圧力をかけるよう要請した。”【4月2日 AFP】

更に、リーベルマン外相は現行の枠組みに代わる新たな方針を示す意向であることを表明しています。

****中東和平交渉は「行き詰まり」=米大統領発言に不快感-イスラエル外相****
対アラブ強硬派のリーベルマン・イスラエル外相は7日、パレスチナ自治政府との和平交渉について「われわれは行き詰まっていることを認めなければならない」と断言した。その上で、現行の枠組みに代わる新たな方針を示す意向であることを表明した。
和平を仲介する米国のオバマ大統領は6日、トルコ国会での演説で、交渉継続の必要性を訴えていた。イスラエル紙ハーレツ(電子版)によると、同外相はこれに対し「イスラエルは他者の領域に足を踏み入れない。同じことを望む」と述べ、オバマ大統領が干渉しているとして露骨な不快感を示した。【4月7日 毎日】
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“新たな方針”とはどういうものでしょうか?
4月3日ブログでも触れたような「第3次中東戦争以前からのイスラエル領であるワディアラ地区のアラブ人をパレスチナ自治区に移住させて、パレスチナ自治区内のイスラエル人入植地をイスラエルに併合する」といった内容でしょうか?
いずれにしても、パレスチナ側が乗れそうな案がリーベルマン外相から提示されるとはなかなか期待できません。


コメント
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