(トルクメニスタンの首都アシガバードに建つ故ニヤゾフ前大統領の黄金像
“flickr”より By martijnmunneke
http://www.flickr.com/photos/martijnmunneke/3417788960/)
【三つ巴】
トルクメニスタン・・・中央アジアの旧ソ連の国家ですが、正直なところ場所も定かではありません。
カスピ海の東岸、北がウズベキスタン、南がイラン・アフガニスタンという位置関係のようです。
普段はあまり話題にならない国ですが、天然ガス資源の話になるとにわかに国際的注目を集める国でもあります。
*****トルクメニスタン:資源争奪三つどもえ 欧米・中・露******
トルクメニスタンをめぐるパイプライン計画
カスピ海沿岸の旧ソ連のトルクメニスタンは、エネルギー開発で欧米諸国へ接近を図っており、これまで主要なガス輸出先だった「旧宗主国」ロシアと距離を置き始めている。トルクメンの豊富な天然資源を巡っては、中国も自国につながるパイプライン建設を進めており、欧米、ロシア、中国が三つどもえで争う構図が生まれている。
トルクメン政府は今月16日、ドイツのエネルギー大手RWEとの間で、カスピ海の同国沿岸部でガスの試掘と開発に関する覚書を締結した。覚書は初歩段階の協力だが、RWEが中央アジアからロシアを迂回(うかい)して欧州へつながるガスパイプライン計画「ナブッコ」に参加していることから、今後の展開が注目されている。
ナブッコは欧州連合(EU)の支援を受けているものの、トルクメンやウズベキスタンなどが資源供給に応じることが、計画の前提条件だ。そのため欧州諸国が旧ソ連諸国の資源市場に割り込みを図る格好となっている。
トルクメンのベルドイムハメドフ大統領は15日、同国を訪れた米国のバウチャー国務次官補(南アジア担当)ともエネルギー問題で協議した。席上、今月末にトルクメンで開かれる国際会議に米企業も参加する旨が国務次官補から伝えられた。
トルクメンとRWEの覚書締結を受け、ロシアのプーチン首相は16日にエネルギー担当の閣僚を呼び出し、「戦略的なパートナーと密接な関係を維持すべきだ」と指示した。
ロシアはトルクメンとの間で、今月以降の天然ガスの購入価格交渉をまとめられていない。また今月上旬、両国間のガスパイプラインで爆発が起きたが、トルクメン政府が「ロシア側がガスの受け入れを制限したことが原因」と批判する事態に発展している。
ロシアでは資源供給能力の頭打ちが顕著になっている。国内で新規ガス田を開発するまで、中央アジア産ガスを独占的に購入して補てんしながら、欧州に供給する狙いだ。
90年代に資源輸入国に転じた中国は、トルクメンからウズベク、カザフスタンを経由して自国西部へつながるガスパイプラインの建設を進めており、2011年の運用開始を目指している。しかし「トルクメンが中露両国へガスを輸出すれば、欧州に供給する余力はない」(エネルギー問題の専門家)との指摘もあり、3者の獲得競争が激化するとみられる。【4月19日 毎日】
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ロシアとの関係では、先月、パイプラインの建設に関する合意書への署名が延期されたとの報道がありました。
****ガスパイプライン建設の合意書への署名を延期=ロシアとトルクメン*****
ロシアとトルクメニスタンは25日、トルクメニスタン産天然ガスのロシアへの供給につながるトルクメン国内の東西パイプラインの建設に関する合意書への署名を延期した。
ロシアのメドベージェフ大統領とトルクメンのベルドイムハメドフ大統領がモスクワで、トルクメンからカスピ海に沿ってロシアに至るガスパイプライン(カスピ海パイプライン)およびトルクメンのガス田と接続する同国国内のパイプライン(東西パイプライン)の建設について協議していた。
トルクメン産天然ガスは東西パイプラインを通じてカスピ海パイプラインに供給され、ロシアに輸送される。東西パイプライン計画はトルクメン国内に約600キロにわたってパイプラインを建設するもので、ロシアとトルクメンは25日、同パイプラインに関する合意書に署名するとみられていた。ロシア、トルクメン、カザフスタンの3カ国首脳は2007年にカスピ海パイプランの建設で合意している。
メドベージェフ大統領の外交政策側近のセルゲイ・プリホドコ氏は東西パイプラインに関する合意書について「近く署名されることになろう」との見解を示した。同氏は「意見の相違はない。完全を期す必要がある。重要な合意書だ」と述べた。クレムリンの当局者は匿名を条件に、両首脳は6月にサンクトペテルブルクで開催される経済フォーラムの折か7月の競馬大会の折に再び会談することになろうと明らかにした。【3月26日 時事】
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冒頭記事によれば、この後ガスパイプラインで爆発事故などもあって、ややこじれているようです。
ナブッコ・パイプラインを推進するEUも、供給するガスがなくては話にもなりません。
資源をがぶ飲みしている中国も、何とか確保したい・・・。
引く手あまたのトルクメニスタンです。
【不思議な国】
この国は以前は故ニヤゾフ前大統領の独裁体制下で、鎖国的な風変わりな国家運営を行っていました。
例えば、「わが国固有の芸術でなく、国民にはわからない」などの理由でオペラやサーカスを禁止。
また、「田舎の人は字が読めないから」と地方の図書館も廃止。
一方で、数百万ドルもの大金を投じて国内各地に利用者皆無の宮殿や大統領自身の黄金像の建設しながら、国民の大半は生活に困窮している・・・そんな状況だったようです。
現在のベルドイムハメドフ大統領に代わってからは随分是正されたようで、オペラ・サーカスも解禁されましたし、大学院も復活したようです。
それでも“何だろう?”と思うようなニュースもあります。
****候補地ではないトルクメニスタン、なぜか「五輪シティ」建設へ****
世界各国が金融危機の影響で経費削減に取り組む中、中央アジアのトルクメニスタンは8日、五輪開催候補地でもないのに15億ドル(約1500億ドル)を投じて「Olympic City(五輪シティ)」を建設すると発表した。
首都アシガバートは平均気温が摂氏40度を越える過酷な環境のカラクム砂漠に位置しているが、当局によると、同市に冬季スポーツ用スタジアムが建設される見通しだ。
同国のグルバングルイ・ベルドイムハメドフ大統領が6日に、トルコの建設会社に1万人を収容できる同スタジアムの建設に同意する文書に署名したことにより、「五輪市」の建設が事実上開始されたと、観光スポーツ省当局は述べている。
トルクメニスタン当局が外国人記者にビザを発行することはめったにないが、五輪市にはプレスセンターを備えた800室のホテルも建設されるという。【4月12日 AFP】
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天然ガス収益の使い途に困っている訳ではなく、多分、何かの理由があってのことでしょうが、ちょっと不思議な国です。