シーネ・エイ(vo)の名古屋ブルーノートにおける5月16日の公演に行く予定でいたところ、その日に夜までどうしても避けられない仕事が入ってしまい出かけられなくなりました。仕方ないのですが、シーネ・エイの歌をライブで聴いてみたかっただけに、すごく残念です。その代わりというわけではありませんが、彼女のファースト・アルバムを聴いてみます。
SINNE EEG (シーネ・エイ)
SINNE EEG (Cope 2003年録音)
シーネ・エイ(vo)は、デンマークの歌手ですが、日本国内でも知名度が上がってきました。この5月10日からは、日本国内をツァーし、7都市で公演を行います。彼女は、自作曲の録音も多数行っていて、それらは、ジャズ・ヴォーカルのバラード系統といってよいですが、クラシカルな感じもありジャンル分けしにくいかもしれません。このアルバムは、最初ということもあってか、4ビートのスタンダードも収録されていて、スキャットも披露するなど多彩です。
メンバーは、シーネ・エイ(vo)、マーティン・シャック(p)、キャスパー・ヴァシュホルト(b)、ユッキス・ウオティーラ(ds)。この4人ともに北欧の出身ですが、ことにシーネ・エイの歌声やピアノのサウンドに透明感や清涼感といったものが感じ取れます。マーティン・シャック(p)には、キース・ジャレットの影響があるようですが、美しい音色で傾向の異なる各曲に的確に対応して伴奏、ソロを行っています。
曲は、スタンダードが、「How Deep is The Ocean」、「The Night Has a Thousand Eyes」(夜は千の眼を持つ)、「You Don't Know What Love Is」(あなたは恋を知らない)、「Comes Love」、「Close Your Eyes」、「Love For Sale」、ケニー・ホイーラー作曲、ジェーン・ホワイト作詞「Everybody's Song But My Own」、シーネ・エイの作詞作曲が「Silence」と「Manth of May」で全9曲。「Silence」は、静謐、哀感といったものが満ちている、いいメロディーを持った曲です。もっとも、作者自身が歌うことによって一段とそう聴こえるせいもあります。
歌、伴奏、そして新曲も充実していて、幅広い層にアピールできるアルバム。スインギーなものでは、「The Night Has a Thousand Eyes」や「Comes Love」を、バラードだと「Everydody's Song But My Own」や「Silence」を挙げます。ケニー・ホイーラー(tp)のアルバムは2枚だけ持っていましたが、「Everydody's Song But My Own」という佳曲を書いているとは気付きませんでした。シーネ・エイは、第2作目の「Waiting for Dawn」(2007年)で俄然注目されましたが、既に素晴らしい才能が発揮されたこの第1作もかなりいけます。
【シーネ・エイオフィシャルサイト】
彼女のホームページにリンクしてみました。 シーネ・エイオフィシャルサイト