安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ケニー・バロン THE MOMENT

2013-06-19 21:14:33 | ピアノ

この前の日曜日、安曇野インターから高速道路に乗り快調に走行してきたら、中央道の岡谷ジャンクションと伊北インター間で、工事のための渋滞に巻き込まれました。規制をかけて一車線通行にしただけですが、その手前で8kmも車がつながりました。ストップと発車の繰り返しで、時間がただ経過するだけなので、気を紛らわせるために持っていたCDを大きな音量でかけました。長野県内でこれだけの渋滞を起こすのは珍しいことです。車中で聴いていたCDです。

KENNY BARRON (ケニー・バロン)
THE MOMENT (Reservoir 1991年録音)

  Themomentkennybarron_2

ケニー・バロン(p)は、古くから活動している人ですが、日本でにわかに注目されたのは、スタン・ゲッツ(ts)と共演したアルバム「People Time」あたりによってでしょうか。いまや、ジャズピアニストの代表の一人ですが、今年も来日して演奏を披露していますし、まだまだ元気で活躍が期待できます。

このCDは収録時間が長くて71分もありますが、聴いていると実際にはそう長く感じません。それは、メンバー、選曲、編曲といったところに気配りができている練られた企画のためでしょうか。メンバーは、ケニー・バロン(p)、ルーファス・リード(b)、ビクター・ルイス(ds)。ルーファス・リード(b)には、神経質な動きはなく、長めのどっしりとしたトーンを用いてソロを行っていて好感が持てました。

曲目は多彩で、ジャズ・オリジナル、スタンダード、自作がうまく配列されています。収録順に、ジジ・グライス作「Minority」、スティング作「Fragile」、バロンの自作「Silent Rain」、スタンダードの「I'm Confessin'」、セロニアス・モンクの「Jackie-ing」、バロンの自作「Tear Drop」と「The Moment」、マル・ウォルドロン作「Soul Eyes」、スタンダードの「How Deep Is The Ocean」の9曲。

ケニー・バロン(p)の優れたアルバムです。最初の「MInority」では、やや早めのテンポで、出だしの和音が気持ちよく、「Fragile」は、彼の美しいタッチが強調されているトラックです。「Silent Rain」は、そこはかとない哀愁も感じとれるバロンのオリジナル。同じくバロンの自作「Tear Drop」は近現代クラシカルな響きもしていて、バロン(p)は、ブルージーさを強調することもなく、オーソドックスながらハードバップから少し抜け出しているミュージシャンだと感じました。