きのう、富士通コンコードジャズフェスの名古屋公演に行ってきました。往年のJATPに倣って、サックス・バトルやトランペット・バトルが繰り広げられて、フェスティヴァルに相応しいステージでした。チャールス・マクファーソン(as)やランディ・ブレッカー(tp)、ハリー・アレン(ts)らメンバーも豪華で、一気にいろいろな人を見て、聴けて、そういう意味でも嬉しい公演でした。出演していたテレル・スタッフォード(tp)のアルバム。
TERELL STAFFORD (テレル・スタッフォード)
THIS SIDE OF STRAYHORN (MAXJAZZ 2010年録音)
テレル・スタッフォード(tp)は、1966年の生まれで、ボビー・ワトソン(as)・グループに5年間在籍し、そこでの演奏で認められるようになりました。1995年には初リーダー作を発表し、その後比較的コンスタントにリーダー作を録音しています。今回は、ビリー・ストレイホーン曲集ですが、デイトンにおける1週間に亘るストレイホーンの功績を称えるフェスティバルに参加し、演奏をしたところから録音されたものです。
メンバーは、テレル・スタッフォード(tp,flh)、ティム・ウォーフィールド(ts,ss)、ブルース・バース(p)、ピーター・ワシントン(b)、ダナ・ホール(ds)。それぞれ活発な活動をしていて、ことにウォーフィールド(ts)は、クリス・クロス・レーベルからリーダー作をいくつも出していて、ここでも注目されます。編曲は、ピアノのブルース・パースが担当しています。
曲は、全てストレイホーンの作曲で、一部エリントンとの共作もあります。「Raincheck」、「Smada」、「My Little Brown Book」、「Lush Life」、「Multicolord Blue」、「U.M.M.G」、「Lana Turner」、「Day Dream」、「Johnny Come Lately」の9曲。この中で、多分初めて耳にする曲が、「Smada」、「My Little Brown Book」、「Multicolord Blue」、「Lana Turner」と4曲ありました。ジョー・ヘンダーソン(ts)の「Lush Life」(Verve)というストレイホーン曲集にも、この4曲は含まれていません。あまり知られていない曲を取り上げていることも、当アルバムの魅力の一つです。
曲により変化に富んだ演奏が聴けますが、テーマ部のサウンドやオブリガードなどが洗練されていてスムーズに音が流れていきます。スタッフォード(tp,flh)が緩急をつけた快心の吹奏を行っている「Smada」は、ウォーフィールド(ts,ss)やバース(p)のソロも聴きもので、これが一番よかった。早いテンポの「Raincheck」は明るく爽快感があって印象に残ります。バラードでは、スタッフォードがミュートを使っている「Little Brown Back」や「Multicolord Blue」がよく、後者はブルージー。スタッフォードは、ちょっとリー・モーガンを想わせるところがあります。
【富士通コンコードジャズフェス名古屋公演】
テレル・スタッフォード(tp)の「My Ideal」、ランディー・ブレッカー(tp)の「When I Fall in Love」、そして二人による「Woody'n You」とトランペットバトルが火を吹くようでよかった。ランディー・ブレッカーのハイノートや音色のよさにも感嘆。ロバータ・ガンバリーニ(vo)は、「Estate」、「Fly Me To The Moon」などの他に、テナー・サックスの二人が加わり「Take The A Train」、そしてアンコールにも応えてくれて「It Don't Mean A Thing」をやってくれました。